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「何が、アニメをアニメたらしめているのか?」――「スター・ウォーズ」「ブレードランナー」「ロード・オブ・ザ・リング」など、超大作企画にもまれる神山健治監督からの問いかけ【アニメ業界ウォッチング第82回】(■)
株式会社エイチエムエーさん、神山監督とも、僕が直接メールして、インタビューの場を設けてもらいました。
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仕事の合い間をぬって、銀座蔦屋書店の山口歴氏の個展を観に行った。
あと、昨日は祭日で混むかと思ったが、東京都現代美術館へ。
横尾忠則展がメインだったが、マーク・マンダース氏の作品をふくむコレクション展、あと、映像作品を使ったインスタレーションを主とした「MOTアニュアル2021」が良かった。
劇映画は例外なく横長の画面ばかりだが、こうしたインスタレーションでは縦長だったりする。劇映画がどうして今の様式になったのか、劇映画の外から考えることが出来る。労を惜しまず美術館に足を運べば、新しい知見が得られる。
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最近観た映画は、クリント・イーストウッド主演の『人生の特等席』、深田晃司監督の『海を駆ける』、トルコ映画『ミルク』。
『人生の特等席』は野球選手のスカウトマンが主人公で、年老いた彼のところに弁護士の娘がやってきて、彼の手助けをしながら恋愛を成就させる。二時間に満たない映画で、ストレスなく気持ちよく観られた。
たとえば、田舎の野球場で試合が始まる。カメラは野球場の周辺を拾う。中継席に座るアナウンサー、そして野球場の外を走る子供たち。それをPANで追う。すると、子供たちとは関係なくソーセージを焼いている男の手が、フレームに入る。そのワンカットの流れで、お祭り感が出る。
あるいは、野球チームを持っている偉い人が、社長室でゴルフのボールを打つ。ボールは画面に映らないが、次のカットでは、真上から野球のボールが転がる様子を撮っている。そのボールへ、選手が駆け寄る。
「偉い人のちょっとした挙動が、実際に体を動かしている選手の運命を左右する……この二つのカット、その力関係の比喩だ」と、言葉に還元することも出来るけど、単にシーンのつなぎ方が気持ちがいい。カットの流れやシーン転換の気持ちよさだけで、この何気ないストーリーを視覚的に受け取れるんだろう。
『海を駆ける』は以前に見たかも知れないが、深田監督らしいショッキングかつ曖昧さの残る怪作だった。それでも、『よこがお』『淵に立つ』の後味の悪さには、及ぶべくもない。僕は、この静かに狂った監督を今後も追っていきたい。
『ミルク』は、ほとんどがワンカット=ワンシーン、かっちり決まった風景の構図で、人物が奥へ歩いていく。あるいは、手前に歩いてくる。二人が並ぶと、静かに会話が始まる。その静謐で丁寧な良さもあるのだが、どのシーンも似たようなテンポなので、やや飽きてくる。
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