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2023年4月 6日 (木)

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徒歩圏内の喫茶店を巡回することに閉塞を感じ、たまたまGoogleマップで発見した新開店の店へ、わざわざバスで行ってみた。
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古民家風で、すごくよく空間のゆとりを考えてある。
でも、店主の美意識が店に堆積していくには、時間が必要なんだと思う。アルバイトの若い店員では、重みが出ない……これは一概には言えず、入店したばかりの軽い雰囲気のアルバイトのほうが、その店の雰囲気にマッチする場合もある。
個人とか家族で経営している我の強い店、飽くまで「小さな企業」として人を雇っている店、それぞれの方向性が違う。こうした読解こそが、喫茶店へ行く楽しみだと思う。


愛読しているブログ「不安が多い人のための転職ガイド」()の作者さんの本が、kindleアンリミテッドで読める。
このブログはタイトル、挿絵のセンスもなっちゃいないとは思うが、その不器用なところに誠実さを感じる。この作者さんは学校の勉強ができず、若いころは低賃金のアルバイトを転々としながらホームレスになる不安におびえていた。自尊心の低さゆえ、自分には誰にでも出来るアルバイトしかないと思いこんでいた。僕とそっくり。
ようやく彼は、組織の中でうまく流れていないウィークポイントに手を加えて、仕事のシステムを快適に流れるように構築しなおす仕事を自分で見つけた。つまり、誰かから与えられるのではなく、自分で自分の仕事をつくってしまったわけ。本には、その辺りの事情が詳述してあった。

まるでゲームを遊ぶように、自分ひとりで楽しみながらシステム構築して、無能な上司の先回りをして信頼を勝ちとっていく。
そこまで一人でやると、どんな仕事でも怖いものがなくなるという気持ち、ちょっとは分かる気がする。自分の能力の範囲を把握していて、その圏内で必ず勝てる戦いをやっている。
今では寿命まで困らないぐらいの莫大な資産を手に入れて、これといった欲も趣味もないので、40代で引退して毎日のんびり暮らしているという。
話がその辺りへ及ぶと、いまだホームレスになる不安を抱えている自由業の僕とは乖離しはじめるものの、人生や仕事に対する考え方、他人との距離感や孤独の愛し方には大いに共感させられる。
(自己愛性パーソナリティ障害につけこまれがちな人は、他人に期待しなくなって濃密な関係を避けるようになる。そして、孤独の貴重さに気がつくのだ)


上記ブログとは関係ない人の言葉だが、「よく遊ぶ」ことがお金の不安をなくす……これにも、得心がいった。
「よく遊ぶ」とは、他人のつくった遊びのルールを享受するのではなく、自分で遊びの計画を立てること。
僕の場合なら、旅行に行くための計画をあれこれ考える。タクシーを使わざるを得ない場合は、いくら必要か多めに想定して、現金を確保しておく。その余裕の範囲内で、屋外でビールを飲める場所を見つけて突発的に飲んだりしている。その贅沢のためにタクシーに乗れなくなった等という、頭の悪い事態には陥っていない。
臆病なぐらい慎重に考えるけど、その目的は「楽しむこと」なんだよな。
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この画像は公園の休憩所のものだが、日常的な飲酒や喫茶も、旅行と通底していると思う。「これぐらいならダメージはない」というバッファの中で、好き勝手をしている。あれもこれも我慢、とにかく節約、少しでも安く……という発想には、計画性がなく、もっとも貧乏に近い。
「マスクしてください!」ヒステリーにも、同質のものを感じるんだよな。安全、安心の範囲を自分で狭くしておいて、その窮屈さがストレスを生んでいる。「楽しく生きるにはどうしたらいいのか?」という、長いスパンでの目的と考察が欠落している。
ちょっとリスクを冒す勇気がないと、自由にはなれないんだろうな。


最近観た映画は、『そして人生はつづく』。2回目。
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一度でも中東に旅したあとでは、その質素な生活風景が、日本にも似た親しげなものに見える。……こうした、ちょっとした視点の広がりのために、何十万もかけて旅行へ行ったんだよな。この自分だけの財産を元手に、さて次はどんなことをやろうか?と考えてしまう。
誰のものでもない、海のように広がるこの「気持ち」。それが手に入ったのだから、もう十分なのかも知れない。でも、「これから」が気になる。

作品の半分は作者のものだけど、鑑賞するのは僕だけしかない。僕だけが、作品の価値を決められる。僕が変われば、作品の価値も変わる。その重み、その脆さを受け止めきれない人が、他人に頼る。

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