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2020年2月 2日 (日)

■0202■

夜になると、また強烈な頭痛が戻ってきて、明け方にかけては吐き気までこみ上げてきた。吐き気は、ひょっとして頭痛薬の飲みすぎで胃が荒れているせいかも知れない。したがって、またも横になったまま、各種配信で朝まで映画を見続けていた。

『アウトブレイク』の能天気な展開には苦笑するしかなかったが、90年代にリアルタイムで見ていた映画を再見すると心が落ち着く。
『ジュラシックパーク』初期三作も見直してみた。すると、一作目は(まだCG技術が限定的であったせいか)、恐竜と人間の直接な関わりは避けて、ジープを介在させるなど、間接的な描写が目立つ。「恐竜とモノ」「モノと人間」の図式が、映画のスタイルになっている。
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一作目に対して、同じスティーブン・スピルバーグ監督による二作目は、もっと質感に迫った神経質な映画になっている。質感というのは、CGのことではない。雨とか泥とか、皮膚感覚的な描写を効果的に演出に活用している。人物の乗った車のガラス窓が、体重によって少しずつ割れていく……なんていうシーンが象徴的だ。
こういった違いは、ストーリーだのネタバレだの言っていては決して気づくことはできない。


『コンタクト』も再見した。好きな映画だ。いつも思うが、宇宙へジョディ・フォスターを転送する巨大マシーンは、もっとそれっぽいものを考えてほしかった。あのマシーンが登場して以降は、どんどんリアリティが薄まっていく。
いちばん好きなのは、異星人からの電波を受信した直後、電波望遠鏡のまわりが様々な価値観の人々でごった返す祝祭的なシーン。
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つづいて『メッセージ』も再見したが、『コンタクト』を意識しすぎているように感じた。僕と同世代のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の次回作は『デューン』だが、『ブレードランナー2049』といい、80年代回顧映画の旗手のようになってきていないだろうか? そうした企画は最近の『スター・ウォーズ』のように、「過去に思い入れのある観客を怒らせてはいけない」という理由で、保守的な作品しか残さない。
そして監督たちは、すさまじいストレスによって疲弊していく。


丸2日間、家にこもって寝ていて、今朝は喉がすっかり腫れあがっていた。唾液を飲みこむのも、苦しいぐらい。でも筋肉や骨の痛み、倦怠感は後退していたので、いちばん近いスーパーとコンビニまで買い物に出てみた。もちろん、しっかりマスクをして。

以前から気になっていたことだが、スーパーでもコンビニでも、会計時に、お客さんに確認する事項が多すぎる。「ポイントカードお持ちじゃないですか?」「袋はふたつにお分けしますか?」「お箸はつけますか?」等など。
想像するに、これはサービスというより、「どうして会計前にポイントカード持ってるって確認してくれないの?」と、単に自分が不注意なだけなのにクレームをつける客が多いからではないだろうか。

これは僕に近い業界だけの話かも知れないが、出版社やメーカー、店舗などに「様」をつけまくるSNSでの風潮も気になっている。
主体はクライアントであり、受注者である自分から「様」をつけて力関係を明らかにしておきたい……といった、先んじてマウンティングに屈したような卑屈さを感じてしまう。仕事でやりとりがあるなら、発注者も受注者も対等のはず。
レジの人も、客がポイントカードを持っていないからといって、「失礼しました」などと謝る必要はない。どちらが上でも下でもない。対等だよ。
みんなで、自縄自縛の窒息状況をつくるのはやめよう。


新型コロナウイルスをめぐる言論を見ていると、「中国人に対するヘイトだ」という言い方が散見される。
「ヘイト」って、ようするに「傷ついた」「不快だ」レベルのお気持ちに名前をつけたに過ぎないのではないだろうか。「気持ち」なんてものは、誰でも持っている。だからこそ、互いに少しずつ我慢したり、譲り合ったりしながら、少しずつ理解と調和を獲得していくべきだろう。

先日のトークイベントでも話したことだが、目の前で「廣田さん、ハゲですよね」と言う人は結構いる。僕はそれに対して「ハゲに対するヘイトはやめろ」とか「ハゲを差別するな」とか、いちいち主張しない。ハゲなんて僕の本質ではないんだから、誠実な仕事ぶりを示して信頼を獲得すればいい。

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