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なぜ今、「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」をデジタルアーカイブ化する必要があるのか? アニメを“文化遺産”として保管する寺田倉庫に聞いてみた!【アニメ業界ウォッチング第74回】(■)
美術館「WHAT」や建築倉庫ミュージアムを経営する寺田倉庫さんに取材できました。
本当はこれを機会に、美術・アート分野にも取材領域を広げたいのですが、この記事はフィルム時代のアニメをどう保存するかというお話です。
不入りでソフト化すら危ぶまれていた『マイマイ新子と千年の魔法』を継続上映せよとの署名活動をした僕ですから、とても他人のふりは出来ない話題です。
そして、『マイマイ新子~』のころより増えたと感じているのは「お前ら、もっと頑張れ」「頼む、この作品を救ってくれ」と丸投げする人。Twitterが広まってから、気持ちだけは縦横無尽にワガママいっぱいに表明しておいて金は出さない、結果なんて知らないよ……と、自分の尻ぬぐいをしない人が増えました。
活動家の湯浅誠さんが言っていた「誰か調整してくれ。ただし自分の意向に沿うように」という思考パターン。
あと、もっと動物的に「マシーンブラスター、見てたよ」「知ってるよ」と瞬間的に反応して、それっきりの人。
「懐かしい!」「〇〇に似てる」「□□を思い出した(笑)」と、自分の記憶と知覚から一歩も踏み出さないタイプ。「くやしくてずっと泣いてた」式のフェミニズム、「とにかく泣いた、自然と涙があふれてきた」式の映画レビュー、こういう人たちはボケるのも早いと思います。
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取材のために、『マシーンブラスター』の第一話を見てみましたが、あまり面白くはないです。
ただし、それは僕という2021年に生きている中年男性の感想でしかない。一千年後に、誰がどう評価するのかは誰にも分からない。作品の価値とは、変動的で未知数なのです。その「あり得るかも知れない未来」を信じられるか、という面倒な話です。
Twitterにも、ひさびさに『流星戦隊ムスメット』の記事を貼りました(■)。
自分に価値が分からないものにお金は払いたくない、それは当然でしょう。でも、自分の価値を判断できない、自分で決めるのが面倒な人のための幕の内弁当みたいな作品もあるし、「みんなが観ている作品はコレですよ」と機械的にレコメンドするだけの怠惰なシステムも整っている。
自分で価値を見定める、誰も見つけていない価値を発見するのは孤独な作業です。だから、ディズニーやジブリが「定番」となり、何回テレビで放送しても毎度おなじ反応をする人たちが、数十万人という規模で存在するのです。
僕は特別に頭が悪く、勉強もスポーツもできない落ちこぼれだったので、自分の楽しみは自分で探すしかなかった。勉強もスポーツもそこそこ出来て、なんとなく他人と仲良くやれて来た人は、別に独自の価値観なんて見つけなくても楽しく生きられる。
そこそこ何でもこなせる普通の人が多くなくては、社会を維持できない。「多様性」と口にするのは簡単だけど、個性的な人ばかりでは困るわけです。今回の『マシーンブラスター』にお金が集まらない件は、そうした事実の一断面でもあると思います。
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最近、DVDレンタルと配信サービスで観た映画はデレク・ジャーマン監督の『ヴィトゲンシュタイン』、大島渚監督の『儀式』。
でも、これらの映画だって誰かが価値を定めて、お金をかけてレンタル店に並べたりネットに乗せて管理している人がいるから観られるわけです。で、その人たちの価値観は本で知ったり、誰かに教わったり勉強したりして、連綿と培われてきたはずなのです。
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