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2022年2月13日 (日)

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手が届きそうで届かない宇宙をマンガ映画で表現する――「地球外少年少女」のメインアニメーター、井上俊之の仕事【アニメ業界ウォッチング第87回】

井上さんは、チャンスがあれば絶対に話を聞きたいと思っていたアニメーターです。ただ、『地球外少年少女』の公開タイミングだったので、他の媒体でも井上さんの功績が話題になって、やや新味がなくなってしまったかも……。記者として「どうして今、井上さんなのか?」というタイミングを狙わないといけないのに、「プロデューサーを知っているから、声をかけやすい」という状況に甘えてしまった。そういう状況があると、なんとなく似たようなニュアンスの記事が多くなる。

やっぱり、自分独自のテーマを大胆に提案して、それを受け入れてもらえるぐらいの信用を築かなくては……。それでも、井上さんの発言は、当事者ならではのキレのある、厳しいものになっていると思います。


ありがたいことに仕事が途切れずあるので、新幹線で出かける。
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ホテルで適当に「居酒屋」でマップ検索してみるが、半分ぐらいのお店はコロナのため休業か無意味な酒類制限……かと思うと、堂々と酒を出しているお店も数軒だけあって、大当たりを引いた。
今は右ひざを痛めているのだが、とにかく自分で歩いて探すことだ。駅前にはチェーン系の居酒屋が何軒もあるのだが、ああいう店で一回でも妥協すると、ずるずると落ちていく気がしてしまう。

さて、上の芸術的な温玉シーザーサラダを出してくれたお店。たった一人で数テーブルの面倒を見ている女将さんは、物静かで上品な方なのだが、最初に陣取っていたヤンキー風の中年たちが酷かった(会話の中で50代と言っていたが、幼稚すぎて高校生の会話にしか聞こえない)。
大声で笑ったりするのは、まあ我慢の範囲だ(鞄の中にイヤホンがあったので音楽を聞こうかと迷ったレベル)。すさまじいのは「ウンコ」「大便」「チンチン」などと、下ネタを口にしてはゲラゲラ笑うこと。そのテーブルには女性もいたのだが、まったく気づかいナシ。
かなり寂れた街なので、中学~高校生のころの同級生が疑問ももたずに付き合って、だらしなくもたれ合って大きくなっただけなのだろう。「昔からの仲間」が「いつものノリ」で歳をとると、もう下ネタぐらいしか共有できる話がなくなっていくのかも知れない。あのまま惨めで汚い老人に成り下がって、周囲に迷惑をかけながら死んでいくのだろう。


大学生のころ、マクドナルドで清掃のアルバイトをしていた。例によって、重労働・低賃金のアルバイトしか出来ないと思っていたので、辛くて仕方がなかった。
耳を疑ったのは、閉店後に一人だけ残った女性スタッフに向かって、「そのうち俺たちで回してやるからよ!」とマネージャー(おそらく正社員)が笑いながら言っていたこと。「回す」とは、もちろん輪姦のことであろう。
言われた女性は、苦笑いしていた。
「仕方がない、仕事とか社会ってのは、お互いに我慢し合うものなんだ」とあきらめてしまっている。その「あきらめ」が貧困なのだと、今の僕ならはっきりと言える。マクドナルドだから、ファストフードだからじゃない。「まあ、こんなもんだろう」と自らを低く見積もって、やりたくもないことをやる。それが時給100万円でも、あきらめて妥協して納得してないのに我慢して耐えてやるなら、やっぱり「貧しい」んだよ。


「好きでもないことをやっているヤツの顔は、歪んでいる」……これは、ある有名なミュージシャンの言葉だ。
自分が我慢しつづけている人は、「誰もが我慢しているに違いない」「我慢しないのはおかしい」という歪んだ価値観になる。僕は、世の中の7割ぐらいの人が、ただひたすら「嫌なことを我慢している」のではないかと疑っている。
自分にも他人にも忍耐を強いる体質が、コロナウイルスを口実に若者や子供の楽しみを潰す異常な社会状況を招いている……と、確信する。過剰な自粛を主張する人の発言を遡っていくと、その人自身が抑圧に耐えている場合が多い気がする。もともと自分が楽しくないから、「みんなも楽しんじゃダメだ」という考え方に直結する。

そういう人に仕事で出会って、よくよく話を聞いてみると、「私も我慢してるんだから廣田さんも我慢しないとおかしいよ」という議論に行きつく。こちらは「ハイハイ、それではご自由に」と、手を放してしまう。その場から立ち去るしかない。
そういう人に「僕は自分の好きなように仕事している」と主張しても、「そんなはずがないよ、絶対に嫌々やってるはずだよ?」と言い返してくる。救いがないのはどっちか、よく考えてみてほしい。そういう人は、とにかく楽しそうじゃない。笑っていても暗いというか……幸せな笑いではない。「今回もまた、最悪のパターンですよ」と自分の置かれた状況を皮肉って、自嘲するのが笑いだと思い込んでいるんじゃない? 独特の暗さなんだよね。負け癖がついているというか、幸せになれない方向へ自分から近寄っていっている。

ある経営者の話をYouTubeで見ていたら、リーダーシップのある人は「明るい」と言っていた。「明るい」って、おそらくは表情がすっきりして、隠しごとのないこと。堂々としているが、他人を抑圧したりはしない人。相手を尊重する人。誰に対しても礼儀正しく、丁寧で優しい……でも、貧しい人はこういうポジティブなイメージを持てない。だから、貧しいんだよ。

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