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2023年2月17日 (金)

■ヨルダン旅行記-1■

2/1から2/15まで、ヨルダン・ハシェミット王国へ旅行してきた。
その期間の前後、スイスのチューリッヒ空港近くで一泊ずつしたので、ヨルダンには13日ほどの滞在だ。2019年のアゼルバイジャン以来、4年ぶりの海外旅行となる。
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(ワディ・ラムの渓谷で、ベドウィンのガイドさんが撮ってくれた写真)
しかし、今回は以前のように時系列で旅行記を書く気持ちになれない。まず、このココログが右クリックが使えず写真の挿入も手間がかかって書きづらいこと。
もうひとつは、「経験」が「記憶」へと変換されていくため、その時の気持ちを思い出して書いても、最初の「経験」とは本質が違ってしまっているからだ。とらえどころのない「現象」が、僕という器の中で、どんどんストーリー化されていく。その「ストーリー」には、果たして意味があるのだろうか?
険しい遺跡や砂漠、喧騒に満ちた清潔とは言いがたい首都アンマンを歩いた経験は、確かに筋肉の中には残っている。ピータ(薄いパン)にフムス(ディップ)をべっとり付ける食事も、味覚としてセットされた。もう忘れない。それで十分ではないか?という気がする。

■飛行機
成田~スイス間の飛行が12時間もあったが、機内は空いており、三人席や四人席を占有して横になれ、のびのびと快適に過ごせた。食事も、まあまあ。ビールも飲めた。
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スマホでチェックインしておいて、後からトイレに近い空いている席を選び直せるのもグーだった。他にも、Googleマップで迷わず歩けたのはもちろん、ホテルを予約したり仕事のメールを返したり、翻訳ソフトで会話したり、アプリを落としてタクシーを呼べたりなど、スマホとWi-Fiルーターには本当に助けられた。
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機内上映で観た映画は、『ギャング・オブ・ニューヨーク』、『恋人たちの予感』、『恋愛小説家』、『ニューヨーク、ニューヨーク』、『イージーライダー』、帰りは『最後の決闘裁判』、『トップガン マーヴェリック』、『マネーモンスター』、まあ2回目のものもチラホラあるが、どれも面白く観られた。

■スイス
スイスのチューリッヒ空港から徒歩圏内のホテル(行きはタクシーを使ったが、帰りは30~40分ぐらいで歩けた)で、清潔な部屋に一泊ずつ出来たのも良かった。朝食は3000円ほど追加でかかるが、空港で食べても、同じぐらいかかったと思う。
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スイスからヨルダン行きは午後便なので、午前中はゆっくりして、スマホで定例ミーティングにも出られた。そして、前述のように歩いて空港まで行けた。歩道は平坦なので、スーツケースがあっても問題ない。

■ダウンタウン
ところが、ヨルダンに入国すると印象はガラリと変わる。空港からのタクシーでは、カードが使えずチップまで現金で求められるため、ずっとタクシー代には悩まされた。
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ホテルはダウンタウンのど真ん中、1階で店舗で上階がホテルになっている。まずは、行きかう車がひっきりなしにクラクションを鳴らしているのに面食らった。路上に店を出している商人たちは、なぜか喧嘩でもしているかのように大声で怒鳴り合っている。
ホテルは、もちろんズタボロに汚く、バスルームにタオルはない。床はベタベタしており、匂いもキツい(おそらく煙草の匂いだろう……2日目には、この不潔さに慣れてしまうのだが、とりあえず白いスラックスは脱いでスーツケースにしまい、ヨルダンでは2度と履かなかった)。
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そして、大量の車が行きかう夜、もちろん信号などない車道を人々が自己責任で横断する中に混じって、とりあえずビールだけ買いに出た。
こういう時の僕は、野性の勘で酒屋を探し当てられる。ホテルから5分ほどなので、翌日はカードで払った。ビールの入手は、土地によっても事情が異なり、なかなかエキサイティングだった。

■ジジイ
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翌朝は雨が降ったりやんだりで、コートを脱いだり着たりした。この季節のヨルダンでは、コートが欠かせない。ペトラ遺跡へは、うっかり薄手のジャケットだけで出かけてしまった。
JETTという、国内最大手のバス会社まで歩いて翌日のチケットを買いに行ったのだが、40分以上も登り坂が続く。バス・ステーションの受付はヒジャブを巻いた女の人で「1分だけ座って待ってて」とムスッとしていたが、僕の順番がきた時、こちらを向いてニコッとほほ笑んだ。ヨルダンの人は威厳を保つためか、接客業でも不愛想で硬い感じの人が多い。しかし、たまに人間臭さが顔を出す。

バス・ステーションからの帰り、歩いてもよかったが、たまたまタクシーが近くにいたので送ってもらうことにした。
運転手は、74歳とのこと。このジジイが話好きで、僕の離婚話まで引き出して「55歳だろ? またそのうち、いい嫁さんが見つかるよ」などとヒザを叩いて笑いながら言うのだった。この人なら信頼できるかな……と思い、明日の朝10時にバス・ステーションまで送ってほしいと話してみた。
すると、ジジイの態度は曖昧であった。「バスでどこへ行く? アカバか?」「いやあ、アンタに会えてよかったよ」と握手を求めてきたりする。料金を聞くと、10ディナール。ところが、20ディナール札を渡してもお釣りを返さない。
チップが必要かと思って1ディナール札を2枚差し出すと、「何だコレは? どういう意味だ?」とムッとしてしまう。ところが帰り際、「明日の朝10時だったな」などと言うのだから、約束はしたのだろう。翌朝の分も含めて、20ディナール受け取ったのだろうか?
最後まで読めなかった、この人懐っこいジジイの腹の中は。

(当時のメモを一切見ずに、Facebookにアップした写真だけを頼りに書いている……早くも、僕の意識が「ストーリー」を「体験」を封じ込めようとしている……つづく)

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