2013年10月19日 (土)

■1019■

11/17(日)15時~ フィギュア関連トークイベント第二弾「オッサンになったから、美少女フィギュアでも作ろうぜ!」(仮)
前回と同じく、模型の王国 浅草物件()にて行います。

内容は、僕と相方のべっちん氏が、初の美少女フィギュア造形にトライ。その無残な過程写真も公開しつつ、「40過ぎてから美少女を作る意味」を理論武装するという、苦しまぎれなイベントです。
特別ゲスト(ツッコミ役)は、おそれおおくも、東海村原八氏! 詳細は、また追って告知します。ネット配信、あります。


帰国後に見た映画は、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(ジュリア・ロバーツが美しくて良い)、『ビフォア・サンセット』(ミニマムな構成と終わり方が良い)、『レ・ミゼラブル』(こんな規模の映画を作れてしまうイギリスという国が怖ろしい)。
Ellisclotheschange_2あと、ケーブルで『謎の円盤UFO』。ヤバいよねえ、この番組は。
こんな、エリス中尉の着替えシーンなんて、あったっけ? 完全に見逃していた。エリス中尉もエロいんだけど、スカイダイバーの乗組員は、どうしてあんな、メッシュ状の服を着てるんだろう? 「これ、ホントに透けてない?」と気になって気になって、何度も見返してしまう。だんだん、ストーリーが頭に入らなくなってくる。
名前もないような女性オペレーターが、いちいち、性的なオーラを発しているんだよね。目線とか表情とか髪とか、体にピタピタのコスチュームとかで。

こういうSFメカ物と美女って、なぜか相性がいい。もっと言うと、ミニチュア特撮は、どこか脳の性的な部分を刺激する。


クロアチア旅行から戻って、丸一週間が経過した。まだ戻ってきた感じがしなくて、「ちょこっと、ザグレブ中央駅まで散歩してこようか?」みたいな気分になる。来週、旅券があったら片道10時間のフライトをものともせず、行ってしまいそう。

まとめとしては、
●クロアチア語は、エチケットとして挨拶を覚えておく程度でいい。ホテルの従業員はもちろん、屋台のハンバーガー屋、バスのチケット売り場、接客業の人はみんな、英会話が達者。
●物価は、それほど安くはない。EU加盟によって、物価が上がったのだろうか? 8クーナと聞いていたトラム(市電)の乗車券が、10クーナだった。そして、タクシーは東京とかわらないぐらい、高い。
●美人が多い。女子大生から勤め人にいたるまで、スラリと伸びた足をスリムなパンツでキリッとつつみ、キビキビ歩く。服の色は黒が多く、近寄りがたい、知的なムードを発散している。
●アジア人は珍しいので、一目で観光客だと分かってもらえる。その点、たいへん旅しやすかった。

最後に、ブログ未掲載の写真を何枚か……。
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もう10月だというのに、水着の広告は、あちこちで見ました。あと、最も人が集まるはずのザグレブのバス・ターミナルに「SEX SHOP」があったんだけど……何を売ってるのかは、確認せず。
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上から古着のフリーマーケット、車のプロモーションの一環として展示されていた馬車、骨董市。関係ないけど、レンタルDVD屋というのは、見かけなかった。
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とにかく、落書きされてない壁はない。何か、鬱屈としたものを感じてしまいます。最後の「よこそ」は落書きではなく、中央駅にあった公式な看板。教えてあげるべきなのか?(以上、ザグレブ)
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ロヴィニ。一番下のカッコいい船は、停泊したまま。夏には、動くんじゃないでしょうか。
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ロヴィニは、アドリア海に突き出すような形をしており、西端には見張り台がありました。夏は、この辺りから泳げるみたい。だけど、見張り台の中のゴミが壮絶だった。朝は、清掃車が走り回って、ゴミ入れのゴミは回収してたけどね……。
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おもいきり「NEMO」とか書いてあります。大雨がやんだあと、ちょこっと営業していました。
こうやって、中途半端に商業主義に走っているところが、とてもキュートな町です。(以上、ロヴィニ)

クロアチアには、ディズニー物は広く浸透しているのですが、日本アニメのDVDは『とっとこハム太郎』しか見かけませんでした。

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2013年10月16日 (水)

■1016 クロアチア旅行記・6(完)■

モスクワに一泊、ザグレブに二泊、リエカに一泊、ロヴィニに二泊して、またザグレブに戻ります。

ホテルで朝食を早めにすませ、フロントに行く。僕の顔を見るなり、昨日の白髪の女性が「Shall I call Taxi ?」  この機転のよさが素晴らしい。
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ホテル前、午前8時の太陽。タクシーで、ロヴィニのバス・ターミナルへ向かう。ここからザグレブまでは、プーラとパジンを経由、5時間ほどの長旅になる。
バスに乗っている間、少しずつ気持ちが滅入ってくる。ささいな失敗が、気にかかる……。自販機で買ったコーラを、スラックスにこぼしてしまう。


しょんぼりした気分で、ザグレブのバス・ターミナルに降り立つ。またしてもホテルの場所が遠いので、タクシーに乗る。15時、ホテルに到着。しかし、運転手に「ここが?」と聞き返してしまったほど、ホテルらしくない。カフェやレストランの入った雑居ビルの雰囲気。
そして、ホテルのフロントは、なんとパブの中にあった。憂鬱そうな顔をした、ハンサムな青年が「10」と書かれたルームキーを、僕に渡す。

部屋に入って、呆然とする。映画スターの写真が、壁に飾られている。
Cimg0248なんかこう、矢沢永吉グッズで埋め尽くされた部屋みたいな。「YAZAWA」みたいな。……これが、クロアチア最後の夜? 早めにビールでもくらって、寝てしまいたい。まだ15時だけど。

とりあえず、付近を歩いてみよう。ホテルの真ん前が、トラムの停留所になっている。
そこから先は、パブやステーキの店なんかが、ポツポツと並んでいる。タクシーが、何台か止まっている場所もあるけど、タクシー乗り場というわけではないらしい(乗ろうとした女性が、運転手に断られていた)。


スーパーでビールを買い、もう少し歩いてみる。カフェやパン屋が多くなってくるが、歩くほCahnvo4q_3どに、気が滅入ってくる。
この、うらぶれたムードの正体が分かった。数百メートル先が、トラムとバスの終着地点なのだ。そこで道は途切れ、川が流れている。橋の向こうまで歩いてみたが、これといって、何もない。この世の果てのようだ。終点なので、人だけは多い。
終戦後、20年も経ていない国であることを、いやでも思い出してしまう。

「KEBAB」と書かれた店で、14クーナのチキンバーガーを頼んだ(この地域でのケバブとは、巨大ハンバーガーのことを指す)。お姉さんはハンバーガーを温め、野菜をはさみこむと、「ソースかける?」と聞く。そのかすかな笑顔さえ、いまでは嬉しい。
しかし、ホテルへ持ち帰るつもりが、「ハイ」と食べやすい形で、手渡される。しかたなく、曇天の路上で食う。かぶりつくほど、ハンバーガーから中身があふれ、ソースの味は強烈だ。毒を食らわば……というヤツ。ここまで来れば、これ以上の最悪はないだろう。


薄暗いホテルに戻り、明日どうやって空港へ行くか、プランを練りはじめる。ホテル前から、トラムを使う手もある。クロアチアに着いた初日、Yさんから渡された路線図を広げる。
……待てよ、ここから反対方向へ行けば、ザグレブ中央駅まで、一本じゃないか! まだ早いんだし、試しに歩いてみるか!

すると、駅方面への道には街路樹が並び、センスのいい本屋まである! おお、文化の香Cimg0243り。大学もあるし、公園では骨董市もやっている。
遠回りになるんだろうけど、中央駅までトラムに乗って、タクシーで空港へ向かうのが、ベストな気がしてきた。この、いかにもザグレブな道を通って帰るのが、いちばん気持ちいいに決まっている。

懐かしい植物園の前を通り、ザグレブ中央駅に着く。「トラムヴァイ・カルテ」と、キオスクのお姉ちゃんに言う。トラムの一回乗車券、10クーナ。
駅前のトミスラフ広場を抜けていく。人々は噴水のまわりのベンチに、思い思いの格好でCimg0246 座っている。お婆ちゃんとお母さんに両手を引かれた子供が、歓声をあげながら、両足で地面を蹴る。

ほんの4日前だが……、初めて、朝のザグレブの静かな住宅街を歩いたとき、誰もいない芝生の公園で、母親と子供がブランコで遊んでいた。その寂しくも楽しげな光景が、頭をさらない。
僕は、街路を踏みしめる足の裏から、自由を感じた。風のような気持ち。あの気持ちに、また帰ってくることが出来た。


翌朝、僕はトラムに乗って中央駅で降り、そこからタクシーを拾った。「エアポート」と僕が言うと、運転手のオジサンは「エアポルト」とくり返した。
そして、空港に着くと、あの重たい荷物を入り口まで運んでくれて、「Good Bye.」と笑った。

まだ、帰りの飛行機のチェック・インが始まってない。
Cimg0251僕がサンドウィッチ屋の前でうろうろしていると、カウンターから店員が手招きする。僕はサンドウィッチとコカコーラを注文した。彼は「あ、コカコーラ・ゼロの栓を開けちゃった!」と、栓を力づくで元に戻す芝居をしながら、「ごめんね、ノーマル・コークのほうが良かったよね?」と、笑わせてくれた。

コカコーラ、22クーナ。サンドウィッチ、25クーナ。
ともあれ、それが、クロアチアで食べた最後の食事となった。

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2013年10月15日 (火)

■1015 クロアチア旅行記・5■

小さな古都・ロヴィニ、2日目。朝7時、教会の鐘の音が町中に響く。
Cimg0176(←左側の建物が、僕の泊まったホテル。)
朝食をとるため、ホテル一階のレストランへ降りる。お姉ちゃんが「コーヒーと紅茶、どちらにしますか?」と、にこやかに聞いてくる。笑顔を見せる美女は、クロアチアでは初めて見た気がする。
朝食はいまひとつボリューム不足だが、なんとスイカがあったので、味わって食べた。スイカ、日本ですら何年も食べていない。

明日の朝、バス・ターミナルまでタクシーで行きたい……と、フロントで話をする。しかし、白髪の知的な感じのフロントの女性は「それは無理です」と言う。ここまでタクシーで来たのだから、呼べないはずがない。「じゃあ、ターミナルまで歩いて行かなくてはならないの?」と途方にくれていると、「そうではなく、タクシーは、乗る当日に呼ぶ決まりになっているのです」。すごく丁寧に説明してくれた。「Thank you.Hvala.」と、お礼を言う。


朝9時すぎ、旧市街へ出かける。
Cimg0224_4どうしても、教会へ足が向いてしまう。雨がぱらついてきたので、一時間ほどで、いったんホテルへ戻る。
掃除の女性(僕より少し若いぐらい)が、部屋の扉をノックする。「ドアノブに掃除するかしないか、カードを出しておいてください」とのこと。この女性、何とも人懐っこい笑顔をしている。

昼近く、もういちど外出。簡単なパンとコーラを出す店に寄りたいのだが、朝からずっと、カウンターでオジサン2人が酒盃を傾けている。近寄りがたいので、小さなスーパーでビール、ベーカリーでパンを買い、海を見ながら立ち食Cimg0193い、立ち飲み。パンくずを投げると、すごい数の海鳥が寄ってきた。
僕が買い物したスーパーもベーカリーも、ザグレブに同一チェーンの店があった。都会と変わらない味が、このような小さな観光地でも楽しめる。その辺りの、いわば必然的に俗化している部分には、まるで抵抗をおぼえない。


また教会に行き、60メートルの鐘楼に登る。
Cimg0140うっかり、ポケットに入れていた札を落としてしまったのだが、係の青年が追いかけてきて「あなたのお金ですよ」と、届けてくれた。彼もまた、なんとも爽やかな笑顔をしていた。

教会内部の、クリーム色の有機的な内装に見とれる。胎内にいるかのような安らぎ。われわれの住む世界は、実はまだ母親の胎内であって、“本当の”外の世界はステンドグラスのように、きらきらと眩いのかも知れない。

トイレに行きたくなると、ついついホテルへ戻ってきてしまう(公衆トイレの使用料が高すぎるのだ)。
先ほど、ドアをノックした掃除の女性が、「本当に、部屋を掃除しなくていいの?」と聞いてくる。タオルは2セットあるし、こうやってちょくちょく戻ってこられなくなるので、掃除は必要ないのだ。
「じゃあ、明日は掃除するわね?」と言われて、答えに困る。明日は、もう帰る日なんだよなあ……。女性は、「あ、分かった」という顔をすると、人差し指と中指でトコトコトコッと、歩いて帰る仕草を見せた。とてもキュートだった。


午前中、小雨だった雨は、とうとう、どしゃ降りとなってしまう。
Cimg0200僕は、南側の港のカフェへ入り、ビールを頼んだ。ここで見張っていれば、遊覧船が動いたとき、すぐ乗れるはずだ。

すると、ただ一隻、港についた船に、人々がどんどん乗っていくではないか。僕も、彼らにまじって、その船に乗り込んだ。
……しかし、お金は? タダってことはないだろ? 船が少し離れた島につくと、客は全員、降りてしまった。どうやら、この島にあるホテルに人を運ぶためのシャトル便のようだ。
勝手に乗ってしまったので、ホテル客を誘導していたオヤジに「僕はチケットを持っていない」と言うと「チケット? そんなもんは必要ないよ」。じゃあ、乗ったままでいいんだな……と、二階の眺めのいい席につく。

船が動き出すと、さっきのオヤジが来て、「いや、悪かったな。チケットはいらないと言ったCimg0211が、実は、ひとり40クーナとることになっているんだよ」。40クーナなら安いものなので、その場で払った。
(←この荒海の中、ひとりでカヌーを漕いでいる猛者。)
オヤジは「Have a goodtime.」と言って、去っていった。……いや、その一言が余計なんじゃない? それは商売っけがありすぎるでしょ。飽くまで、ホテル客用のシャトル便なんだから。

是が非でも、ロヴィニでは船には乗るつもりでいたから、ぜんぜんいいんだけどね。


あれだけ激しく降っていた雨が、急にやんだ。お別れのつもりで、また教会へ行く。
Cimg0184もう夕方なので、観光客は少ない。教会付近は、犬の散歩にくる人が多いのだが、茶色い中型犬をつれたオジサンが「ハハハ!」と楽しそうに犬に話しかけながら、「チュッ!」と音が聞こえるぐらいのキスをしていた。つい、笑ってしまった。

しばらくして、桟橋へ移動すると、そのオジサンが愛犬とまったり和んでいたので、また笑ってしまう。どんだけ犬好きなんだよ、と。

夕景が、いい感じになりそうなので、ケバケバしい看板のカフェに入り、ビールを頼む。
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旧市街は、すっかり寂しくなったが、港のほうには、まだ大勢の人が歩いている。子供の声がすると、何だかホッとする。僕の隣の席では、60歳ぐらいの夫婦が、仲良くソフトクリームを食べている。
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さて、今夜も安そうなレストランを厳選して、夕食をとることにする。
魚料理が食べたかったが、背が高くほっそりとしたボーイは「今日は、魚料理はできないんです。パスタの中から選んでください」と言う。パスタは好きじゃないので、ムール貝のリゾットにした。

先にきたビールを味わっていてると、背の高いボーイがやってきて、「どこから来たんですCimg0239か? ひょっとして日本?」「東京ですか? 東京には、百万人ぐらい人が住んでいるんでしょ?」
話し好きの若者だなあ、と思っていたが、そうではなかった。彼は『ラストサムライ』を見てから侍に魅せられ、叔父さんと一緒に刀の模型を自作してしまったほど、日本好きなのだ。
彼がケータイで見せてくれた写真には、着物をきた彼の肖像画まであった。「僕は日本に行って、刀職人になりたいんだよ。東京には、刀職人はいるの?」

僕は、なんとか、この青年の喜ぶことはできないだろうか?と、考えた。彼の名前を聞き、メモ帳に日本語で、「○○よ、君はクロアチア最高の侍だ」とか適当なことを書くしか、思いつかなかった。
彼は、日本語で「ありがとう」と何度も言っていたが、あまり嬉しそうではなかった。チップを渡すとき、「円はないの?」と聞かれた。ああ、日本円か……! ホテルに戻れば、スーツケースの奥にあるけど、この店からでは遠すぎる。無理してでも、とってくれば良かったんだろうか。今でも、悩む。
「いいんです、気にしないで」と、彼は笑ってくれたのだが。


僕たちは、外国人が「サムライ」「ニンジャ」と言うだけで、「プッ」と笑ってしまう。しかし、自分たちだって侍や忍者について、きちんと説明できるわけじゃない。自国の文化なのに、自分たちが最もバカにして、何か分かった気になっている。ただ、覚めているだけだ。
そして、今の日本は、とても海外から人様を呼べるような状況ではない……。

明日は、この小さくて控えめで、人間くさい人たちの住む、静かな都を離れる。
階下のレストランから、昨夜も今夜も、趣味のいい音楽が流れてくる。ペトゥラ・ クラークの『恋のダウンタウン』のような、古いポップスや、ジャズ。それらを聞きながら、僕はまどろむ。

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2013年10月14日 (月)

■1014 クロアチア旅行記・4■

モスクワで一泊、クロアチアの首都ザグレブで二泊、貿易都市リエカで一泊し、いよいよ旅の最終目的地であるロヴィニへ移動します。

昨夜のリエカの町の、はち切れんばかりの元気さが忘れられず、朝食後に、ホテル近辺を散歩。
Cimg0109(←貿易港なので、こういう渋い船や倉庫もある。)
月曜日の朝8時なので、通勤途中のお姉ちゃんが、チラホラいる。市場も開いていた。

10時に、ホテルに頼んでおいたタクシーが到着。いかついオッチャンが運転手だったが、「バス・ターミナルから、どこまで行くんだ? ロヴィニ? それなら、5番乗り場だ。あそこに見えるだろ」と、本当に親切。
まだ一時間ぐらい時間があるので、バス・ターミナル近くの待合室で、サーモンとチーズ入りのパンを買って、食す。さすが海に近いので、ソーセージやサラミではなく、サーモン。

バスは、プーラという大きな観光地を経由して、ロヴィニへ向かう。
Cimg0111(←リエカの長距離バス・ターミナル。奥に、いかにも港町らしいクレーンが見える。リエカ→ロヴィニのバス代は、106クーナ。2,000円もしない。)
バスの車内は閑散としていたが、僕の後ろの席では高校生ぐらいの女の子が3人、席から身を乗り出しておしゃべりしていた。その子たちもプーラで下車し、ロヴィニへの車内は、僕をふくめて3人きりとなった。


ロヴィニのバス・ターミナルは拍子抜けするぐらい、小さい。到着してすぐ、明後日、ザグレブに帰るためのバス・チケットを買っておく。とにかく、まずは足を確保する。(ロヴィニ→ザグレブ間は、152クーナ。遠距離なのに、本当に安い。)
午前便のチケットが買えたので、安心してホテルへ向かう。重たい荷物を押して歩くのは、さすがに懲りたので、タクシーに乗る。運転手はオジイサンと言ってもいいぐらいの年齢だったが、「チャオ」と笑顔で別れた。クロアチアの、オッチャンたちのキュートさは女子高生に勝る。

ホテルは旧市街の入り口、チトー広場に面した素晴らしい場所に建っている。
荷物をおろして、雨がやんでいる間に、キキのフィギュアを持って旧市街へ向かう。
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ここからは、写真おおきめで行きます。ホテルから歩いて2分ぐらいの桟橋。やはり、まだ雨がポツポツと降っている。
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反対側の港から、旧市街を望む。こちら側には大きな駐車場がある。中央に見える丘の上のエウフェミヤ教会が、いい目印となっている。旧市街そのものは、一時間もあれば回りきれてしまう。
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このように、入り組んだ街路から、いきなり海へ降りられてしまう場所が、いくつかある。このブツギリ感が魅力。しかし、たいていは可愛い感じのお店に改装されてしまっている。
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ほら、こんな具合に。「なんという俗物」と思った。デザインの上に、デザインを重ねているだけというか、店のオーナーの「してやったり」感が嫌味かな、と。
旧市街を離れるとすぐ、港の周りに、ギトギトに毒々しいカフェの看板が、競い合うように並んでいます。
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夏には海水浴もできるようなので、トロピカルな南国ムードに爆走してしまっている。この頭の悪さこそ、むしろクリエイティブだ。この通りには「3D PHOTO CRYSTAL」という看板も出ていて、もう何の店だが分からんでしょ? この優美な古都に「3D」って、アンタ。
だけど、これらのケバい看板や「3D」の破壊力は、町の景観に便乗して何か創った気になっているアーティストに対して、圧倒的に勝っていると思うのです。
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こうやって、カフェの店頭で音楽を流すと、お客さんが踊りだしてしまったり。「何とでも、どうとでも楽しんでくれ」と言わんばかりの投げっぱなしの気軽さが、町全体から漂っている。
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ザグレブまでのバス・チケットも買えたし、残金を計算して「多少は贅沢してもいいかな」と思い、レストランへ。ラム肉とピザ、ビールもひっくるめて、111クーナという安さ。高いお店だと、一皿で250クーナとか書いてあるので、安そうな店を慎重に選んだ。
この店は、ボーイの太っちょのお兄ちゃんが通りかかるたび、満面の笑みでウインクしながら「GOOD?」「OK?」と親指を立ててくる。そのバカっぽさが、かわいくて仕方ない。チップ多めに渡してしまった。
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西の空が、なかなか暮れてくれない。夕陽を見逃す手はないので、また教会のある丘へ向けて歩き出す。教会の中は、ステンドグラスからの光が、聖人の像を見事に照らすように配置されている(写真は禁止なので、撮っていない)。
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この時間になると、旧市街に観光客はおらず、映画に出てきそうな暗い石畳を歩くのは、市街に自宅のある人ぐらいだ。
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教会がライトアップされる時間まで、待ってみた。近くのトイレは、5クーナ(クロアチアの公衆トイレは有料のところが多いが、5クーナは高い)。そのトイレも、営業終了だ。
この鐘楼のてっぺんには、エウフェミヤという15歳の少女の像が、町を見下ろしている。雨の日も、荒らしの夜も、彼女は悠然と天空に立ちつづけている。世界最強のフィギュアだ。
僕は、町のどこからでも見ることの出来る彼女の雄々しい姿に、すっかり惚れこんでしまった。

翌日、僕は15クーナ払って、この鐘楼に登ってみた。入り口のところで、屈強なオジサンが黙って仲間の帰りを待っていた。なぜなら、木の階段の下が丸見えで、むちゃくちゃ怖いからである。

とりあえず、町を二周したところで、初日はダウン。20時に就寝。とうとう、クロアチアの西の果てまで来た。

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2013年10月13日 (日)

■1013 クロアチア旅行記・3■

帰国した夜から、原稿修正の依頼があり、さっそく仕事に追われています。
以下、クロアチア旅行記、第三弾です。


モスクワで一晩、クロアチアの首都ザグレブで二晩を過ごした。旅行4日目は、貿易港のあるリエカという町へ移動。

アパートメントをチェックアウトしたのは、お昼12時ぐらい。長距離バスが出るのは14時なので、バス・ターミナルまで、ゆっくり歩いていくことにした。……が、これが大失敗。荷物が重たい。トラムの乗車券はキオスクで売ってるんだけど、キオスクがないんだわ、この通りには。
ザグレブ中央駅に着いたときには、もうヘトヘト。駅前で果汁入り飲料水を買って、休む。宗教勧誘のオバチャンが来る。「Sorry」と断ると、「Dobro(Goodという意味)」と言って去っていった。

一時間もかかって、ようやくバス・ターミナルに到着。17クーナのハンバーガーを買って、ターミナルで食う。ちゃんと温めてくれる上、「ケチャップかマスタードかける?」と英語で聞いてくれる。高いだけあって、美味い。
Cimg0253で、我ながら呆れはてるんだけど、ターミナルのメディアショップで『Winx Club』の本が売っていたので、買ってしまう。アホ。
着せ替え遊びのできるマグネットが付いて、25クーナ。コミックがメインでありつつも、『Winx Club』のキャラが、ファッションや音楽を紹介している雑誌のような体裁。もちろん、すべてクロアチア語という珍本。


ザグレブのバスターミナルは立派で、鉄道よりバスのほうが圧倒的に発達しているのが、よく分かる。
『地球の歩き方』には、ザクレブからリエカまで、バス代は最低91クーナと書いてるけど、実際には86クーナだった。タクシーとは比較にならないぐらい安い。

で、リエカ行きのバスには、お客さんがいっぱい乗っていて、席の番号が分からない。するCimg0084と、周りのオバチャンたちがクロアチア語でいろいろ話しかけてくれて、なんとか自分の席が見つかる。「ハワラ」と、頭を下げまくる私。何を言ってくれていたのか、さっぱり分からなかったけど、ありがたかった。

バスの車内は、オバチャンたちが楽しそうに会話していて、すごく和やか。あと、ケータイの着信音があちこちから聞こえ、みんな普通に長電話してます。
リエカまで、3時間。少しずつ、車窓からアドリア海が見えてくる。


そして、片側にクレーンなどの湾岸施設、もう片側に町の喧騒が見えてきて……この町Cimg0088 は、ザグレブとは違う! バスの中から、もう心がざわついてきた。リエカには一泊するだけなので、この町の空気は、今夜のうちに吸わなくてはならない!
ダッシュで、明日のロヴィニ行きのバス・チケットを買う。立派なターミナルなどなく、なんとなく事務所っぽい受付っぽいところへ駆け込み、「ここでバスのチケットも買えますか?」と聞く。OK、買えた。 

そして、ホテルまで歩いていけるだろ……と、大きな荷物を引きずって、ホテルとは逆方向へ歩き出してしまう。
Cimg0089すると、『時をかける少女』のポスターが! ザクレブで国際アニメーション映画祭が開催されていて、『おおかみこどもの雨と雪』が上映されたのは知っていたけど、リエカでもやってるの?
どうやら、この町の映画館では毎年、日本映画の特集上映をやっているらしく、『時かけ』以外では『わが青春のアルカディア』『銀河鉄道999』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『カフカ 田舎医者』を上映! この町、気に入った!

とりあえず、ホテルの場所が分からないので、バスの止まった辺りへ引きかえす。この界隈のざわつき感、普通ではない。
タクシーにホテルの名前を告げ、部屋に入るやいなや、荷物を置いて飛び出す。早くしないと、この町のザワザワした感触を味わえない!


ホテルは、タクシーでは数分だったけど、さっきの騒がしい辺りからは離れている。もはや、勘をたよりに歩くしかない。多分、絶対にあっちだ!
Cimg0097すると果たして、すっかり暗くなった広場のあちこちに、若者たちが黒い塊をつくっているのであった。店頭で、サッカー中継を流している店がある。ゴールが決まるたび、ビールを手にした若者たちから歓声があがる。

Cimg0102子供たちが、通りで赤い風船を蹴飛ばして、笑っている。閉まったオモチャ屋のショーウィンドウを熱心に見ている子供もいる。19時すぎ、たいていの店は閉まっているのだが、まだ誰も帰ろうとしない。エネルギッシュだ。ザクレブの整然とした空気が、この町にはない。今夜こそ何かをぶっ壊してやろうと、町と人とがケンカをはじめようとしている……そんな真夏の夜のような雰囲気だ。

そして、広場のあちこちに、また『時かけ』のポスターが。
Cimg0099僕はキオスクでビールを買って、酔いを楽しんだ。夕飯を食べていないことに気がつき、マクドナルドが雑然とにぎわっているのを発見した。駆け込んで、「BIG TASTY」をテイクアウトで注文。ビッグマックとフライドポテトのセットだ。
マクドナルドもまた、親子連れや若者でごった返しており、注文の列がとぎれないのであった。


何かイライラとした情熱が、町からあふれ出ようとしている。僕は広場の石垣に座り、ビッCimg0096グマックをビールで楽しんだ。今日は日曜日だ、と気づく。それで親子連れが多いのか。
僕の前に、誰かが座る。注意をひくように、咳ばらいしている。無視してポテトを食べていると、何かブツブツと言って、立ち去った。「ジャポネ」という単語が聞こえたので、ひょっとしてフランス人? 

20時近く。明日は早いので、まだ熱の冷めないリエカの町を後にすることにした。きっと、彼らには、まだまだ娯楽が足りないのだろう。小さなアートスペースがあったが、そんなものでは足りないのだろう。
リエカには、古城や大聖堂などもあるという。だけど、僕には、何Cimg0103かを楽しみたくてイライラしている若者たちの発する熱、それだけで十分だった。

泊まったホテルは、手でエレベーターの扉を押して開けねばならないほど、古い建物だった。

翌日は、いよいよ最終目的地のロヴィニへ向かう。

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2013年10月12日 (土)

■1012 クロアチア旅行記・2■

昨夜、友達が無事の帰国を祝って、酒を飲み交わしてくれたんだけど、「個人の海外旅行は、犯罪に巻き込まれるケースがあるので」とのこと。そういう意味で、ツアーは安心なのかも。


さて、モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港に着いたら、チェックインして、出発まで過ごす。空港の売店でも、やはりユーロは使えず。やむなく、千円札をロシアン・ルーブルに換金してもらって、イチゴ味の飲料水を買う。
この空港は「トランジットに時間がかかりすぎるか、無さすぎる」と評判で、わざわざホテルに泊まりたくない人は、空港の床で寝ている。

 

とりあえず、モスクワを出発したら、クロアチアまでは3時間です。


クロアチア空港は、徳島阿波踊り空港かと思うほど、ちっちゃいです。初日と2日目は、日本人経営のアパートメントに泊まるので、送迎のタクシーを運転してくれる人を探す。「HIROTA」と書かれた紙を持って立っていたのは、端正な顔立ちの青年だった。
空港から首都ザグレブの中心地まで、30分ぐらいですかね。タクシーは安くはないけど、バスを使うと、アパートメントまで歩くか、トラム(市電)を使うしかなくなるので……。

アパートメントというのは、本当に普通のアパートの部屋を、そのまま貸し出している。
Cimg0013_2僕の泊まったアパートメントは、日本人が経営しているので、いろいろ情報が聞けて、すごく便利だった。

アパートの入り口で、どの部屋のボタンを押していいのか分からずにオロオロしていると、80歳ぐらいのオジイサンが笑いながら話しかけてきた。しかし、クロアチア語は挨拶ぐらいしか分からない。
オジイサンはそのアパートの住民で、事情を分かっていたらしい。笑顔でアパートの中に手招きして、「あそこの部屋だよ」と教えてくれた。すごい親切。
クロアチア語で「ありがとう」は「Hvala」。本には「フヴァーラ」と書いてるけど、僕には「ハワラ」と聞こえるので、オジイサンに「ハワラ」とお礼を言って、アパートの中へ。


アパートの経営を手伝っている、Yさんという女性から、トラムの乗り方を教わり、路線図までもらって、位置関係が分かってくる。3月のツアーで行った大聖堂や聖マルコ教会とは、まったく逆方向の市街地にいる。

まずは、アパート周辺をぐるっと散歩。スーパーやパン屋があるので、食べ物には困らない。
Cimg0027トラムというのは、この写真に見える、青い乗り物です。これに乗れるカードもYさんが貸してくれたので、明日乗ってみることにする。
こういう映画祭をやっているところが、何とも文化的で良いなあと思うのです。(翌々日、とんでもない映画ポスターを、僕は目にすることになる……。)

スーパーでビールを買うと、10クーナ以内で買える。10クーナは170円ぐらい。安売りなら、3~4クーナでロング缶が買える。
パンとかピザは、ひとつ10クーナ~17クーナぐらい。交通費を最重視して、食費をケチるため、とにかくパン。町中のパン屋でも、ショーウィンドウを指差して「This one」と言えば、普通に買えます。歩き食いも出来るし、パン屋が多いのには助けられた。

ビール2本とパンふたつで、いい感じに眠くなってくる。明日は、リエカという町までのバス・チケットを買いに行くので、20時ごろに就寝。


翌朝。バス・ターミナルは、中央駅より少し先にあるので、トラムに乗って行くことにする。Yさんからお借りしたカードをCimg0020 ピッとかざすだけなので、すげえ簡単です。結局、僕は日常生活で「分からない」「間違える」ことを、何より怖れている。車の免許をとらなかったのも、「間違える」可能性が増えるからだろうな。

パス・チケットが買えなかったら困るので、行き先と希望時間を書いたメモを持っていった。
「明日の午後、リエカ行きのチケットを一枚」と英語で言ったら、簡単に買えましたけどね。「そんなバス便はない」とか言われたら、旅行の予定がすべて崩れるので。
精神的に余裕が出たので、ツアーでも行った聖母被天昇大聖堂に歩いて行ってみよう、と決意。地図があるので、まあ大丈夫だろう。


で、大聖堂近くに本屋があったので、何かディズニー物でもないかな?と、フラリと入ってみる。
Cimg0252そしたら、イタリア・アニメ『Winx Club』の紙バッグが売っていた! それと、『塔の上のラプンツェル』のクロアチア語CD付きの絵本。
両方で50クーナぐらい。安い。これらを買ったのはいいが、袋に入れてくれないんです。これを持ったまま、大聖堂に入れと? 

やむなく入りましたけどね、『Winx Club』の紙バッグ持ったまま。大Cimg0055聖堂も、自分の意志で見に行くと、身に迫ってくるような迫力がある。ネットもテレビもなく、これを肉眼で見るしかなかった10世紀半ばの人々は、どれほど感激しただろうな。


しかし、『Winx Club』の紙バッグをむき出しで持ち歩くのは、さすがにアレなので、大聖堂近くの青果市場で、オバアチャンからビニール袋を買う。2クーナ。観光地のせいか、「How much?」で通じます。

あと、市場はあちこちにあるので、腹がへったら「This one」でパンを買えばいい。
市場で、すれ違いざまに「ニーハオ!」と声をかけられたが、アジア人の観光客は少ないし、別に腹はたたない。

で、大聖堂から公園を通って中央駅に出て、そこまで来ればアパートまで徒歩20分ぐらいで帰れるはず……と歩き出したら、それからえんえん4時間、ザグレブの町をさまようことになるのでした。
トラムの線路をたどっていけば、必ず駅前に出られる……と思ったんだけどね。
Cimg0060Yさんからもらったカードで、ケーブルカーにも乗れると聞いたので、つい乗ってしまったのが、運のつき。

10メートルほどのケーブルカーを降りると、ツアーで行った聖マルコ教会が、ちらりと見えた。そっちは興味ないので、またトラムの線路を探す。
そしたら、ポツポツ雨が降り出した。折り畳み傘があって、よかった。


トラムの線路が、公園の中でグルッとターンしていたりして、これはもうダメかも……と思いかけたとき、植物園に行き当たった。路線図では、植物園の次の駅が、中央駅なのだ。ここまで来れば、一安心。
植物園をのぞくと、傘をさした女の人が立っている。ここは無料のはずだし、トイレもあるので、迷わず見物していくことにする。

すると、大きな温室は14時でクローズしてしまっていて、小さな温室がひとつ空いているきCimg0075り。全体的にさびれていて、なかなかイイ雰囲気の植物園でした。

中央駅まで、歩いてすぐ。駅の構内で「This one」でパンを買う。
帰りはトラムで、アパート近くまで。大きなスーパーがあり、カップヌードルも売っている。
だけど、レジのオバチャンがドスコイ系のでかい人で、俺の顔を真正面から見ながら、クロアチア語でベラベラベラッと何か言った。こーいうのが、いちばん怖い。レジ袋が必要かどうか聞いたらしいのだが、そういう「知らないルール」が目の前に現われると、急に萎縮してしまう僕なのでした。


クロアチア2日目は、道に迷って終了でした。リエカまでのバス・チケットが買えたので、上出来でしょう。明日の夜は、ついにアドリア海。
Cimg0254そして、道に迷いつつも、大きな本屋で購入したのが、『Mjesećeve sjene』というタイトルの本。「月の影」という意味らしいんだけど、悪魔の装束をした俳優たちが、さみしい森の中の廃墟に集まっていて、デジタル加工で、不気味な炎が合成してあったりします。

お値段150クーナ。2千円ってとこですか。古い皮のような印刷処理がしてあったり、底知れぬ魅力に溢れた本です。

そして翌日、リエカという港町で、懐かしいアニメと出会うことになります。

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2013年10月11日 (金)

■1011 クロアチア旅行記・1■

10月3日~11日、クロアチア共和国を一人で旅してきました。今回は、子細にメモをとったので、それを元に旅行記を書きたいと思います。
1_2
クロアチアは「く」の字型をした国なのですが、今回は首都ザグレブから西へ、長距離バスを乗り継いでの旅です。貿易都市であるリエカで一泊し、最終目的地は、小さな古都ロヴィニです。
ロヴィニは、ネットの記事で少し有名になったのに、世界遺産もないし、観光ルートからは、なんとなく外されてしまうようですが……。
Cimg0197_2
こんな風情なので、「ジブリアニメっぽい」とか言われています。「『魔女の宅急便』に出てくる都市は、クロアチアではないかという噂がある」などと、旅行の本にまで書かれる始末です。
実際には、『魔女宅』で取材されたのは、スウェーデンです。
だけど、「せっかくキキのフィギュア()作ったんだし、本当に“海の見える街”で撮影してくれば?」と友人に薦められ、キキと一緒に、クロアチア最西端のロヴィニまで行ってきました。

Cimg0123
この日は雨模様だったんですが、ロヴィニに着いてから1~2時間だけ、ちょっと日が出たんです。その隙に、旧市街の三ヶ所ぐらいで、撮ってきました。
Cimg0124_2←こういう場所とかで。普通に観光客が通りすぎつつ、チラチラ見ていきます。またポツポツ降ってきたので、人目なんか構っていられない。

だけど、背景が良くてもピタッと平面に置ける場所がなかったり、町全体が雨で濡れていたので、いろいろ苦労。
意外と、オタク的なものに出会えた旅だったので、今後の更新をお楽しみに。


まず、番外編として、飛行機の乗り換えの都合で立ち寄った、モスクワの話でも。(東京でビザ取るのが、面倒でした。)
Cimg0001モスクワのホテルで一泊するため、シェレメーチエヴォ国際空港で降りて、ホテルに向かいます。
(←青と銀をベースにした建物はSF風でカッコいいのに、いろいろ問題ある空港として知られる。ユーロは使えず。)

送迎バスが見当たらないので、タクシーの運転手に「ユーロ、OK?」と聞く。だが、「ユーロ? ユーロって何? そういう名前の都市に行きたいのか?」と、まるで通じない。
印刷物に刷られたEUROという文字を見せると、「ああ、ュイェロか。使えるよ」。まったく発音が違う。

ホテルのフロントのお姉ちゃんは、ブロンドのショートヘアに白いスーツで、本当に70年代SFというか、アンドロイドっぽい。翌朝、「チェックアウト」とルームキーを差し出したときも、パソコン画面を凝視したまま「んーふ」としか言わない。そういう人造美女が好きな人には、たまらんホテルなんだろうけど、併営のレストランではユーロ使用不可。

ホテルの周りには、SUBWAYがあるだけ。どうせユーロは使えないだろうから、通りすぎる。翌朝の朝食サービスまで、水で我慢。
Cimg0008その近くにあった花屋が、80年代スピルバーク製作総指揮というか、裏庭から冒険がはじまりそうな、いい雰囲気だった。

翌朝は、ホテル前からの送迎バスで空港へ(バスというか、ワゴン車だけど)。ターミナルF、E、Dに停車するんだけど、Fで停まると、一緒に乗っているオッチャンたちが口々に「F!」「F!」「F!」 後ろの乗客に伝えるためなんだけど、その掛け声がまた、SFっぽくてカッコよかった。

ちなみに、モスクワまで飛行機で7時間ぐらい。モスクワから、クロアチアの首都ザグレブまでは、さらに3時間近くかかります。
 

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2013年8月21日 (水)

■0821■

レンタルしてきたものの、ぐっすり眠ってしまった映画、2本。

『ネバーランド PART1 ピーターパンと魔法の石』。劇場未公開のDVDオリジナル。アルバトロス発売なので、まあ、察してください。
一見、スキンヘアに見える、全身銀色のティンカー・ベルに、びっくり仰天(しつつ、寝た)。

『トータル・リコール』(2012版)。とにかく、CG満載の映画が見たかったので。
Total10美術が『ブレードランナー』リスペクトで、雨の降りしきるアジアめいた未来都市は、なかなか良い雰囲気だった。
ミニチュアのような雑然とした街並みの、はるか奥のほうに、小さく薄紅色に染まった空が、かすかに見えている。そのセンチメンタルな構図。SF映画、特撮映画にしかあり得ないはかなさが、そこにはあった。

……と言いながら、二回見て、二回ともぐっすり寝てしまったわけだが。
三回目に見たら、やっぱり途中で飽きてしまった。だいたい、「未来の車」が大活躍するSF映画は、要注意です。『ブレードランナー』のスピナーは、ちょっとしか出なかったでしょ。

頭から見て、まるでつまんなかった映画はさておき、「うっかり寝てしまった映画」には、何らかの値打ちがあるような気がしている。
本日借りてきた映画は、『オリンダのリストランテ』。さて、眠れるか?


3月のクロアチア・ツアーでは、ドーハ国際空港から、ブダペストを経由した。
僕は、窓際の席に座っていて、隣には金髪のお姉ちゃんと、その彼氏だか旦那だかが座っていた。窓際の席で、隣に外人のお姉さん。46歳にもなっても対人恐怖を克服できない僕にとっては、最も緊張するシチュエーションのはず。
だが、僕は居眠りしたり、機内上映の『ピーター・パン』を見たりして、リラックスできた。これが、旅のマジックというやつだ。

そのお姉さんは、長旅で疲れているらしく、一言も話さなかった。機内食が来たとき、英語で「○○料理って何のこと?」と、CAに聞いていたぐらい。
ブダペストで駐機したとき、降りるお客さんも大勢いた。なので、通路側に座っていた彼氏が、僕に「君は、ここで降りなくていいの? ザグレブまで乗るの?」と聞いてきた。英語だったけど、なんとなく、ニュアンスで分かった。
僕は「イエース、サンキュー」とだけ答えた。

その時の、おどおどした彼氏さんの顔が、忘れられない。
席が空いたので、金髪の彼女は、無言で別の席へ行って、眠ってしまった。彼氏さんは、そんな彼女に声もかけられず、気まずそうにしていた。ケンカでもしてたんだろうか。

僕の人生の友。それは、対人恐怖と計画性の無さ。
どちらも、海外旅行とは相容れない。でも、だから行くんだよ。


国内のことを書くと、どうしても暗くなるので、もう少しクロアチアの話を。

ツアーの最後に、トロギールという小さな島のような形の観光地へ寄った。
Cayew4n7その時に地元のスーパーで買ったのが、この本だ。タイトルを『クロアチア語常用6000語』で調べると、「熱帯」という意味のようだ。
中身は動物図鑑なのだが、それぞれの動物のペーパークラフトが付いていて、最後のページに付属する熱帯雨林のジオラマに、ぜんぶ飾れるようになっているのだ。装丁も凝っていて、インクの染みや褪色した跡が、印刷で再現されている。
これを買ってきたら、同じツアーの女性たちが「うわあ……」「きれいな本!」と寄ってきた。だけど、最後のページが破れていたんだよな。

すると、女性たちは「まだバスの出発まで5分あるから、取り替えてもらいなよ!」と口々に言う。
僕は、ダッシュでスーパーへ戻り、日本語で「ここ破れてるから、新しいのに替えてもらっていいですか?」と訴えた。何を言わんとしているかは通じたらしく、レジのおばさんは「ああ、どうぞ」みたいなことを言って、すんなりと取り替えてくれた。

僕がひとりで頼りなさそうに見えたのか、同行した女性たちには「ちゃんと本、とり替えてもらった?」「廣田さん、時計は買ったの?」と、何かと気をかけてもらった。
だけど、今度はひとり旅だ。寂しい思いを、することになるんだろうな。

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2013年5月18日 (土)

■0518■

結局、自分で自分の時間をコントロールできないから「忙しい」ことになる。何十本仕事があろうと、自分の時間割で進められるなら、「忙しい」という、最悪の言葉は出ない。
なぜ自分の時間なのに、自分でコントロールできないのか? スケジュールが曖昧だったり、急だったり、たいてい、パートナーがシャンとしてくれないからである。曖昧だったり急だったり……を、防いでくれるパートナーでなければならぬ。
だって、俺はスケジュールを「なるべく早く」と曖昧にしたり、「やっぱり明日中」だとか、急にしたりはしないもん。スケジュールは明確にしておいて、余裕をもっておいて、その期間内に片付けられるかぎりにおいて、引き受けるもん。

「忙しさ」の本質とは、ようは「だらしなさ」と「主体性の欠落」なのだ。
へらへらと遊び歩いているように見えて、約束どおりに仕事を終わらせる。それが本物だと、覚えておいていただきたい。
(逆を言えば、「○日までに仕上げます」と自分で言っといて、「やっぱり出来ません」と言い訳するようになったら、俺もいよいよ終わりだろうね。)


秋のクロアチア再訪計画。
港町のロヴィニに行くには、クロアチア最大の貿易港と呼ばれるリエカを経由しても良い。ザクレブからロヴィニへの直通バスもあるらしいけど、リエカで一泊してもいいな。
とにかく、ゆっくりしたい。ロヴィニは西端にあるから、小さな古都であるロヴィニで、しみじみと寂しい気持ちで旅の最後を味わい、帰りはザグレブへの直通バスで帰るってのはどうだろう? それから、ザグレブでもう一泊して、翌朝早く、飛行機に乗る。計四泊か。

その次は来年春か初夏、プリトヴィッツェ湖群国立公園だけを目当てに行くとか。
「いやいや、やっぱりクロアチアはもういいや」という気分になったら、叔母さん(母の妹さん)に薦められたように、ハワイにでも行けばいい。とにかく、楽しむ。義務にしない。

僕は、人生経験が少ない。その少なさを使って、楽しむ。
Cimg1158(←ドブロヴニクにあった寿司屋の看板。とにかく何でもあるドブロヴニク。あまり上手くはないアーティストが住みついて、好き勝手に作品を描いていたのも分かる街。
怪しげな飲み屋もあったけど、飲み過ぎそうで、怖くて入れなかった。朝から歩き回って、フラフラだったからな。夜は、レストランでウイスキー一杯頼むのが限界だった。)


クロアチアを知ったのは愛知万博のときだから、8年まえか。「もう10歳若いときに行っていれば」という後悔は、成り立たない。その頃は、ツアーなんてなかった。結婚していて、窮屈だったしね。
春のツアーには、世界のあちこちを巡っている老夫婦もいた。僕には、そんな相手はいないし、そもそも経済力がない。じゃあ、どうすれば幸せになれるのか?

「客死」ってのは、いいなと思うよ。いつでも、どこかへ行く途中でいたいんだ。
目的地に着いたら、また次の目的地へ……クロアチアというのは、物理的な国というよりは、「心の在り方」であって。俺は、またあの気持ちになりたいんだ。あるいは、ずっとあの気持ちでいたいんだ。

たいした人間じゃなかった。成功したとは言えないだろう。でも、俺は幸せだ。
宝を手に入れたんじゃなくて、呪いがとけたんだと思う。苦労して宝を手に入れるのは、俺からすれば、幸せではないです。そんな呪縛から解き放たれることのほうが、何万倍も大事だよ。

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2013年4月15日 (月)

■0415■

「あたかも外国映画のようにふるまう」――『王立宇宙軍』の企画書の中で、見かけたフレーズだ。
「アムロやシャアは、本当は何語を話しているのか?」という話題は、当時のアニメックかOUTに出ていたと思う……つまり、外国人名のキャラは、外見のデザインこそ日本人と区別ないのだが、日本語に翻訳された別の言語を話しているはずである。その詐術に、あえて切り込んでくれたのが、『翠星のガルガンティア』だ。

宇宙で使われている言語、地球の言語、そしてそれらを翻訳した日本語が入り乱れるの130318ktgaruだが、そういうカットでは、人物の配置・レイアウトを(かなり)工夫しているように見える。
いずれ詳しく解析したいが、つまり「日本語は便宜的に使っているのであって、実は本物の音声ではない」と自覚しながら、作劇しているのだ。
われわれの耳に日本語として聞こえているのは、地球語か宇宙語の、どちらか。それをカットごとに意識するのは、成功/失敗以前に、必要なことだったんだ。


「あなたの見ているのは絵でしかなくて、“本物”は別のところにある」。
これを強烈に、悪意をもって感じさせてくれるのが『惡の華』。全編ロトスコーピングのTVアニメというフォーマットから感じられるのは、「これは絵に置き換えた映像ですから、“本物”がどこにあるかは、自分の胸に聞いてみてね」という、意地悪な問いかけだ。

実写映像をペイントして仕上げた『ウェイキング・ライフ』に、少し似ている。特に、「これは夢の中なのか、それとも現実か」と議論するエピソード。
あれは、「あなたが“確たる現実”と認識しているもの、それは“別の本物”をトレースしたウソなのかも知れないよ?」と、見るものを不安にさせる。

『惡の華』は、背景も詩的でいいな……と思っていたら、小林七郎さんの弟子筋に当たる秋山健太郎さんでした。陰影の深い、手描きの質感が気持ちいい。


また、旅の話題です。
クロアチア観光ツアーの最後、トロギルという小さな観光地へ寄った。
世界遺産に指定されている旧市街は、小さな島に集まっており、短い橋を渡ると、そこそこ賑わった現代風の町があった。

僕は島の雑貨屋で、ガキ向けのお菓子を買って、店員のおばちゃんと口論になったりした。そういうときは、もう英語は使わない。「そっちじゃなくて、こっちが欲しい」と日本語で言ったほうが、むしろ伝わる気がする。
Cimg1197_2(←「魚市場」と書かれた看板。市場とは関係のない、旧跡の前に置いてあった。)
どこをどう歩いても迷いようがないし、ツアー最終日だし、もう自由行動でいいや……という投げやりなオマケ気分が、心地よかった。

しかし、ここほど怪しいオジサンのふらついている町も初めてで、僕がデジカメを構えていると、よれよれのシャツを着た老人が近づいてきた。僕が場所を移動すると、その老人も着いてきた。
帰国後、友人にその話をすると、理由は忘れてしまったけど、そういう観光地には、スリや浮浪者が多いんだそうです。
確かに、橋を渡った市場には、いくらでも食べ物が転がってそうだし、暖かいから公園で寝られるし、浮浪者になるなら、ここが一番かも知れない。

僕には、その老人が、どうしても他人とは思えなかった。
――デイバッグひとつで、クロアチアはおろか、バルカン半島9ヵ国を、たったひとりで周った人の旅行記が、かなり面白い。→ これぐらいの行動力がないと、本来、人は生きていけないのではないか、とさえ思える。

(C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

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