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2019年7月24日 (水)

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モデルグラフィックス 2019年 09 月号 明日発売
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●組まず語り症候群 第81夜
今回のお題は、バンダイ製のデス・スターⅡのキットです。
また、新刊『親子で楽しむ かんたんプラモデル』()の情報も掲載。


最近観た映画は、ジョン・カサヴェテス監督の『こわれゆく女』。
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しかし、僕のつたない感想なんかより、こちらのレビューが勉強になる。⇒ジョン・カサヴェテス「こわれゆく女」の往復運動(
俳優の動きを、カメラがどうフレームに収めるか? そこにこそ、映画のテーマが込められている。映画を「ストーリー」としか思っていない人には、カメラの動きなど見えていない。「ストーリー」以前に、俳優とカメラをどう関係させるかという「構造」がある。上のレビューを読んで、僕はようやく仲間に出会えた気がしている。

ジーナ・ローランズが、3人の子供を抱える、情緒不安定な主婦を演じている。
最初は感情表現がユニーク、ちょっとオーバーな仕草の面白い女性だ……程度にしか思わない。ジーナが明らかにおかしな人、という演じ方をしていないところが凄いし、怖い。
たとえば、3人の子供たちが学校からバスで帰宅してくる。ジーナは道路に立って、飛び跳ねて喜ぶ。それを望遠で撮っている。バスが映っていないと、道路で奇声を発しているように見える。バスが到着して、降りてきた子供たちとジーナを、カメラが同じフレームに捉える。子供たちがジーナに駆け寄るので、見ているこちらは「別に異常な母親ではないのだな」と、ホッとさせられる。そうした際どい体験の連続が、この映画である。
それほどまでに、カサヴェテスの撮り方には作為がない。黒澤明やヒッチコックのような、ありありとした高度な意図が、カサヴェテスの即興のような撮り方からは感じられない。


あまりに様式的に完成しすぎたヒッチコックの構図やカッティングを研究していたトリュフォーは、『ピアニストを撃て』のような支離滅裂、まるで素人のようなデタラメな映画を撮った。この事実を覚えておくだけで、事物への理解は飛躍的に高まるはずだ。
先週、若い編集者と飲みながら、映画を特集する企画について意見交換した。彼は、ヒッチコックを愛好していた監督は、すべからくヒッチコックそっくりの映画を撮るものと前提して話していた。そこに、ここ数年の映画をめぐる言論の逼塞がある。
『スター・ウォーズ』で育った監督は、みんな『スター・ウォーズ』を撮るのが夢……その短絡に、クリエイター自身が埋没しているのが、僕には怖い。

かつて『トップガン』がヒットしたから、また同じ俳優で『トップガン』を撮れば、同じ観客が来て同じようにヒットする……それはもう、自由な表現ではない。


参議院選挙では、完全にキワモノとして受けを狙った「NHKから国民を守る党」が一議席を獲得して、NHKの集金人から恫喝を繰り返されていた僕としては、痛快極まりない。
しかし、「選挙や政治は真面目にやるべき」という人の多さには驚かされた。「若者は選挙に行きましょう」と居丈高に呼びかける人は、たいてい「真面目にやるべき」派。
はじめて政治に興味が出て、N国党に投票したとツイートする若者に「次からは、自分の頭で考えてね」「次からは、れいわ新撰組か共産党に入れましょうね」と呼びかける人たちが結構な数いた。個人の自由な思考と選択をナチュラルに奪う罪なき庶民のほうが、僕には現政権より、よほど恐ろしい。

人は、誰かを従わせて、誰かの意志をくじけさせて、自分の思い通りにしたがるもの。
それを忘れてはならない。僕だって貴方だって、誰だって抑圧者になり得る。アベ政権だけが抑圧者だと言いたいだろうが、山本太郎だってN国党の立花孝志代表だって、みんな抑圧者になり得る。そう、表現の自由を守るはずの山田太郎さんだって、僕の発言を遮って自説を述べつづけたことがある。
自分の信じる政治家だけは例外……と考えることが、全体主義の始まりだ。僕も貴方も、無知で傲慢な愚民なのだ。


来週、毎月開催しているイベントで「自衛隊」をテーマにするけど ()、もうハッキリと嫌悪を示す人がいて、驚いている。兵器が目の前からなくなれば、戦争も起きないと信じている人たちがいる。欧州であれ南米であれ僕が旅してきた国、すべてに軍隊があった。スウェーデンの戦争博物館は、戦車や戦闘機のプラモデルを大量に並べて販売していた。
僕の支持するN国党の代表、党員、ちょっとずつ兵器好きだったり靖国神社に参拝していたりして「えっ……?」とは思うのだが、そういうものだと思って、噛んで含めるしかない。曇りのない宝石など、この世にないのだ。誰もが少しずつ汚れているから、誰もがバカで愚かだから、だから助け合うのだ。

痛ましい事件がおきるたび、犯人(ではなく容疑者なのだが)は「死刑では足りないから、生かしながら苦しめろ」と主張する人たちがいる。誰もが抑圧者になる得る。人は人を殺し得る、犯し得る。その事実を、まずは受け入れねばならない。

(C)1974 Faces International Films,Inc.

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コメント

いろんな方面から叩かれてるN国党ですが、彼らは法律に基づいてキチンとした手続きを踏んで立候補してますからね。また、立花代表がyoutubeで映画評論家の町山智浩さんに反論?した動画でも言ってましたが、盲目的に真面目さや正しさを追求したり他人に強要するのは危険だと感じました。

投稿: コメリ | 2019年7月24日 (水) 22時38分

■コメリ様
コメントありがとうございます。N国党支持の方と言葉をかわすのは初めてです。
反権力のはずの町山智浩さんが、NHKのスポークスマンみたいになっていて苦笑しましたけどね、あまりに不勉強すぎて。
N国党の動きを追っていて面白かったのは、ふざけた政見放送をした人ばかりでなく堅苦しいといってもいいぐらい真面目な人もいたことですね。みんな少しずつ欠点があって、社会の縮図のようでホッとしました。

投稿: 廣田恵介 | 2019年7月24日 (水) 22時52分

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