2011年2月24日 (木)

■0224■

明大講師のレナト・リベラ・ルスカ氏の案内で、同大特任准教授の木村乃さんの事務所へ。
Cazx6155もちろん、電子書籍出版の相談なのだが、本一冊をベースに、実は思いもよらない展開が出来るんだよと、ホワイトボードまで使って、レクチャーしていただく。

やっぱり、Twitterをやった方がいいのかな。早ければ、今夜から始めよう。酔っ払って、とんでもないこと書きそうだ。


『マイマイ新子』本校了につき、何人かの方からお祝いの言葉をいただいた。
(4ヶ月と数十分にわたる悪戦苦闘でした。3月11日に発売です)

だから、というわけでもないのだが、友だちとガールズバーに行ってみた。
キャバクラのチープなゴージャス感に飽きてきたところなので、カウンターごしにミニスカを鑑賞しながら酒、という気軽さが良かった。指名もできるし。

なんか、キャバクラは重たいよ。行ったら行ったで、アフターに誘えなきゃ負け、みたいな義務感があるし。手書きの名刺も、ドリンクくれくれ目線も、すべてが重い。
ガールズバーは、そもそも長居する雰囲気じゃないもん……って、延長延長で、3時間もいたんだけど。


『スター・ウォーズ』日本公開の1978年前後は、「SF映画大全集」的なコンピレーション・アルバムが大流行だった。『渚にて』とか『猿の惑星』とかに混じって、収録されていたのが『ソイレント・グリーン』。
Soylent_green友だちがDVDを借してくれたので、ひさびさに見てみた(30年近く前にテレビで見て以来だ)。

70年代SF映画の、ちょっとした未来の小道具、四角いボタンに多面体のランプなどには、ラジカセの古い広告にも似た哀愁を感じる。追えば追うほど、未来は逃げていく。

もっとも、この映画には未来的な小道具はわずかしか登場しない。鮮明に覚えていたのは、安楽死させるための装置で、部屋いっぱいに美しかった頃の地球の風景が広がる。そこへかかるベートーヴェン交響曲第6番『田園』。それが、『ソイレント・グリーン』のテーマ曲である。

いったい、あのレコードを何回聞いただろう。テレビでカットされていたエンドロールは、実は安楽死のシーンで流れる映像と『田園』のつづきなのである。


近くの玉川上水に、枯れた花たちを埋めに行った。
土の匂いを、ひさびさに嗅ぐ。夕暮れに近い2月の雲は、薄い藍色だった。

(C)2003 Warner Bros.Entertainment Inc.All right Reserved.

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2011年2月 9日 (水)

■0209■

Twitterを見ていたら、「日本テレビがマッドハウスを子会社化したなら、『マイマイ新子と千年の魔法』を放映してくれるかも」という希望的観測が、多かった。
でもだから、何でそこで「してくれるかも」なんだろう? 日テレに電話するなり、メールすればいいじゃん!→連絡先

私は、リクエストしました。署名よりカンタンよ。


火曜日は、電子書籍の企画売り込みのため、経済産業省 製造産業局 クール・ジャパン室へ。
もちろん、共同企画者のレナト・リベラ・ルスカ氏も一緒である。レナト氏も僕も、どうしてこの雑誌が必要なのか力説したが、相手が間違っていた模様。これは、明らかにこちらの見込み違いで、クール・ジャパン室には非はない。
ようは、クール・ジャパン室は、完成したコンテンツを「流通させる」のが業務なのである。

だから、アニメの作品名や監督名をあげても「?」という顔をされた。

それでも僕らは、ふだん、胸の中でグラグラと煮え立っている思いを言葉にできて、むしろ勉強になった。
この試みは、僕らにとっては「当然やっておくべきこと」であり、僕にかぎって言うなら「気がついていたくせに、サボっていたこと」でしかない。

お上の反応なんて、最初はこんなもんよ。三鷹市役所に門前払いをくらった頃よりは、進歩したろう。


レンタルで、『インビクタス/負けざる者たち』。
Invictus03クリント・イーストウッドは、『グラン・トリノ』も『ミリオンダラー・ベイビー』も良かった。『インビクタス』も、まあまあだが、プロスポーツというのは、どうも胡散臭いよなあ……。この偏見、どうやって取り除いたらいいのか。真剣に考えはじめている。

ラクビーの試合そのものは、ハイスピード撮影を効果的に使って、迫力を出している。球が飛ぶ音なんて、実際には聞こえるわけがないんだけど、ちゃんと後から付け足している。
これも、「技術が優れているから、つい見入ってしまう」という好例。


今から、六本木に『新子』を見に行こうと思う。いい具合に、晴れてくれた。

(C)2009 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

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2011年1月26日 (水)

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明治大学の北脇学特任講師を、レナト・リベラ・ルスカ講師に紹介してもらう。
Caitm30f_2むろん、電子書籍のスポンサー探しの話し合いのためだ。
(←研究室で打ち合わせ中。写真右端は、北脇さんの手。なぜか、レイズナーのフィギュアが……)

北脇さんとレナトさんのお2人は、明大の「COOL JAPAN SUMMER PROGRAM 2011」のプロジェクト・メンバーだ。
「アニメ!アニメ!ビズ」に、昨年の記事が出ている(英語だけどね)→こちら

他にも、アニメやゲーム関連の面白い動きは、日本国内で、いっぱい起きています。なぜ、それがあまり報道されないかというと、みんなが「アニメなんて、しょせん商売、カネ」としか思ってないからです。つい昨日も、あるアニメ会社に「お金にならない話には、参加できません」と言われました。
誰も「アニメは文化だ」なんて、本気で考えてないんですよ。

夜空に輝く星は美しく、われわれを感動させてくれる。しかし、誰かが研究しようと思わなければ、宇宙の神秘にタッチすることは出来ない。
「星なんて、ただの光だ。誰得だよ?」 そう考えてしまったら、すべてはデッドエンドだ。

今年の僕は、ちょいとうるさいよ。


取材と取材の間をぬうようにして見たのは、韓国のドキュメンタリー映画『牛の鈴音』。
Thumb_450_01_px450なんで、こんな渋い映画を借りたんだか、よく覚えてない。自分と完全に無関係であるような、ありありと身近に感じられるような、不思議な距離感。

死んだ老牛を埋め、土にマッコリをかける。マッコリのアップのみだから、実際に土にかけてはいないのかも知れないが、カットとカットを頭の中でつなげるのは、観客の役割だと思う。


「祭壇を見たい」という友だちが、お土産にウイスキー・ボンボンを持ってきてくれた。
Caaehjjsとりあえず、祭壇に並べる。ハロゲン・ヒーターを暖炉のようにして、いろいろの話をした。

今さら、自分に、こんな穏やかな時間が訪れるとは、思いもよらなかった。

(C)2008 STUDIO NURIMBO

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2011年1月21日 (金)

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理想を実現するために、どれほど苦労が必要か、今の私には、まだ分かりません。
数多く、失敗してきました。それでも、「明日」のことを考えたい。

明治大学の講師、レナト・リベラ・ルスカ氏と、昨年7月より、新しいコンセプトのアニメ雑誌の構想を練ってきました。電子雑誌として出します。記事は欧文で併記しますので、海外でも売ります。
おそらく、従来のどのアニメ誌とも競合しません。強いていうなら、モノクロで数ページだけ載りそうな記事を、丸ごと一冊、カラーでつくるような、地味なものになるでしょう。

つくりたい根拠は、私が自分の意見を述べたいとか、私の好きな作品を並べたいということではありません。10年後、20年後のアニメ・ファン、国内外の研究者に参照してもらえるような、ガッチリした資料をつくっておきたい。
そのような性格の本ですから、本来なら、無料で配布したいぐらいなのですが、われわれも、ほとんどボランティア同然ですので……(笑)。
儲からないですね。苦労するのは、目に見えています。

業界の内外から、資金的な援助を申し出てくれる方たちも現われはじめましたが、やはり、本業に精を出しながら、コツコツと……という形にならざるを得ません。

半年間の試行錯誤のすえ、ようやく売り込みスタートしたところです。徒手空拳、熱意と誠意と意地だけが武器です。
詳細を発表できる時期になったら、応援、よろしくお願いします。


『フラクタル』第2話、面白い。これは、いい作品に出会えたぞ。

道で女の子を自転車に乗せていて、落っことしてしまうでしょ。
次のカット、引きの絵で、石Image塀が画面を横切っているから、女の子がどうなったか、すぐには分からないんですよ。しかもですよ、女の子が落ちたところが、木陰なの。
主人公の少年は、大きな木の下へ走っていきます。その木陰の中でね、彼は「もう一度」、その女の子と出会いなおすんですよ。
……その一連の流れの、きれいなこと。そういうところを見なくては、ダメです。

「神戸守さんのコンテは、上手いな」と思ってもいいんだけど、「きれいだな」って感じたでしょう。
そのカットの流れに、何の意味があるのかと聞かれたら、「だって、この方がきれいじゃないか」と、僕は答えます。その素朴な感覚をなおざりにしたら、作り手ではなく、僕らがアニメを滅ぼしてしまうことになります。

優劣や数字だけを問題にすべきではありません。ハートで見ましょう。

(C)フラクタル製作委員会

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