■イグアスの滝-9■
■11/5-1 「Safari」社のツアー
プエルト・イグアス滞在、4日目。一日をフルに使えるのは、今日だけだ。朝食や掃除をしてくれるおばちゃんが、「今日、チェックアウトよね?」と、スペイン語で話しかけてくる。「いや、明日の朝」。チェックアウトだけは英語なので、ちゃんと分かった。
あと、日本人客だと思うが、じっと下を向いたままスマホ見てて楽しいかよ。俺が1時間後に出発しても、まだホテルの食堂にいたよな? ホント、陰気なやつ。俺は「Safari」社のツアーに参加するからな。
で、朝10時30分に公園の入り口前って言ったよな、「Safari」社のダミアン君。ぜんぜん、誰も来ないよ!
11時ごろになってから、「あなたがヒロタ?」と、ごついオヤジが話しかけてきた。よほど僕が不安な顔をしていたのだろうか、「心配すんな」「いまジープが来るよ」「準備はいいかい?」と聞かれる。「……あれ? 俺の英語、なんか変かな?」と気にしはじめるオヤジ、なんて可愛いんだ。
それで、カメラの設定を間違えて、へんなボカシ・フィルターがONになってしまったけど、これが「Safari」ツアーのジープだ! これに乗って、ガイドと二人きりで、笑ってしまうほど凸凹の道を進む。
タイガー・アントだったかな。こういう珍しい虫だとか、トカゲだとかをガイドが発見して、豆知識を教えてくれる。「ここに足跡があるな。今朝ついた足跡だ」とか、けっこう面白い。英語も聞きやすいし。「いろいろな異なる種類の植物や動物がいるだろ? すべて異なっているから、森はパーフェクトなんだ」と、なかなか名調子だ。
ただ、やっぱりこのツアーは損している。ガイド氏が「これからどうする? 何、サン・マルティン島へ行きたい? 島が閉まっている場合もあるぞ。閉まっていたら、オススメの道を教える。まだ通ってないはずだよ」とレコメンドしてくれるのだが、まるで「追加のオプション・ツアーに参加しないか?」と、誘っているように聞こえてしまう。
2時間のジャングル・ツアー後、ガイド氏は公園の敷地内の事務所で降ろしてくれて、「ここでツアーは終わりだ。じゃあな」と去っていった。その「終わり」って言葉を聞くまで、追加ツアーに参加しないといけないのか、ドキドキだったぞ。
■11/5-2 3キロの小道
サン・マルティン島への渡し舟は通っていなかったので、ガイド氏がオススメしてくれた滝を見にいく。数組のグループとすれ違ったけど、ほとんど人気のない3キロの小道。
でね、歩いてみるとガイド氏のオススメした理由がわかった。動植物的な意味でオススメなんだよね?
なるほど、なるほど。立ちどまると、いっせいに虫が体にたかってくるので、虫よけスプレーが必要だったかも。
そして、滝は下から見られなくなっていたので、上からちょびっと見られるだけ。下から見られたら、感動したかも知れないな。往復6キロ、2時間もかかったよ!
最後に、また“悪魔の喉笛”を見にいく。園内列車には、またしても同じTシャツを来た若者の団体客と鉢合わせたので、ヤツラが来る前に、早足で先回りする。
変なフィルターが入ってしまっているけど、虹が出てるでしょ? 合計で三つも虹が出ていた。そして、Tシャツの団体客が到着するころに、展望台を立ち去る。
■11/5-3 夕闇
とても迷ったけど、二番目の駅で途中下車した。もう午後4時だけど、このまま帰るのは物足りない。最後の最後にグルッと……そう、滝を上から見下ろすコースを回っていこう。そう、一日ごとに日が長くなっていくけど、夕闇に沈む気配を感じながら、ここの滝を見ていたいとずっと思っていた。本当さ。
そうか、街のほうは日が高かったんだな。ともあれ、プエルト・イグアスでの最後の晩メシは、やはりアルゼンチン・ステーキにした。400グラム。
噛みしめるたびに悲しくなるほど、痛烈な旨み。ごくりと飲みくだしてから、「うまい」とため息が出る。
だけど、このお店はカード払いのとき、パスポート番号を書かせるんだ。「パスポートはホテルに置いてあるから、やっぱり現金で払います」と言うと、じっとりと俺を睨みながら「NO」。何だよ、その態度。ひでえ。人として最悪だよ。
店の名前を書いてもいいんだぞ。単にイジワルしてるだけだよな、ホント最低の店だ。そうまで人を絶望させたいのかよ。味がいいだけに、引き裂かれるような気持ちだったよ。
ほんと、切ないというか情けない。こうして今後も、人間たちのくだらなさと戦いつづけねばならないのかよ?
■11/6 チェックアウト
朝食後、きっかり9時、ベッドメイクや掃除、朝食の支度をしてくれたおばちゃんに多めのチップを渡して、最初に声をかけてきたタクシーに飛び乗った。
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