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2023年1月29日 (日)

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ホビージャパンヴィンテージ V0l.9 31日発売
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いつものように、巻頭40ページの構成・執筆です。『ボトムズ』は、あまり顧みられない1/48シリーズも取り上げてます。
インタビュー・特集タイトルの題字は、高橋良輔監督。開発者インタビューは、元タカラで創映社の設立メンバーでもある沼本清海さん。そして、1/24スコープドッグを開発した泉博道さん(元タカラ)。こうした方々へは、もうぶっつけでメールしてアポをとるのです。


27日は凍えるような寒さの中、寺田倉庫Gへ。『狭土秀平 土に降る 』、無料で見られる。
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床に土や瓦礫を広げる手法はシンプルだけど、確実な異化効果が出る。作品ひとつひとつのインパクトが薄いのであれば、空間を大胆にデザインして意味を増幅することで、満足度の高い展示になる。
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(庶民的な喫茶店に行くつもりが、ヴィーガン向けメニューのある意識高い系のお洒落カフエしか空いてなかった。計1900円ほどしたが、若者で混みあった店内で、不思議とくつろぐことが出来た。)

その夜は、英国人アーテイストに取材。素晴らしく博識で研究熱心で、ほがらかな人だった。こういう幸せそうな人となら、また会いたいと思う。通訳してくれた日本人男性も、おおらかで親切で、すっかり好感をもった。
「僕は、感動するために仕事をしているんだ……」と、帰りの電車のなかで噛みしめた。僕は、仕事を楽しんでいる。他の誰からどう見えようと、楽しいんだ。


1/31に巣鴨に前泊し、翌朝に成田から飛行機でヨルダンへ行く。

2/1 成田→チューリッヒ 飛行機移動 チューリッヒ泊
2/2 チューリッヒ→アンマン 飛行機移動 アンマン泊
2/3 アンマン泊
2/4 アンマン→アカバ バス移動 アカバ泊
2/5 アカバ→ペトラ バス移動 ペトラ泊
2/6 ペトラ泊
2/7 ペトラ泊
2/8 ペトラ→アカバ→ワディ・ラム バス移動 ワディ・ラム泊
2/9 ワディ・ラム泊
2/10 ワディ・ラム→アカバ バス移動 アカバ泊
2/11 アカバ→アンマン バス移動 アンマン泊
2/12 アンマン泊
2/13 アンマン→チューリッヒ 飛行機移動 チューリッヒ泊
2/14 チューリッヒ→成田 飛行機移動
2/15 成田着

こうして書きだすと、2週間も面倒だとは思う。せめて、10日間にしたかった。
でも、このままジーッと日本にいたまま、日々の楽しみが美術館とクラフトビールだけという自分は考えられない。思ったよりホテル代などで出費がかさんで不安にはなるけど、やはり何もしない自分は枯れて衰えていくだけだと思う。
海外の価値を知らずに「節約、節約」と小銭を溜めてホームレスになるのと、幅広く見識を広げて体験を重ね、すばらしいアートや美味い酒を知ってからホームレスになるのとでは別世界だと思う。
だからやはり、数十万の貯金があるのに「海外へ行かない」「新しい体験をしない」選択は、あり得ないのだ。


撮影の合い間、クラフトビール好きのカメラマン氏と雑談していて、「自尊心」という言葉が口をついて出た。
ようするに、140円の発泡酒しか知らない状態よりも、同じ量なのに300円以上もするクラフトビールをわざわざ探して、「絶対に美味い」という保証もなしに買って試すことで「自尊心が養われるよね」と、僕は言った。
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「絶対に美味いという保証」……その考え方こそが、貧しさへの入り口だ。駅前のドラッグストアには、酒ばかりか納豆や牛乳やパンまで売られていて、毎日の食生活が一店で完結するようになっている。クーポン券やポイント値引きなど、提供する側にだけ都合のいい予定調和のシステムに飼いならされて、自分で主体的に店や商品を選択する自由から引きはがされてしまう。
ファストフードを自分で選んでいるのではなく、「ファストフードを食べるしかない自分」に慣らされてしまうのだ。僕の20代が、まさにそれだった。

クラフトビールを醸造している人のインタビューで、「日本ではラガービールばかり大量に売られているが、本来のビールは多様性のある飲み物だ」と言っている人がいた。タップバーに置いてあった本に、「どうして大手メーカーのビールが安く買えるのに、わざわざ自分でビールを作るのかって? そりゃ美味いからでしょ」と書かれていて、とても勇気が出た。そう、自分で価値を作ってしまえばいいのだ。
「自分で価値をつくる」のであれば、ホームレスは悲惨とは言い切れない。そもそも、どこからどこまでが悲惨なのだろう? 母が殺され、父が殺人犯となり、兄が50代で変死した僕は悲惨? こんなに自由に生きているのに?
(何が最悪なのかは「何が自分にとって良いことなのか」を精査しないと、決められないはずだ。何も考えてない怠惰な人は、とりあえず「死ぬのは悲惨」「死は悪いこと」「長生きしたい、長生きすべき」という幼稚な価値観に留まりがちだ)

いま、貧困生活を送る人たちのルポルタージュを読んでいるが、彼らは空威張りこそすれ、自尊心が欠けている。貧乏を恥じている。貧乏生活はみっともないし、生活保護は恥ずかしい……自分を誉められない状態は、たとえお金があっても苦しいのではないだろうか?
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僕が「ホームレス」を連発しているのは、「ただ単に生きるためだけ」の労働をしたくないから。「無職はみっともない、人に言えない」「就職していないのは恥ずかしい」、その意識こそが貧しさなのだが、世間体のためだけに働いている無能な人は多い。無能な自分を受け入れて、自分の納得のいく生き方をすれば楽なのに。
僕がフラリと海外へ行くのもホームレスを選択肢に入れるのも、「何が良いのか」「何をしたいのか」「自分がしたくない嫌なこととは本当は何なのか」を見極めるためなのだと思う。


最近観た映画は、『レナードの朝』がすごく良かったペニー・マーシャル監督の『サンキュー、ボーイズ』。それと、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ ワイド シャット』。これは確か二回目。
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『アイズ ワイド シャット』は、もはや構図がどうのという映画ではない。世俗的で、陳腐ですらある性へのモヤモヤと背徳感。トム・クルーズとニコール・キッドマンの美貌が、その陳腐さに一枚のスキンをかぶせる。もしかすると、とても知的で高雅な映画ではないか?といったミスリードが生じるのだ。
しかし、映画は「裸を見たい」「暴力を見たい」という下世話な欲望と切り離せないのだと再確認して、何だかホッとするのである。

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