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「ハクション大魔王2020」――50年ぶりの続編がつくられた理由【アニメ業界ウォッチング第66回】(■)
先月1日に取材した記事です。元タカラトミーのモギシンゴさんのおかげで、楽しいインタビューになりました。監督の濁川敦さんの言葉どおり、第2話でプゥータが活躍しはじめてから、すごく面白くなってきました。
また、このインタビューは、タツノコプロの広報の方と直接交渉しながら、進めました。ですから、記事の方向性や役割もハッキリしたし、融通もききました。いつもこんな取材だったらいいのに……と思います。
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最近、DVDレンタルで見た映画は『雨月物語』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『モスラ』。
特撮モノが増えてきたのは、それなりに仕事に関係あるからだ(私はもう、バリバリ仕事してるし、売り込みもいっぱいやってますんで)。
『雨月物語』は学生時代に観て以来で、長回しのカメラの動きも、わりと正確に記憶していた。しかし、まだまだ膨大な発見がある。DVDを買おうかと思ったぐらい。1953年で、こんな高次元の演出をやっていたんだからな……。たかが90年代の映画を「古い、遅れている」なんてほざいてる場合じゃないですよ。
『エンドゲーム』は自分とは関係ない映画だったのでさておくとして、『モスラ』の膨大なミニチュア・ワークには唸らされた(特に水の表現力)。『ゴジラ』とは異なる、神秘的な世界観も気持ちいい。
怪獣を倒すプロットではなく、西洋人が悪役という点も画期的ではないだろうか。正義をつかさどるのは、有色人種(演じるのは日本人のみ)だからなあ。
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さて、新型コロナウィルスをめぐって、陰湿な「自粛警察」が跋扈する世の中になってしまったらしい(■)。多数のメディアが問題視してくれているのが、まだ救いである。
僕が遭遇した例は、あまりに程度が低くて恥ずかしいんだけど……。Facebookの喫茶店を愛好するグループで、自粛警察の人々に追放されてしまった。その顛末を、以下に記す。
まず、グループに加わったばかりで、「私は喫茶店には行かず、家で自粛してます」と投稿した女性がいた。その投稿に対して、なんだか長文で「家にいてください」「散歩しないと免疫力が下がるんですか?」「外出はロシアン・ルーレットです」、さらに「皆さんがお店に行くから、仕方なく喫茶店の店主はお店を開けているんです」と説教がましく返信している男性がいた。別に店舗経営者でも何でもなく、元・大手喫茶チェーン勤務とプロフィールに書かれていた(現役ではないよ、元勤務だからね)。
だけど、そのグループには毎日、喫茶店に行って、レポート写真をアップしている人もいる。その人たちに向かって「家にいてください」「お店に行かないように」って説教するなら、まだ筋は通っているよね。
どうして加わったばかりの女性、しかも自粛している人に対して説教口調なのか、文章が下手すぎて理解できないので、僕は「誰に向かって何を言ってるのか、サッパリ……」とリアクションしてしまった。すると、その説教男性は「今後は、よく考えてから投稿します」「でも、いいねをつけてくれた人がいるから、文章は削除しません」。
……こうして書いていても、なんだか小学生の意地の張り合いみたいで恥ずかしいんだけど。その男性がやりとりから離脱してしまったので、僕はグループの管理人に、投稿の削除を提案した。
だって、毎日喫茶店に通っている人もいるグループで、「皆さんがお店に行くから、お店はやむなく開店している」、しかも経営者でもないのに「私は喫茶店経営者の代弁をしている」とまで書いているわけだから。ところが、管理人が加わってからが、すごかった。超展開。超バカ。頭悪すぎる。
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グループの管理人がどうしたかというと、「私は男性の意見に賛同する」「お店の方の意見も尊重すべきだ!」と書き込んできたんですね。自粛警察、二号。
おいおい、どこにお店の人がいるよ? 説教コメントを投稿した男性は、大手喫茶チェーンに勤務していたとプロフィールに書いてるだけで、勝手に「経営者の代弁をした」と主張しているにすぎないだろう?
「一体、誰が“お店の方”なんですか?」と、管理人にメールしたんだけど、返事はない。
しばらくしてから、管理人が凄いことを書きこんできた。「喫茶店経営者の代弁をしている、と主張している人の意見は、経営者の意見も同然と見なします」。
ええええ!? 自己申告で「私は経営者の代弁をしました」と書けば、「この意見は経営者の声です」と判断されちゃうの? しかも、「管理人がすごい飛躍したこと書いてますよ」と俺が投稿したら、管理人は自分の飛躍した発言をメンバーに見られたくなかったらしく、僕とのやりとりを全て削除してしまった。
どうですか、程度が低いでしょう? だけど、怖いとも思った。こんな調子で、デマが広まっていくんだろう。「私は医療関係者です」と文頭に書けば、無条件で信じてしまう人たちがいる。そうやって疑わない、考えない人たちがデマに踊らされて、トイレットペーパーを買い占めたんだと思う。
その頭の悪い人たちは消えてなくなるわけではなく、学びもしないから、今後も延々とバカをやらかし続けるんだろう。そう考えると、かなり怖い。
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……なんというか、恥ずかしくないんだろうか。
「いいね」をつけてもらったから間違った発言でも撤回しないとか、人に見られたらヤバい発言をしてしまったから、こっそり削除とか。本業でも、そんな軽いノリで誤魔化しながら、ウソをつきながら、不誠実に働いているのだとしたら、世の中が良くなるわけがない。
まあ、本業でたいした活躍ができないから、SNSで大威張りしているのかも知れない。そうであってほしい。
だって、僕は実力以外で評価されたくないもん。
大学がどこ出身だとか、住んでいる地域がどうだとかで仕事を割り振る人、たまにいる。いい企画を考えても、「確かに面白いんだけど、このジャンルは別のライターさんが担当していて……」と断られる場合も、しばしばある。でも、そのライターさんは、僕のように面白い企画を考えられないんでしょ? 単に「今まで担当だったから」って気をつかわれて仕事をもらったって、俺はそんなのみっともなくてイヤだけどね。まあ、自己都合最優先で「知り合いなんだから、私に仕事を回してくれ」って当たり前のようにねだってくる同業者、たまにいるけどね。そういう恥知らずな人とは距離を置いて、実力だけでつながるように努めてきたので。
すると、「そのネタなら、廣田が書けるはず」って、ちゃんと能力に相応しい仕事が来るんだよ。濁った水の中に安住している人には、分からないだろうけどな。
だけど、「俺の実力だけを見てくれ」なんて殊勝な人、滅多にいないんだろう。
「私は元○○勤務です」で下駄をはかせてもらったり、「私は医療従事者です」でデマを振りまいたり、そういう人が幅をきかせている。そういう分かりやすい肩書きや見てくれがないと、人の能力を見抜けないおバカさんが大多数なのだろう。
しかし俺は、中学・高校時代の俺のように、「どうして人間はこんなに不公平なんだろう」「どうすれば楽しい人生になるんだろう」と暗黒の底で苦悩している少年たちに手を差し伸ばしたい。その生きづらさは、必ず報われるぞ、と確約してやりたい。
コロナともFacebookの話ともズレてしまったようだが、無関係ではないと思う。ちょっとはマシな世の中にしなきゃ、あまりに報われない。出鱈目をやっている大人たち、いつまでも今のようにのさばってられると思うなよ? 俺が黙っていないからな。
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