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なぜ「星合の空」は途中で終わらざるを得なかったのか? 赤根和樹監督が語る“日本のアニメを存続させるために、いまできること”【アニメ業界ウォッチング第65回】(■)
どうしてこのインタビューが可能になったかというと、『星合の空』のディスクが今月22日に発売されるため、その宣伝である必要がなくなったからです。
放送前にインタビューを申し込んだときは、エイトビット、TBS、そして外注の宣伝会社へ……とタライ回しだったので、それではロクな環境でインタビューできない(他社の取材と抱き合わせにされる例が多い)ので、断りました。
放送後、『ノエイン』以来の付き合いである赤根監督と直接交渉が可能になったから、こういう話を聞けたわけです。ようするに、製作委員会がインタビューなんて「宣伝」だとしか考えてないから、記事の質が下がるんです。そこに歯止めをかけられるのは、ライターや編集者ひとりひとりです。
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ここ数日でレンタルして観た映画は、『戦争のはらわた』と『クレオパトラ』。
『戦争のはらわた』は中学のころ、三鷹オスカーの戦争映画特集で観たように思う。爆発のスローモーションばかりが話題になるが、この映画は線ではなく点で出来ている。「誰かが銃を撃つ」「撃たれた側が倒れる」流れが、構図とカットで計算されているとは限らず、完全に別々の場所で撮ったカット同士を強引に繋げている。その乱暴さが、ある種の迫力を出している。
こういう「雑さ」は、ネタバレだ伏線だと神経質になってしまった今の娯楽映画では、許されないのかも知れない。
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『クレオパトラ』は半裸の美女たちが舞い踊り、入浴シーンも結構あって、その通俗ぶりにちょっと笑ってしまった。
ただ、上のような並外れたスケールの豪奢な作り物には、素直に感心させられた。
50年代はシネスコやビスタが開発され、映画会社は大画面の迫力を駆使して、テレビに奪われた観客を映画館に呼び戻そうと必死だった。IMAXフィルムで撮られていないのにIMAX上映する今の映画館の趨勢に、かなり似ている。
『スター・ウォーズ』新三部作の巨大なセット志向、「別に作り物に見えてもいい」「っていうか、昔の超大作はセット丸出しだったじゃん!」という開き直りのルーツは、50~60年代に、その萌芽を見ることが出来る。観客の顔色ばかりうかがっている最近の『スター・ウォーズ』が、いかにみみっちいか、分かろうというものだ。
もっとも、ルーカスは『クレオパトラ』のエロティックな要素は、受け継ぎそこねたのかも知れない。『クローンの攻撃』でナタリー・ポートマンの白い服で、乳首が浮いて見えるのでは?という噂があった。
ご覧のように、縫い目が乳首に見えるだけなのであるが、このコスチュームが破れてヘソが見える……という演出は、童貞くさいルーカスにしては、ずいぶん思い切ったと思う。
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吉祥寺のように過密しがちな街は「怖い」と感じるのだが、三鷹市のマイナーな通りは日曜日でもスカスカなので、散歩してきた。
ところが、中華料理屋からは「ごちそーさん!」と大声で叫びながら暖簾をくぐって出てくるオヤジはいるし、大丈夫なのかなと思ってしまう。アベックや親子連れは、例外なく手を繋いでいる。
マスクが買えなかった、と意気消沈している家族も薬局の前で見かけた。僕はたまたま入荷時間に店にいたから買えたけど、この先が心もとないから、やむなく3日ぐらい同じマスクを使いまわしている。だから、政府の配布する布マスクは、けっこう助かる。
自分の行動には甘いくせに、他人の行動を厳しくチェックしてないか警戒すべきと思う。なぜなら、他罰感情は僕たち自身の心を濁らせ、腐らせるから。
たとえば一部の地域では、ドイツ人がフランス人を差別している(■)。欧米人・白人の人権意識が、とりたてて高いわけではない。誰もが差別者、加害者になり得る。自分だけは清廉潔白だと思っている人間から、順番に堕落していく。
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しかし、今回のコロナ騒ぎ、欧米での感染者数・死者数が増加してから、急に「世界全体の問題」に格上げされたように感じている。
そして、すでに桁違いの被害者を出している国・都市の人たちが「次は日本だぞ」「日本の対策は甘い」など、脅しに来る。以前から、ずーっとそうだったような気がする。何がどう変わったわけでもないのだろう。
もし、中国・台湾・韓国・日本などアジアの一部に感染が留まっていれば、欧米はそしらぬ顔をしていたような気がしてならない。僕らは、彼らの周章狼狽に合わせてやっている部分もあるだろうし、それによって損している部分も助かった部分もあるだろう。
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