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2022年11月21日 (月)

■1121■

三鷹駅北口のクラフトビールバーへ行ってみた。普段は18時から、土日のみ15時からオープンしている。前に行ったことのあるむらさき橋通りぞいのバーは昼間から営業しているが、混んでいた。
なので、いつも濃いコーヒーを淹れてくれる「go café and coffee roastery」へ寄ってから、駅方向へ戻った(この季節のこの時間帯は1日が終わってしまった気がして、駅から離れた商店街の外れを歩くと寂寥感が増していく)。

夕陽が窓から差し込むほの明るい店内は僕ひとりで、バーテンは暇そうにしている。そのバーテンに苦めの味が好きだと告げて、2銘柄を選んでもらった。
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せっかく趣味のいい椅子やテーブルを気ままに配置しているのに、店内には大きなテレビで地上波のくだらない番組を流している。DJブースもあるのだが、カッコつけすぎないところがいい。地上波テレビのノイズというか喧騒が、いいバッファになっている。
さて、三鷹近辺のクラフトビール屋はすべて回ったことになるが、この趣味は出費が痛い。一杯1000円前後、安いところで1/2パイント500円。ミックスナッツなど頼むと2000円近くになる。どうすれば自分の気がすむんだろう……という尺度で行動しているので、これでいいのかな。

「酔えればいい」「安いほうがいい」「どこでもいい」とリスクを減らしていくと、結局は選択肢が減っていく。それが貧しさだと思う。「これしかないんだ」「仕方がないんだ」という“狭さ”と“我慢”が、心に深刻なダメージを蓄積していく。


気がすむように……といえば、ヨルダン行きの往復航空券を12万円ほどで予約した。
2週間も滞在するのは初めてだが、いつものように一週間で帰ろうとすると料金が少しずつ増えてしまう。こういう部分では1万、2万とケチっている。でも、「海外へ行きたいなあ」と毎日思いながら「理由をつけて何もしない」自分には、我慢がならないのだ。

ヨルダンはビザ不要、酒も飲めるし観光地も沢山ある。
しかし、日本へ帰るのにワクチン接種か有料の(街中では無料なのに?)PCR検査が必要……という不合理に納得できず、外務省にメールを送ってみた。ただの段取りのためにワクチンの副反応や出費を覚悟しないといけない、仕事のペースを乱される理不尽を飲みこむことは難しい。


最近観た映画は、『暗殺のオペラ』。大学時代、ベルナルド・ベルトルッチ監督がブームになり、この映画を絶賛しているクラスメイトがいた。
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これがファーストカット。右手の森から大きくPANして、この構図になる。電車から主人公が降りてきて、画面左側へ向かう。
驚いたことに、この映画は8割ほどのカットが「手前から奥へ」道や建物が伸びる、パースのかかった構図になっている。単純な切り返しがない。放射状の空間で、すべてが起きる。室内でも同じである。

すると、すべての出来事が映画のスクリーンという平面に対して、垂直の中に屹立しているように見えてくる。
「詩は歴史性に対し垂直に立つ」という稲垣足穂の言葉を思い出す。
映画の後半、町の中で人々が、ジッとラジオの放送に聞き入っている。不自然なほど、誰もが立ったまま静止しているのだ。その奥で、主人公だけが足早に歩いている。人々が止まっているから、主人公の動きが際立つ。「ない」ことによって、「ある」ことに注目するよう人間の認知が働く。ドラマは、そこで起きている。

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