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2021年2月24日 (水)

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なぜ今、「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」をデジタルアーカイブ化する必要があるのか? アニメを“文化遺産”として保管する寺田倉庫に聞いてみた!【アニメ業界ウォッチング第74回】
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美術館「WHAT」や建築倉庫ミュージアムを経営する寺田倉庫さんに取材できました。
本当はこれを機会に、美術・アート分野にも取材領域を広げたいのですが、この記事はフィルム時代のアニメをどう保存するかというお話です。
不入りでソフト化すら危ぶまれていた『マイマイ新子と千年の魔法』を継続上映せよとの署名活動をした僕ですから、とても他人のふりは出来ない話題です。
そして、『マイマイ新子~』のころより増えたと感じているのは「お前ら、もっと頑張れ」「頼む、この作品を救ってくれ」と丸投げする人。Twitterが広まってから、気持ちだけは縦横無尽にワガママいっぱいに表明しておいて金は出さない、結果なんて知らないよ……と、自分の尻ぬぐいをしない人が増えました。
活動家の湯浅誠さんが言っていた「誰か調整してくれ。ただし自分の意向に沿うように」という思考パターン。

あと、もっと動物的に「マシーンブラスター、見てたよ」「知ってるよ」と瞬間的に反応して、それっきりの人。
「懐かしい!」「〇〇に似てる」「□□を思い出した(笑)」と、自分の記憶と知覚から一歩も踏み出さないタイプ。「くやしくてずっと泣いてた」式のフェミニズム、「とにかく泣いた、自然と涙があふれてきた」式の映画レビュー、こういう人たちはボケるのも早いと思います。


取材のために、『マシーンブラスター』の第一話を見てみましたが、あまり面白くはないです。
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ただし、それは僕という2021年に生きている中年男性の感想でしかない。一千年後に、誰がどう評価するのかは誰にも分からない。作品の価値とは、変動的で未知数なのです。その「あり得るかも知れない未来」を信じられるか、という面倒な話です。

Twitterにも、ひさびさに『流星戦隊ムスメット』の記事を貼りました()。
自分に価値が分からないものにお金は払いたくない、それは当然でしょう。でも、自分の価値を判断できない、自分で決めるのが面倒な人のための幕の内弁当みたいな作品もあるし、「みんなが観ている作品はコレですよ」と機械的にレコメンドするだけの怠惰なシステムも整っている。
自分で価値を見定める、誰も見つけていない価値を発見するのは孤独な作業です。だから、ディズニーやジブリが「定番」となり、何回テレビで放送しても毎度おなじ反応をする人たちが、数十万人という規模で存在するのです。

僕は特別に頭が悪く、勉強もスポーツもできない落ちこぼれだったので、自分の楽しみは自分で探すしかなかった。勉強もスポーツもそこそこ出来て、なんとなく他人と仲良くやれて来た人は、別に独自の価値観なんて見つけなくても楽しく生きられる。
そこそこ何でもこなせる普通の人が多くなくては、社会を維持できない。「多様性」と口にするのは簡単だけど、個性的な人ばかりでは困るわけです。今回の『マシーンブラスター』にお金が集まらない件は、そうした事実の一断面でもあると思います。


最近、DVDレンタルと配信サービスで観た映画はデレク・ジャーマン監督の『ヴィトゲンシュタイン』、大島渚監督の『儀式』。
でも、これらの映画だって誰かが価値を定めて、お金をかけてレンタル店に並べたりネットに乗せて管理している人がいるから観られるわけです。で、その人たちの価値観は本で知ったり、誰かに教わったり勉強したりして、連綿と培われてきたはずなのです。

(C) NIPPON ANIMATION CO.,LTD.

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2021年2月18日 (木)

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自分のイラストが海外でフィギュア製品化? イラストレーター“あらごん”さんが体験している、ささやかで大きな奇跡【ホビー業界インサイド第68回】
こういう平和的な記事は、あまりネット向きではないのかも……。でも、誰かを打ち負かすとか「勝つ」とか「成功」とかでない、こんなにほのぼのと作品が認められて、これといった欲がなくても満たされていく生き方があることは、知っていて損にはなりません。
たいていの人は、汗みどろで努力しても、ここまで幸福にはなれないと思う。
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「機動警察パトレイバー NEW OVA」で熊耳武緒と香貫花・クランシー、夢の競演を満喫する!【懐かしアニメ回顧録第75回】
テレビ版『パトレイバー』から、声優の演技を楽しめる回を選んでみました。
こういうコラムは、ファンの人が「そうそう、あれ面白かったよね」と思い出せれば、それで役割は達成できているのかも知れない。論文ではなく、コラムなので。


日曜日は吉祥寺へシャツを買いに行き、帰りに井の頭公園の休憩所「松月」へ寄った。
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一番搾り大ビンはいつものオーダーだが、おでんという気候でもなかったので、あさりバターを頼んでみた。
他の客でもビールを傾けている人が多かったので、「平日昼間から飲んでいる」優越感は低い。後から来た客が「レモンサワー」などと頼んでいたが、よくメニューを見ると「各種サワー」と書いてある。

しかし、松月は居酒屋ではなくて「休憩所」なので、本格的に酔うのはちょっとマナー違反な気がする(松月に寄ったら、必ず歩いて三鷹まで帰らねばならないという距離感も、酒量にセーブをかけている。昼飲み・外飲みはほろ酔いで立ち去るのが流儀だと、今は勝手に思っている)。
まあ僕の場合、サワー類を飲むとペース配分が難しい……という程度の話だ。ビールとワイン以外、どうしても飲みすぎてしまうので。


レンタルで観た映画は、グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』。
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この映画のアスペクト比は、1:1である。しかし、ワープディメンションのように、主人公の感情演出として左右に広くなる。演出としてアスペクト比を途中で変える例は珍しい。
しかし、僕はスタンダードでもビスタでも、演出効果は抜本的に変わらないと思っている。


支配欲が強い人の心理や特徴と支配欲の強い人への対処法とは?(

「権力がほしい」「私たちは、もっと怒っていい」「怖がられる存在になりたい」と息巻いているフェミニストの方への当てこすりとして、Twitterで上記記事を貼ってみたのだが、読みどころの多い内容である。
人間というのは、赤ん坊のころは誰もが母親に依存しないと生きていけないわけで、幼児期に過剰に甘やかされたり、逆に愛情不足だと他人を「支配・コントロールの対象」としか見ることのできない自己愛性人格障害になりやすいと聞いた。
どんな人間にも、「親の愛情を独占したい」時期があり、人によっては恋愛に過度に依存して次から次へと恋人を切らさないよう努めたり、あるいは芸術の才能なり自分の論考なり意見なりを誰もが認めて称賛してくれないと気がすまない(自分を認めない相手をバカ呼ばわりしたり犯罪者扱いしたり、嫌みを言って傷つけようとする)ようになる。

ツイフェミや左翼の人たちが克服せねばならないのは、他人に対するいびつなまでの期待と依存だと思う。どうしてフェミの人は例外なく左翼的で、アベやらスガやら自民やらを常に叩きながら次々とターゲットを探し歩いているかというと、ようするに社会や体制に甘えているんだろう。中には、「責任は負わないが権力だけよこせ」と幼児的な欲望を隠さない人もいる。
僕も今の社会がベストとは思わないが、法治国家である以上、憎い相手を責めるにしても(私刑ではなく)現行法で対処するしかないと母親の殺された事件を通じて痛感した。面倒な手続きを経ないと、人殺しひとり裁けないのが法治国家なのだ。

ちょっと話がそれてしまったが、ツイフェミの人とかシュナムルさんのように自分と意見や価値観の違う相手を「くそだせえ」「ゴミクズ」などと幼稚な言葉で罵倒せざるを得ないのは、人として未熟(母親に依存していた乳児のまま)なんだと思う。
自信のない人って、他人を批判しつづけていないと正気を保てないんだよ。そういう人って、一見すると自信満々で華やかに見えるけど、本当に自信のある人は言葉づかいが丁寧で他人を尊重するから、薄っぺらな偽者は一発で見抜けてしまう。

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2021年2月 9日 (火)

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昭和50年男 2021年3月号 明日発売
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「特集/オレたちが認めた好敵手」で、「アムロとシャア」カラー6ページ記事を構成・執筆しました。
この本に書くのは初めてですが、編集者は融通がきいてレスポンスも早く、気持ちよく仕事できました。フリーライターを続けられるかどうかは、よい編集者と出会えるかにかかっています。互いに尊重しあえるかどうか。支配したりコントロールするのではなく。
そして、ダメな人や高圧的な人と仕事していたら、同じような人たちに出会ってしまう確率が上がります。支配したがる人は支配できそうな相手をいつも探しているし、ダメはダメ同士と仕事したがるので、必ずそうなってしまうのです。

神風動画が単独で自社制作したアニメ映画「COCOLORS」は、アニメ業界に咲いた“小さな花”【アニメ業界ウォッチング第73回】
20年前、ライターになりたての頃、興味をもって取材に行ったことのある神風動画さんに改めて取材しました。
元妻が『ナンバーファイブ吾』を愛読していたので、「ああ、あの時代か」とピンときます。『ほしのこえ』のDVDをとぼしい情報だけで予約して、在籍していたゲーム会社で自分たちでもアニメをつくろうと焦ったりもしました。ああいう無駄な焦りがなくなったので、今はすごく楽です。


プリプラ「妖精ピコ」
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開発に2年ほどかけて発売したとたん、即完売となってしまいました。僕が初めて企画からディレクションまで関わった、組み立てキットです。
といっても、いくつもの案の中からどのデザインを選んでどう造形してパーツ分割するかはMICさん側が決めて、この成形色もMICさんの判断です。僕はもっと黄色味の強い色にしてほしかったけど、この色で売れたのだから、MICさんが正しかったのでしょう。
相手がどんどんやりたい時には、ストップをかけずに好きにやってもらった方がいいです。誰かが決めないと動かないときは、自分がやればいい。「意見が通らないならやめてやる」、これが一番よくない。何も結果を残さずに損だけすることになります。


先週は、国立新美術館の「佐藤可士和展」へ。
恥ずかしながら、まったく知らない名前だったのだが、知らないからこそ行かないといけない。知っているものだけ見ていたら、世界は狭まる。
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果たして、本人がキュレーターも務めたという展示は思い切りのいい、洗練された展示だった。空間の使い方、密度感……「歩いて自分のペースで見て回る」美術館特有の能動性を喚起するものだった。
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写真は撮れなかったが、コンビニの食品パッケージの実物をぎっしりと敷き詰めて、よく見ると壁の片側に図面が混じっている……といった騙し絵のような見せ方もよかったし、工業製品の中に筆や絵の具のタッチを残した不定形なものを混ぜ込むセンスもいい。


その日は、いつものようにレインボーブリッジを芝浦ふ頭方面から渡って、お台場のレストランでビール。
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一秒とたたない間に変化していく、雲の動きを楽しんだ。「1秒、2秒」と数える間に、数十分、数時間とも思えるほど豊かに、雲の形は跡形もなく変化していく。
頭上を飛びすぎる鳥の羽の裏側に、西日が当たっているのがくっきりと見えた。錯覚ではないかと思うほど、明瞭に。


実は、昨日もたまたま用事があって、芝浦ふ頭にいた。なので、同じようにレインボーブリッジを渡って、15時から16時にかけて、ちょうどいい時間にお台場に着くことができた。
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しかし、事前に調べてあったレストランは場所が分かりづらかったり、なんと16時で閉店だったり(そのくせ店を閉めずにドアは開けたまま)、肩透かしをくらったのでノンアルコールで帰った。ひどい曇り空で震えるほど寒かったので、それはそれでいい。

「場所が分かりづらい」というのはダイバーシティ西側7階のことで、ガンダムベースに行こうとして間違って降りてしまった人もいるのでは? 7階の西側エレベーターを降りるなりスポーツ施設の受付があるので、「?」と戸惑ってしまう。実はエレベーターの右側奥にレストランがあるのだが、降りると受付のお兄さんに「レストランは6階です」と言われてしまったので、「もういいや」となる。
別にそういう要領の悪い部分を改善してほしいとは思わない。もともと「場所が分かりづらい」と言われつづけている店で、それでも頑張って行く客もいれば、あきらめて帰る客もいる。それだけの話だ。


レンタルで観た映画は、ベルイマンの『夏の夜は三たび微笑む』、主演女優のアクションだけが見どころの『高慢と偏見とゾンビ』。

後者の、CGが普及して撮影がデジタル化してからの「隅から隅まで意図が行き届いていて、意図のないものは入っていない」うすら寒い充実感。ディズニーの実写映画も、すべて意図で埋め尽くされていて、たまたま映り込んだ要素はあらかじめ消されている。
だから僕たちは、フィルム時代の映画へ、モノクロ時代の映画へと遡行をつづけなければならない。「40~50代になったら新しいものを受け付けられなくなるぞ、感性が鈍るぞ」と若者を脅かしている人は勝手に鈍っていればいい。そういう人は若いころから探求心に欠けていたから、勘の鈍った中年になるべくしてなっただけだ。

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