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2020年4月17日 (金)

■0417■

ここ数日で見た映画は『ノルウェイの森』、『フェリーニのアマルコルド』、配信では『ねらわれた学園』。
『ノルウェイの森』を監督したトラン・アン・ユン作品では『青いパパイヤの香り』を見ていたが、本作では村上春樹の「俺の性欲を全女性に徹底肯定してほしい」願望が痛々しくて、見ていられなかった。やっぱり、正気の人が悩んだフリをすると、自殺だとか愛のともなったセックスができないとか、表層的なアイデアに終わってしまうのだろう。
『アマルコルド』も明るく恵まれた性欲大肯定の映画で、初めて見たときほどは楽しめなかった。

それに比べると、『ねらわれた学園』のリアリティの欠片もない演出からは、不思議な叙情性を感じられる。
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このダンスのシーンとか、空間的にも時間的にも飛躍していて、いわば「どこでもない」「いつでもない」瞬間を切り取っている。ストレートに性的なモチーフを扱っているわけではないが、青春期特有のとりとめない妄想、現実味のない願望が匂い立つように感じられた。


中国発祥の新型コロナウイルスに関して、一律10万円が支給されることになったらしい。ところが、また野党が難癖をつけている()。「内閣総辞職に値する」んだって。別に安倍内閣支持ではないけど、ちょっと意味が分からんねえよな。じゃあ、どうすればいいの? 常に反対してられるのは、現状のままで何も困らないからでしょ? というより、常に反対してないと、「間が持たない」「やることがない」んだろうな。

この期におよんで、何はともあれ安倍総理に難癖つけているミュージシャン、俺は弱者の味方だ、日本国籍のない人にも10万円払えと、あえてわざわざ重箱の隅をつついているアーティスト。お前ら、何も困ってないだろう? ちょっと不愉快だとか気分が晴れないだとか、その程度だろ。本当は余裕しゃくしゃく、優越感にまみれて、エエカッコシイしてないと罪悪感でいっぱいで、恥ずかしいぐらいだろ? 俺にはバレてるぞ。


どうして分かるかというと、僕は小学校のころから体育が出来ず、劣等感に打ちのめされて育ったから。教師や同級生から嘲笑されつづけると、本物の混じりけのない恨みが心の底に熟成されてくる。今でも、体制が憎い。多数派が憎い。権力が憎い。それぐらい、身体に根ざす劣等感は根深い。
ヒエラルキーの最下層にいると、最上層部で旗をふっている本物の強者はほんの少数で、強者に合わせて擦り寄らないと居場所を得られない凡俗どもが大多数なのだと分かってくる。安倍政権に反対して、何かしら問題意識のあるポーズをとってないと「間が持たない」のは、ようするに、中間層の凡俗どもの成れの果てだよ。
(クラスの最上層で我が物顔だった人間たち、権力者たちは大金持ちやヤクザの子供だったりして、ちょっとした犯罪をもみ消すことも出来たりして、社会的なレベルで「悪党」になっていった。本物の権力者たちは敵にするにも味方にするにも危険すぎて、「割に合わない」のだ。)

そこそこ体育もできて、女子からも人間扱いされて、これといった不自由もなく育つと、人間はどんどん薄っぺらになる。やることがないから無闇に体を鍛えたり、せいぜいファッションに凝るぐらい。そういうヤツが「俺もオタクっすよー」とか言ってアニメを見ても、屈折していないから見方がスカスカなんだよ。
「あの……本当に自分のことオタクだと思ってますか?」と、俺がジトッとした目で聞き返すと、優越感にもたれかかって生きてきた凡人はギクッとする。30歳、40歳と年齢を重ねると、自分には何も中身がない、心からの悔しさもどす黒い怨念もなくて、のっぺらぼうの優越感だけだ……と気がつきはじめるから。
自分の身を危険においたことがないから、言葉が上っ面なんだよ。戦争反対だから兵器を買うなとか、軍事予算で弱者を救えとかさ。リスクをおかしてない発言は、まるで心に響かない。


俺は体育の時間が教師の都合でなくなると、教室で漫画を描いていられるから、ひとり陰気にほくそえんだ。
クラスの八割ぐらいの凡人たちは「あーあ、ドッジボールしたかったのにー」と、上層部の意向に合わせた表層的な悔しがり方をしていたが、本当に恐ろしい生徒は、教師を殺しかねない。逆に、体育の時間をなくしたぐらいで教師を殺すヤツなら、俺は尊敬したと思う。
でも、そこまで本気の人間は滅多にいない。


静岡県議会の諸田洋之って議員が、マスクを転売したでしょ? もうみんな政府の配布するマスク叩きにも飽きて、諸田議員がマスクで儲けたことなんて忘れてるだろ? 俺は諸田議員に「いつ議員を辞めるんですか?」と、ねちねちメールを出しているよ。
今の日本の法律では、諸田議員を辞めさせることは出来ない。一時的にネットで叩かれても、諸田議員は痛くも痒くもない。かすり傷ひとつ負っていない。どんなに腹がたっても、こんなザコ県議ひとり辞めさせることが出来ない。それが日本の限界。
だから、「総辞職だ」とか空疎な、しょせん本気ではない、恨みも憎悪もない表層的な言葉を繰り返している野党が嫌いだ。本当に切羽詰った、根源的な生き苦しさを抱えてしまった人間をバカにしているとさえ思う。

この時期に反政府的なスタンスで幼稚なツイートをしているミュージシャンや俳優は、これで底が割れたので見通しがよくなったと思う。(宍戸開だとか、デマを拡散するまでまったく、名前すら聞いたことがなかった。スポーツも出来てルックスにも恵まれて、だけど反アベぐらいしかやることが残ってない典型的な凡人。)
本当に怖いヤツは、いま絶対に人目に触れない場所に潜んでいる。

(C)KADOKAWA1981

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