2016年6月18日 (土)

■0618■

我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか 21日発売
1このような表紙になりましたが、中身のカラーページも、すべてこの調子です。
カラーページだけ見たら、「美少女キャラのプラモデルにパンツがあったりなかったりするのを、単に面白がっているだけ」と、受けとられかねません。
ただ、本文は15歳の僕が、表紙になっている「ハイ・スクールラムちゃん」のキットを手にしたときの戸惑いからスタートし、当時、模型メーカーで商品をつくった方、現在、模型メーカーで美少女フィギュアを開発している方、そうした市場が広まる以前、パンツを「商品価値として必要」として自作フィギュアで再現した方、さまざまな声を載せてあります。
それらを読んでから、もう一度、この表紙を見てください。

「たとえパンツを作っても、人に見せるべきではない」という方もいらっしゃいます。「(商品の一部として)パンツを作っても、公に見せてはいけないキャラがいる」なんて話も出てきます。「趣味なんだから、そもそも人に意見されることではない」という立場の方も、いらっしゃいます。
思春期の性は、それだけ多様である。内向的なオタク趣味を巻きこんだ性は、自分ではどうにも出来ないほど厄介である――それを、なんとかして伝えたかった。また、自分の中でも決着をつけたかった。


どうしても、忘れられない一言があります。高校時代、それこそ、この写真のフィギュア(プラモデル)と出会って間もないころ、クラスの男から言われました。
「廣田って勉強もできないし、体育もダメだし、何が面白くて学校に来てるんだよ?」

修学旅行の夜、別のクラスメイトから、「廣田って、アニメの話のときだけ、よく喋るよな」と笑われたこともありました。
体育の時間は、となりのクラスの男子と一緒になるので、彼らからもターゲットにされて、廊下を歩いているだけで、「あの歩き方、あの顔!」と指さされました。

じゃあ、プラモデル仲間、アニメ仲間と話している時間は楽しいだろうと思うでしょ?
学校で『マクロス』のプラモデルを見せ合っていたら、「信じられない……そんなもん、いくらするの?」と、クラスメイトが、呆然としてるんです。
「700円」と答えると、「えっ、700円? そんな金があったら、俺なら……俺なら、メシ代に使うよ!」
メシを我慢してでもプラモデルを買っている僕らとしては、どうしてメシを優先する連中が、こうまで人の趣味を笑えるんだろう?と、声なき叫びをあげるしかなかった。こういう話なら、山のようにあるんです。

そして、コンプレックスのどん底に叩き落されたオタクな僕らにも、避けがたく第二次性徴はやってくるし、どこへ逃げても思春期が訪れるのです。


思春期になると、それまで氷の下をながれる濁流のようだったコンプレックスが、氷を叩き割って、鉄砲水のように襲いかかってくるんですよ。アニメ趣味、オタク趣味がなくても、そうだろうと思います。
僕の場合、性的なものとアニメやプラモデルを切りはなそうと、もがきました。だけど、当時は無駄でした。
今でこそ、「アニメなんてエッチな要素があって当たり前だろ?」と思われていそうですが、当時はそうとは言い切れなかったし、自分でそうしたくない、性的な目線でアニメを見たくはない――と、もがいていたのです。そういう高校生の悪あがきを、かつてどの本が書いてくれただろう? また、内向的で社交性ゼロの高校生の、どんよりと鬱屈した思春期を、果たして誰が振り返ってくれただろう?とも思います。
「誰とでも仲良くなって、友だちになろう」――道徳の時間、教師に無理やり見せられていたNHKの教育ドラマの主題歌です。そんな同調圧力に窒息しそうな僕らは、いったいどうすれば良かったんでしょうね? 何が正解だったんでしょうね?

「アニメ美少女のプラモデルにパンツが作ってあったなら、お前らオタクは、そのパンツを見ながら、女子から相手にされない孤独を癒してたんだろ?」――そんな単純なわけないです。
もちろん、この表紙を見て、「なんというハレンチな!」と笑ってくれてもいいんです。だけど、暗いトンネルを抜けて一周まわった笑いなんです、それは。


僕はこの本を通して、廊下を歩いているだけで嘲笑され、「何のために学校に来てるんだ?」と言われた漆黒の思春期と、それを救ってくれるはずだったアニメやプラモデル、美少女キャラと対峙しました。
いま、同じように苦しんでいる高校生がいるならば、「大丈夫!」と肩をたたいてやりたい。

「冷然として、苦汁にみちた人生第一歩の頃を想い起しながら、彼は高価な犠牲を払ってかち得た微笑をうかべるのであるが、こういう微笑をうかべる人々いうものは、唯そばにいるだけでも傍らの人に《――やってみたまえ、おれがついている》と言っているような感じがするものだ。」
(ヴィリエ・ド・リラダン 『未来のイヴ』より)

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2007年8月30日 (木)

■イリアを塗るよ・3■

調子にのって早めに原稿を書いたら、「もうちょっと書きませんか」という話に。
070830_00180001なので、もうこのへんで一区切りして、ちまちまと細かい部分は後日。
怖かったのは、首と胴体がちゃんとフィットしなかったこと。この写真でも首の角度が違うけど、あちこち削って無理やり合わせた。

『ゼイラム』なんて、映画としては全ッ然、何の思い入れもないんだけど、このスーツだけは別だった。本来ガードすべき胸や下半身が薄く柔らかい素材(ラバーなど)で出来てる上、装甲類が腹の辺りにベルトで止められているというボンデージっぽさ。たまらんぜ。デザインは寺田克也。
そこに今度は、竹谷隆之という才能(このキットの原型制作)が加わってしまったものだから、このガレージキットは神がかっているのだ。それを自分が組み立てる、色を塗るというという甘美なおののきを、どう表現したらいいのだろう?

手に入れるとは、満たされながら失う行為だ。手に入れた時、対象は確実に汚され、自分の欲望は確実に傷つく。物欲とは、そういうものだ。そういうやりとりだ。『リーンの翼』に出てきた「セックスってのは、ありゃ戦争なんだぜ?」 このセリフの感覚に近い……などと10年ぶりにガレキをつくりながら考えた。

明日は『ストレンヂア』の試写。

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2007年8月29日 (水)

■イリアを塗るよ・2■

まだ三日目だというのに、急ぎの仕事が入ったので今日はここまで。
070829_14050001写真だと、単に白と黒に塗りわけしたようにしか見えない。実はリキテックスでグレーと水色の中間のような色をランダムに塗っておき、それを隠すようにしてリキテックスの白を何度も塗っている(リキテは透過性があるため)。
普通に、ラッカーの白を塗ってエナメルでスミ入れ……という常套手段か、このキットなら誰もがやる「白い装甲部分はホネっぽくウエザリングする」という手もあった。でも、それでは「同じことをした他の誰か」の劣化コピーになってしまう。
神秘的な白を筆塗りならではの味わいで出せないものか……
070828_23430001ブーツは、アクリル塗料の黒に色んなリキテを重ね塗り。ちゃんと「硬そう」「重そう」な感じは出たと思うんだけど。
それに対して、白い装甲を「軽そう」に見せることが出来るのか。

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2007年8月28日 (火)

■イリアを塗るよ・1■

夏休み特別企画として、ファルシオン製ソフトビニールキットのイリア(『ゼイラム』に出てきたヒロイン)の塗装過程を今日から連続で掲載。
070827_19070001ヤマザキ軍曹の作業場でエアブラシ塗装するつもりだった下地用ソフビ専用カラーは、匂いさえ我慢すれば筆塗りでも何とかなるだろうと思い、DIYショップで有機溶剤用マスクを購入して準備完了。
塗料はホワイトのみ、あとはリターダーとシンナーで溶いて、レッツ・筆塗り!
エアブラシがないと塗れないものなんかない!
何とか筆ムラも出ずに完了。手持ちの塗料がないので、今日はここまで。

二日目、朝からユザワヤへ塗料の買出しに行く。
070828_15390001顔面塗装用に買ったパステル、これが意外に何の役にも立たなかった。スーパードルフィーのメイクやってる人たちは、よくあんな綺麗に塗れるよなぁ。肝心の顔も、筆だけで塗ろう。
すべてリキテックス(アクリル絵の具)で塗るため、下地用にタミヤアクリル塗料を何本か買う。
070828_20250001イリアの右手の銃。下地はタミヤアクリルの黒のみ、あとはリキテックスをパレットで混ぜながら、ドライブラシしたり、ウォッシングっぽく塗ったり。塗るというよりは、「描く」感じ。

木曜が仕事がらみの試写会、金曜は蜷川幸雄の『エレンディラ』なので、明日中に終わらせたい。

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