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2019年6月11日 (火)

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土曜日、小学校時代の友だち2人と、新宿へ『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観にいった。
その帰り、二軒目の居酒屋で「フリーライターって、ページあたりいくら貰えるの?」と友人M君が聞くので、正直に最低額を答えたところ、「それじゃあ食えないなー」「そうか、やっぱり食えないんだなー」と納得したように頷きはじめた。本人によると「食えない」ではなく「厳しい」と言ったそうだが、どちらにしても、僕の原稿料を「安い」と思ったのは確かだろう。
以前にもこのブログに書いたが、僕は雑誌やWEBの原稿料だけで家賃や光熱費を払い、税金を払い、海外旅行にも行っている。「食えない」わけでも「厳しい」わけでもない。「楽しい」の一言だ。もし貯金が目減りしてきて「厳しい」と感じたら、新しい企画を考えて提案するのみ。仕事なんて道に転がっているわけじゃない、自分でつくるものだ。それぐらいアイデアを用意している人間に対して、勝手に「厳しい」などと言い放つM君とは何者なのか?

僕が20年前に出した本の共著者。自分の本名で公になるような仕事はしたことがないんじゃないだろうか。
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当時、M君は小さな出版社をやめたばかりだった。
この本を出してから20年、僕は3冊の単行本を出して、来月には通算5冊目の著書が出る予定だ。しかし、M君が本を出すとか、どこかの雑誌で連載をやってるといった話はまったく聞かない。ここ数年は「奥さんが外に出て働き、M君本人は家で家事や子育てをしている」、ようするに「主夫」業だと聞いたことがある。
その件について本人にメールで確認してみたが、何の返事もない。『ゴジラ』を観た翌朝、早くから仕事があると聞いたが、何の仕事なのかいっさい口にしない。その癖して「廣田の原稿料は安い」である。
念のため言っておくが、「主夫」として生きるのも、本人が幸せならば良いじゃないか。翌朝の仕事というのが、誰にでもできる雑務であっても、それが面白いとか家計の足しになって幸せにつながるんだというなら、おおいに結構だ。人生、楽しいのが一番。たとえ他人から見て貧しくても、本人が幸せならいいじゃないか。

M君のムカつくところは、自分の喜びや幸せについては一切口外しないくせに、人の原稿料だけ聞きだして「安い」と断じる卑怯さだ。メールで「じゃあ、お前はいくら稼いでるの?」「今どんな仕事してるの?」と何度か聞いてみたが、彼は質問には一切答えなかった。


上に画像を貼った共著を制作しているとき、M君はとにかく作業が遅かった。彼のスピードに合わせていたら、僕がスケジュールどおりに作業した意味がなくなる。ところが彼は「一応、この本は俺の著書でもあるわけで、俺にも権利がさあ……」などとゴネるので、電車の中で「お前、やることやってから権利を主張しろや!」と大声で怒鳴ってしまったことがある。
その数年後、彼とは仲直りしたのであるが、僕と街で出会ってしまわないかビクビクしながら暮らし、夢に僕が出てきた翌朝は奥さんが不審に思うぐらい、ベッドの上でガタガタと震えていたのだという。さすがに、それを聞いて可哀想にはなって謝罪した。
その頃の彼は、まだ子供もおらず、出版や編集の仕事を少しずつやっていたんじゃないかな。彼が何をやりたいのか、出版の世界で生きたいのかどうしたいのか、とにかく何も話さない人間なんだ。

だけど、僕はいっぱいアイデアがあるから、「先日こんなことがあって面白かった」「この映画が好きだ」「今度こんな企画を考えてる」と話すわけ。
すると、彼はいちいち「ゲーッ……お前、そんなの本気でいいと思ってるの?」と難癖をつけてくる。それは彼の性癖なんだと思う。僕が「女優の○○さん、可愛いなあ!」と言ったとすると、「オエーッ、趣味悪う」とか平気で言う。「そういうお前は、誰が好みなんだ?」と聞くと、「いや別に……」と話をそらす。そういう人、あなたの身の回りにいませんか?
しかも、M君のひどいところは、いったん話が終わってから蒸し返すんだよね。もう他の友だちを交えて別の話題に移っているのに、ニヤニヤしながら「まあ、この人は○○が好きな変わり者でらっしゃいますからね」と、僕の肩をポンと叩く。僕が「オエーッ」とか「ゲーッ」とか言われてグッとこえらたのに、追い討ちをかけるような嫌味を言う。それが毎度のことで、先日、原稿料を安いと言われた席でも「ハイ、えーと、廣田くんは○○でらっしゃるそーなのでー」とニヤけながら肩を叩く。
こうして書いてみると、M君はとっくに友だちではないな。電車の中で怒鳴られたことを根に持っていて、少しずつでも報復したいのかも知れないな。


2009年、僕は同人誌の編集をM君に頼んだ。その頃がいちばん仲良くしていたと思う。彼はかつてのようなグズではなく、スケジュール通りに仕事を終わらせてくれた。
その頃の彼には子供ができていて、可愛くて仕方がないって感じで、よく子供の話をしていた。僕には子供はいないけど、彼にも生きがいが出来たんだな、良かったなと思った。

大学時代のM君は、「小説を書いている」「詩を書いている」と口では言っても、とうとう完成した作品を見せてくれることはなかった。……そういう人って、あなたの周りにもいると思う。というか、世の中そういう人のほうが多いんだろう。
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僕が『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』を出したとき、M君は感心したように「お前、あんな本出したんだなあ」と話しかけてきた。僕が謙遜して「いやあ、あの本は編集者がほとんど作ってくれたんだ」と答えると、「ああ、なーんだ! お前が書いたんじゃないの! なーんだ!」とM君は満面の笑みになった。
なんというか、他人を自分のレベルに引きづり下ろして、それによって安心したがる。ほんの2~3分の会話で、相手から「安心材料」を引き出して、「俺も大した人間じゃないけど、お前も同じだな」的な嘲笑で会話を終える。

ようするに、M君は「代案がない人」。他人のアイデアにダメ出しはするけど、かと言って自分ならどうしたい、という代案が出せない。好き嫌いでもいいんだ。そんなに僕の趣味が悪いのであれば、君の好きにしていいよと言ったところで、彼は自分が「趣味悪い」と言われるのだけはイヤなんだよ。自分からパンツを脱いだり、少しでも自分を危険をさらすことだけは絶対にしない。その代わり、他人のパンツを下ろさせて「ちっちゃいチンコだねー!」とは笑うわけ。
M君のお父さんは医者で、家はお金持ちだった。父親はM君が何か失敗すると「喜ぶ」とのことだった。そういう親子関係の中で、そこそこインテリでプライドが高く育ってしまって、だけど実行力がない……可哀想ではあるよね。僕はオタクで変態で、生命力の強いドブネズミで、良かったと思う。

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