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フィギュア2体と宇宙船1機のセットで、税別2,600円! ハセガワの発売する「ダーティペア」のプラモデル、開発の裏側【ホビー業界インサイド第82回】(■)
ぴあMOOKや乗りものニュースなど、あちこちでお世話になっているハセガワさんの発売前のキット、取材させていただきました。
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おととい、「僕は今は楽しく暮らしているけど、本来はいじめられっ子で……」という話を書いた。
その翌日、決定的なことが起きた。何軒か、徒歩圏内に行きつけの喫茶店がある。いつも、わりと常連客と店員たちが集まって雑談している店があって、そこへ入って本を読むことにした。
この暑さだし、もちろんマスクなんてしない。店内に入っても、店員に「トーストとホットコーヒー」と言うだけなので、マスクはしない。僕は、唾を飛ばしあう雑談に加わるわけじゃない。ひとりで本を読むだけだ。
ところが、僕より少し前に入店して雑談していたおじさんが、聞こえよがしに「こんなに感染者が増えてるのに、マスク外してるバカが増えたからよお」と、店員に大声で話しはじめた。こういう時、僕は聞こえないふりを徹底する。僕に向かって言っているのではなく、店員との世間話なのだから、反論する必要もない。
「今だって、コロナで人が死んでるんだぜ? いまマスク外しているのは、よっぽどのバカだよなあ!」と、おじさんは「バカ」に力をこめて話しつづけた。無視。運ばれてきたコーヒーを飲みながら、あまり気にせず読書していた。
若い店員のお兄さんはマスクについては言及せず、「まだまだ感染者が増えそうですもんねえ」と話を合わせていた。
それ以外におじさんが口にしていたのは、「疲れた」「医者の顔なんて見たくもねえよ」「この半年ぐらい、面白いことなんか何ひとつねえよ」といった中身のない愚痴ばかりだった。「医者」というのは、おじさんは杖をついて片足を引きずっている高齢者だったから、どこか悪いのだろう。
他の常連客(みんな70代だろう)は、「それでウンコがさあ」「ションベンがよお」……ここまで品のない店だったかな?
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さて、コーヒーは来たが、飲み終わってもトーストが運ばれてこない。こんなことは初めてだ。注文を聞き忘れていたのだろう。
まあいいかと思い、席を立って会計をすまそうとすると、店員の青年が「えっ?」という顔をした。カウンターの奥から、女主人も「いま、トースト焼けますよ?」と言う。だって、もう15分ぐらい経過してるよ?
青年は「コーヒー、もう一杯いかがですか」「サービスしますよ」と、引き止めようとする。僕は決まりが悪くなり、「今日はちょっと時間がないので」と、変な断り方をしてしまった。「でしたら、お代は結構ですので……」「また、おいでになってください」と、青年とご主人は口々に言った。僕は財布から取り出した500円硬貨をしまうしかなかった。何か抗議したかったのではない、本当にトーストの注文を聞きそびれたのだろうと思ったのだ。
でも、形としては、僕が「マスクしてないバカ」と、ほとんど真横で怒鳴るように言われたから、不愉快になって逃げ出したみたいだ。店側からすれば、客と一緒になってマスクしてない客を追い出す形になってしまった。
僕はお代を払いたい、店は受けとらない。その押し問答の間、口の悪いおじさんは黙ったままだった。チラリとおじさんを見ると、コーヒーを飲んでいるはずなのに、しっかりとマスクをしていた。
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僕は、このどんよりした気分を吹き飛ばしたくて、暑い中がんばってもう一軒の喫茶店まで歩いて、ひとり静かに読書を続けた。
客は僕ひとりだけだったが、ベビーカーの赤ちゃんを連れた夫婦が来た。何か言われるのではないかと身構えたが、静かに雑談している夫婦のうち、ご主人はマスクをずらして顎にかけていた。
図書館で本も借りたので、気分転換は出来た。
ふと駅前を見渡してみると、とくに女性で、マスクをしていない素顔の人が多く歩いていた。「マスク外しているのはバカ」おじさんは、その光景を見て、何か焦ったのだろう。
おじさんは二度も「疲れた」「医者の顔など見たくない」と言っていた。「自殺するとしたら」という話までしていた。つまり、もともと人生が退屈で不満がたまっている。そういう人は、論点をすり替える。「学歴のせいだ」「出身地のせいだ」「持病のせいだ」「コロナのせいだ」と、外に原因をつくりたがる。ツイフェミなら、本当は自分の嫉妬や憎しみがイライラの原因なのに、「性的な広告のせい」「萌え絵のせい」にして、自分の心の問題を直視しない。
また、人生が楽しくない、上手く行っていない人は、とにかく頑迷固陋で融通がきかない。柔軟性がない。賢い人はこだわらないが、バカは執着する。何もかも枯渇した“終わった”人は、自分をも不幸にする理不尽なルールにこだわる。おじさんは「緊急事態宣言を出すべきだ」とも言っていた。「だって俺は、こんなにも我慢してるんだから」……その奴隷根性が、最後のアイデンティティになってしまうのだ。
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さらに気をつけなければいけないことは、僕がヒョロッとしていて反撃してきそうもないから、あれだけ近距離で「マスクしてないバカ」と言えたのだ……ということ。攻撃してくる人は外見を見て相手を決めているんだなと、改めて思った。僕は、いじめやすい外見をしている。それを実感させられた。
いきなり体形を変えることは出来ないのだから、せめて背筋を伸ばして、胸を張って歩かないといけない。またマスク警察が来たら、練習の意味で、ちょっと言い返してみようかと思う。マスク警察ではない、普通のマスク愛好家とは、争いたくない。自由を奪う人間には抵抗する。
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最近観た映画は片山慎三監督『さがす』、『そこにいた男』、クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』、『エターナルズ』。
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