■モノにしがみつく■
アニメージュオリジナル vol.2 12月3日発売
●『空の境界』を識る。
10ページ、構成・執筆。美少女アニメ特集ということで、「空の境界はどう?」と提案したら、けっきょく自分でやることに。コア層にのみ重厚に支持され、いわゆるライト層が存在しないこのアニメ、「一体どう説明しようか」というところからスタートし、講談社の太田克史さんにガッチリとインタビューしてみたら、これが大当たりでした。『空~』を知らない人ほど面白い記事のはず。必読!
●『屍姫 赫』の色
4ページ、構成・執筆。これは特集とは別に、美術監督と色彩設計の方へのインタビューがメインですね。色づかいが非常に鮮烈な作品なので、今のうちに取り上げたいなと。
●『鉄腕バーディー DECODE』 赤根和樹監督インタビュー
これは編集部からの要請で、計4ページ。個人的には、赤根監督応援企画のつもりで。アニメーターさんの話がいっぱい出てきますよ。
●作家・河森正治の足あと 第一回
4ページ、構成・執筆。「第一回はマクロスFの最終回をフィーチャーして欲しい」という編集部の条件をのんで、河森LOVE全開の新連載。かなり自己流解釈を書いたけど、これはおそらく、「研究」の名を借りたラブレターですから。突撃ラブハートですよ。
河森さんといえば、11月29日、先端技術館@TEPIAにて「SFアニメが現実に!?激論ロボットトーク」を見てきた。出演は河森さんのほかにロボット工学者の古田貴之さん、水内郁夫さん。総論のあたりで、「ロボット単体ではなく、街や環境もふくめてネットワーク化して考える」「そうすれば、モノを増やさずに快適に生きられるかも知れない」――という話が出てきた。古田さんは例として「iPodがあれば、CDというモノは必要でなくなる」と仰っていたと思う。
その直後、会場で待ち合わせていた知り合いから「20年前にフルスクラッチした模型の残骸」を見せられ、しばし唖然とする。プラ板のカタマリに過ぎないといえばそれまでだが、その「モノ」に蓄積されたエネルギーに圧倒されるのである。
例えば、今はケータイ漫画のダウンロードが盛んだと聞く。
でも、俺はどうしても本屋で買ってきてしまう。気に入った本が、手垢で汚れていくのが好
きだ。古本も好きである。
僕らよりちょっと上の世代になると、モノ頼みの人がチラホラいて、ネットなんてやらなかったりする。メールもそこそこに、いきなり電話がかかってくる。そういう人と接していると、安心する部分もある。
さっきの模型の話も同様で、指先で触れられるモノに苦心の痕跡を見つけると、そこに作り手の美意識はおろか、生き方をも感じとることが出来てしまう。それがモノの力である。
ところが、本なんていうモノづくりに参加していると、そこには「読まれていないのではないか」という恐怖も生じる。読まれない本は、上映されない映画のようなものだ。
夜中2~3時のファミレスで、どんな事情があるのか知らないが、一人でじっと読書しているお嬢さんがいる。ああ、美しいなと思う。いまや、本というモノそれ自体が付加価値である。若い頃、映画の企画が通らないので「だったら、このストーリー、飛び出す絵本にしてやる!」と宣言したことがあったが、それぐらいの気持ちでつくらないと、モノとしての本の価値は本当に消滅する。
僕らは、モノにしがみつく最後の世代だから、せめて悪あがきはさせて欲しい。悪あがきしながら、かつては買うのに勇気が必要だったエロ漫画さえ手軽にダウンロードされる時代の風の、その薄ら寒さにゾクゾクしてもいるのである。
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