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鉄人とウンチとマシリトと……「Dr.スランプ アラレちゃん」のキャラメルマン1号(バンダイ)を組み立てて、ロボプラモ変遷期の混沌を知る【80年代B級アニメプラモ博物誌】第11回(■)
ただ中古プラモを買ってきて、そのまま組むだけの連載も、第11回目となりました。
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松村直登さんに取材したドキュメンタリー映画の第二弾、『ナオト、いまもひとりっきり』(■)をネット配信で見て、いてもたってもいられず、福島県双葉郡富岡町へ行ってきた。
まずは、いわき駅前に泊まった。富岡町に何軒かあるホテルは、ネット予約なんて受けつけてないからだ。
一軒目の居酒屋が、とにかくやる気がなくて粗雑な料理を高く出すところだったので、二軒目は駅からの距離、店構えなどを厳密に選んだ。東京にもあるチェーン店も多いが、そういうところには目もくれない。
目光の天ぷら。オクラをひとつだけ混ぜて、視覚的アクセントにしている。つゆが温かいところもいい。
アジと生だこ。器が、冷蔵庫で冷やしてあるのがポイント。生だこは、店の「量が多すぎるかも」という配慮により、半分にしてもらった。もちろん、値段も半分。結果、一軒目のダメな居酒屋よりも安くすんだ。
ラスボスとして、かき酢を注文した。まず、殻を重ねて立体的なレイアウトにしている点がいい。ワカメが添えてあるが、牡蠣と一緒に飲み込めるように、細切りになっている。
飲み物は生ビール、レモンハイ一杯ずつ。それでは足りないので、ホテルに缶ビール2本を買って帰り、つげ義春の文庫本を読みながら飲む。
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翌朝、ホテル近くの喫茶店でモーニングを食べてから、常磐線を待つ。一時間に一本しかなかったりするので、要注意だ。
この店では、店員さんがスプレーを持ってきて手を消毒させるが、あまり気にも留めず、マスクすらしてないお店もある。福島県だけじゃない、山梨県でも群馬県でもそうだった。感染対策は神経質になりすぎず、そこそこ。
緑を抜けると、少しずつ海が見えはじめる。
いわき市へは『マイマイ新子と千年の魔法』上映会のあとも、何度か行った。いわき出身の友人から「どうしても肉眼で原発を見たい」と言われて、広野町の山の中まで出かけたこともあった。富岡町は、さらに北だ。
『ナオトひとりっきり』の時は津波で壊されて、雑草が生えて『雲のむこう、約束の場所』のようになっていた富岡駅。『ナオト、いまもひとりっきり』では松村さんが「都会並み」というほど、新しい駅舎に生まれ変わった。しかし、無人駅であって「切符回収箱」が置いてある。
とりあえず、廃炉資料館を目指そうと思い、止まっていた巡回バスの運転手さんに聞いてみると、「歩いたほうが早いですよ」と言う。確かに、廃炉資料館は数分で歩ける距離にあった。
しかし、思い切り閉館中であった。まだ10時すぎだったからだろうか? だとしても、周囲に時間をつぶせるような場所はない。
『ナオト、いまもひとりっきり』に登場したスーパー(さくらモールとみおか)は廃炉資料館の向かいにあり、11時開店だ。作業服を着た人たちが、雑談していた。それ以外には、掃除の人ぐらいしか見かけない。
駅近くの丘にのぼってみた。中学校には、子供の姿がチラホラあった。
新しい住宅、住宅を兼ねたスナック、理髪店などもあるのだが、人の流れが考えられていない。車でピンポイントに来て、用がすんだら帰るという発想で出来ている。だから、ポツポツとしか人が集まらない。
当然、駅の利用者はいない。車さえあれば、事足りる町の設計になっているからだ。かつての富岡町は、一体どんな姿だったのだろう?
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蒸し暑く、とてもではないが村松さんの住んでいそうなエリアまでは歩けず、たまたま到着した特急電車で仙台まで行って、新幹線で東京へ戻ってきた。新幹線で仙台まで行って、そこから常磐線で南下するコースは、Googleマップのおすすめに出てくる。1万円ちょっとかかるうえ、3時間は車内で過ごさねばならないので、やはり富岡町は電車で行くのに適していない(降車した客は数人いたが)。
『ナオト、いまもひとりっきり』には帰還した人たちも新たに登場するが、車で移動しているのだろう。群馬県や栃木県なら、まだ電車的な世界観で捉えられる。東北は、なかなかそうもいかない。
映画『ナオト、いまもひとりっきり』については、あまりにも語りたいことが多い。
松村さんが酒を飲むのかどうか、ずっと気にして各種のドキュメンタリーを観てきたわけだが、今回は亡くなったお父さんと一緒にいるシーンで日本酒らしき緑色の瓶を傾け、「バタピー」と書かれた袋からピーナッツを手のひらに出して食べているのを確認できた。
あと、友達である半谷さんの家で「一本、飲むか?」と聞かれていたので、かなりの酒豪なのではないだろうか(そのシーンでは、安い発泡酒が机に置いてあったのが印象的)。