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2022年8月13日 (土)

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70年代ロボの再生に重ねる、我が人生と人の世と……。鬼才のプラモデル作家、タンゲアキラさんに会ってきた【ホビー業界インサイド第83回】
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いい歳をしてアニメを見て、ロボットやフィギュアを作ることの意味を、あらためて問われる思いがしました。タンゲさんほど「自分の人生をやり直すため」と意識できる人は、少ない気がします。
僕の場合は運動が苦手で気が弱かったから、「人に見られる」「話す」ことが嫌だった。それで、身体性を感じなくてすむアニメや漫画の世界へ逃げたはずだったんですけど……そうした要因が、複雑に絡み合ってるから“コンプレックス”なんでしょうね。

そこそこ自分の人生にゆとりが出てくると、コンプレックスについて深く考える必要もなくなる。でも、コンプレックスが強靭なバネとなって自分を助けてくれたことは間違いない。


昨日は、アニメ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の試写へ。
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路線としては、新海誠作品のようなファンタジックな恋愛物には違いない。しかし、死の影や家族に対する不信感が背景にあり、雰囲気は暗い。それは悪いことではない。静謐だし、表現は繊細で美しい。
それでいて、一気に画面が華やかになるような大胆な工夫がある。空騒ぎする軽薄な作品よりは、こうして丁寧に、慎重につくられた作品に好感をおぼえる。16年も昔のことを思い出している今の自分の心象には、フィットした。


試写室が築地に近かったのだが、半分以上の飲食店が17時に閉まっている。茅場町か蔵前のテラス席に移動してもよかったのだが、気分的にすぐに飲みたかった。
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たまたま開いていた海鮮丼の店に入ったら、「居酒屋メニューです」と飲み用のメニューも出してくれて、すっかりご機嫌になった。ほとんどの料理が、1000円以下である。ほかの客たちも、飲みモードに入っている。この安心感。
だから結局、こうして自分の機嫌をとるのは自分しかいないと僕は知ってしまった。誰かと二人で出かけるほうが幸せだとは思っていない。ひとりが楽しいんだから、仕方がない。

ひとりで酒の量をコントロールし、ひとりで酔いを楽しみ、次どうするかを自分で決める……圧倒的な自由。今日の仕事も明日の仕事も、ぜんぶ自分でペースを決められる。充実感がある。
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今朝は早起きできたので、雨が降り出すまえに、お気に入りの喫茶店へ。
ひたすら、静かな一人の時間を満喫している。


とは言え、雨女さんとのメールのやりとりを復元できないか試してみたり(当時はガラケーだったのでさすがに残っていないらしい)、2006年ごろの吉祥寺のキャバクラ事情を記した2ちゃんねるのスレッドを検索し、ようやく雨女さんの勤めていた店の名前を思い出したりした。
しばらくの間、雨女さんの電話番号とメアドがスマホにも残っていたのを、漠然と覚えている。今こんなに思い出すぐらいなら、一年後でも数年後でも連絡すれば良かったじゃん?と思うだろうけど、16年たってワインが熟成するように「思い出して楽しむ頃合い」になったんだろうね。

先ほど書いた吉祥寺キャバのスレッドに「あの頃には、もう戻れないのか」「涙がでてきた」という、誰かの書き込みがあった。……うーん、そういう気持ちでもないんだよな。当時の僕は、人の気持ちの分からない幼稚な男だった。でも同時に、雨女さんと疲れない距離を保てるぐらいの、そこそこの精神的な余裕もあったと思う。
ようするに、都合のいい思い出し方をしている。思い出は別に、明日の決断を変えたりはしない。ほんのり香る、人生のスパイスだ。


最近見た映画は『草原の実験』、『グーニーズ』。

(C) 2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会

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