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2023年1月 2日 (月)

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イデザブダン 発売中
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大学時代に知り合ったイラストレーターのumegrafix(ウメグラ)氏こと、梅野隆児さんに誘われて参加した同人誌です。

『メガゾーン23』の同人誌に何度か書いた程度で、ファン活動というものにはそれほど興味が持てないのだが、梅野さんがメールを送ってくれたタイミングが絶妙で、僕の精神状態にとって、一種の救いとなった。
この同人誌には湖川友謙さんも参加していて、僕が湖川さんと知り合いで仕事としてインタビューしたりしているから()、せっかくだから……という程度の理由なのだろうが、富野由悠季監督作をご本人が忌避していたはずの「おもちゃの宣伝番組」として評価するとしたら?というテーマを、今回なら使えると思った。第何話で、どのメカが何秒間、何カット映ったのか?(それは商品の発売タイミングと連携していたか?)
そこから放送当時期待されていた「おもちゃの宣伝番組」としてのスペックを逆算するとしたら、これから時間をかけて研究する価値があるだろう。商業ベースだけの発想だと、そこまでの展望は見えてきづらい。

また、「誰かの許可を得るための許可を、さらに得るための許可の許可が必要で……」という(雑誌やアニメに限らない)ここ20年ぐらいの閉塞する一方の商業構造、自分で判断してテキパキと進められない他人まかせの日本社会から、いよいよ抜け出すべきかも知れない。


年末年始はどう過ごしていたのかというと、まずは三鷹~吉祥寺のお気に入りの喫茶店が大掃除などで閉店しており、結局は松月でいつもの瓶ビール、さらに中道通りに新しく見つけた吉祥寺のクラフトビール屋をハシゴしてしまって、なんと11日間も連続で飲んでしまった。
「お目当ての喫茶店さえ開いていれば飲まなかったのに……」と、本気で思う。本来、喫茶店で過ごすはずだった読書の時間をもてあまして、ついビールを探しに行ってしまうのだ。
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まさに、この緑の缶こそが「Lucille IPA」。横浜の人形の家のカフェで飲んで以来、ずっと探しつづけた味だ。初恋の人と再会したような気分。これが30日のこと。
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大晦日は、わざわざ天王洲アイルへ行ってお気に入りの2杯だけ飲んで(上の写真はCRAFTROCK BREWINGのBonnie、もちろんIPA)、感傷的な気分で台場~豊洲へ歩くつもりが、あまりに人が多くて当てが外れた。2年前に台場で初めて夕飲みした時は、ひと気のない新豊洲からの道のりの寂しさを満喫したものだったが、どこもかしこも行列や人だかりで、都心と変わらない。バスで、さっさと豊洲へ向かった。
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結局、ついこの前、見つけたばかりのテラス席で飲みおさめ……と言いたいところだが、駅構内のスーパーでもコンビニでもクラフトビールを扱うようになったため、買って帰って2~3缶ほど飲んでしまう。
もう安くて濃い缶チューハイはやめてクラフトビールだけにしようと決めたものの、さすがに内臓が心配。ところが年明けにも、不思議な偶然が続く。


お気に入りの喫茶店が、元旦から特別メニューで営業することになったので、一番乗りのつもりで出かける。
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ところが、思いのほか混んでいたので、母にそなえる花だけ武蔵境駅前で買って、もう一度出直した。
家族も友達もいない僕が年始の挨拶をかわすのは、喫茶店の店員だけであった。ところが、ここでまた変な勘が働いてしまった。
土日は15時から営業とうたっているくせに、いつもシャッターを閉めたままのクラフトビール屋が、元旦にかぎって開いている気がしたのだ。予感は、怖いほど的中した。大晦日と元旦のみ、15時から営業だという(いつものように閉まっていれば飲まなかったのに)。
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まだ明るい店内で、青年といってもいい若さの店長が、黙々と掃除している。その静けさと薄ぼんやり明るい店内で飲むのが、また格別に贅沢な時間に感じられる……のだから、クラフトビールはやめられない。
やがて、お洒落な服装に身を固めた常連客が「明けましておめでとう」と現われ、店長はテレビのスイッチをひねった。今日はプロレスだ。最初に来たときは、野球だったと思う。とにかく、地上波のスポーツ番組を大音量で流して、インテリアに凝った店のお洒落なムードを木っ端微塵に破壊する。そこまで含めて「センス」なのだろう。と、このように書いているとビール飲みは楽しくてたまらない。
しかし、コンビニで4缶も飲んでしまったので、さすがに今日は我慢した。母の命日に近い1月に死ぬなら、そんなに悪くないと思っている。一方で、秋の大きな仕事を終えるまでは生きていたいとも思う。


本日2日は、いくつかの美術館・博物館がオープンしている。上野は飽きたので、東京都写真美術館へ行ってみた。
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有料の星野道夫展は面白くないのに(でも、こういう通俗的な展示ほど混む)、誰でも無料で入れる「プリピクテジャパンアワード」が創意工夫に満ちていて、素晴らしかった。迷路のようにグニャッと写真がひねってあったり、日本画のように大きく引き伸ばしたり、木で組んだ枠に並べたり、遠慮がない。こういう、元気のでる展覧会がいい。

そして、12日ぶりにどこでも飲まず、ノンアルコールで過ごしている。昨夜は不安で仕方がなかったのだが、寝る場所がないわけではない。これからも、お金は入ってくる。クラフトビール代どころか、あと2回ぐらい海外旅行へ行ける。
思い切って外へ出かけてしまうと不安が消し飛ぶのだから、人間は意外と単純だ。


最近観た映画は『どうぶつ宝島』、これは確か2回目だ。後は『赤ちゃん教育』、『鬼軍曹ザック』。
『赤い河』で牛の大群を自由自在に描いたハワード・ホークスは、『赤ちゃん教育』ではCGのように見事にヒョウを動かしている。恐竜の骨格標本がバラバラになるラストシーンも、一体どうやって撮ったのか驚かされた。

『鬼軍曹ザック』は、後に『最前線物語』を撮るサミュエル・フラーの監督作だ。穴のあいたヘルメットの前を、何者かの裸足と銃の先端が通りすぎる。ヘルメットを被っているのは、死んだふりをしている鬼軍曹だ。裸足も銃もフレームの外へ出ていくので、「助かった」と思う。その直後、銃の先端がフレーム内へ戻ってくる。読ませておいて、裏切る。そうやって興味をつないでいく。


母が、父に刺殺されて12年が経過した。最近は、どちらかと言うと父親がいかに人生を楽しめず、自ら破滅してくだらない人間に成り下がったか、それに教えられたと感じている。
事実を直視して、事態に対処するためには勇気が必要だ。そして、世の中の大半の人には勇気がない。臆病さが、人生を破滅させる。「ああ、残念だ」「ああ、つまらない」……その狭い諦観こそが人生の敗北だ。

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