« ■0514■ | トップページ | ■0526■ »

2019年5月24日 (金)

■0524■

モデルグラフィックス 2019年 07 月号 25日発売予定
D7oxb0juwaeudt7
平成元年、ガンヘッド出撃!
先月の【模型言論プラモデガタリ】の再録ですが、正式に設定画をお借りしたうえで、河森正治さんのコメントを引用しつつも、ほぼ丸ごとデザインとプロットの関係を語りおろしています。
最近あまり触れてませんが、連載記事「組まず語り症候群」も休まず掲載中、今回で第79回目です。

月刊ホビージャパン2019年7月号 25日発売予定
91tbi3kvobl
“キャラクター文化”としての美少女プラモ、その最新形
巻頭特集にあわせて、2019年の美少女プラモデルの過去と現在と未来を……という編集部からのオーダーでした。静岡ホビーショーをはさんで、丸ごと全部書き直したり、若い編集者には多大な負担をかけてしまいました。第一稿は1990年代の『セーラームーン』や『ときメモ』、『エヴァ』にいたるキャラクター史を追って、研究書籍(90年代末のサブカル評論ブーム)を紹介した荒っぽいものでした。
その後、やはりフレームアームズ・ガール(FAガール)を中心に書き直してほしいと言われて、第一稿の使える部分は使い――すなわち、90年代に起きた美少女キャラクターの氾濫と類型化のパートは残して、そのムーブメントを「データベース消費」という新しい側面から批評した東浩紀さんの『動物化するポストモダン』を中心にすえました。
『動ポ』は、もう18年も昔の本です。だけど、景気の低迷した18年間、キャラクター文化が革新的な何かを生めなかったから、90~00年代を概観せざるを得ないのだ、とも言えるのです。

……とまあ、「キャラクター文化史」なんて言葉自体、模型雑誌にすら載らなくなったご時世に、FAガールを単に「売れてるコンテンツ」でもなく「売れてるんだから、何かしら凄いんだろ」でもなく、パーツを組み立てたり組み替えたりする「データベース消費」という視点から語れただけで、僕にとっては大きく得るものがありました。
読者は、こんな文字だらけのページは面白くないと思います。でも、ページ埋めに適当なことを書いたわけではありません。


FAガールを切り口にすれば、ここ20年ぐらいの間に起きたサブカル(という言葉も滅多に聞かなくなりました)の動きのあれこれを、接続できるように思います。
例えば、ボーカロイドやMMDのように、ユーザーの自主性・主体性・能動性で育ったシステムとFAガールは調和するんじゃないか……と思いついたら、「フレームミュージックガール 初音ミク」って製品が出てるじゃないですか。
61rok3aqptl_sl1000_
初音ミクって、クリプトン・フューチャー・メディアの公式イラストだけが本物、中心ってわけではないですよね。誰かが二次創作しても、それは誰かが初音ミクを使って自己表現している、フィーチャリングみたいな捉えられ方をする。初音ミクの○○(絵師名)ヴァージョン、みたいな感覚。
FAガールは、ひとつのキットの中で完結してもいいし、互換性のあるパーツを他のキットから流用して形を変えても、とにかく何をしても間違いではない。このキャラはこういう性格だからこんなポーズはとらないとか、この武器はスケールが合わないから装備しちゃダメとか、従来のキャラクター・コンテンツで障壁となっていた公式設定が、そもそも存在しない。
ユーザーが素組みしても、布の服を編んで着せても、ぜんぶ正解である。すべてが単なるヴァージョン違いであって、どれがどれに勝るとか優れているとかいう評価軸すら、介入できない。
(ガンプラの場合、宇宙世紀という公式設定が重たすぎるし、そもそもアニメーションという強固な原作があるし、80年代のガンプラ・ブームの余波で塗装や工作によるヒエラルキーから逃れられない。障壁を乗り越えようと試みたのが、ガンダムビルド・シリーズでした)

さて、武装パーツの入っていないFAガール「イノセンティア」を原稿執筆のために購入して、あらためて驚きました。
Dscn2897
キットの中には数種類のケモノ耳パーツ、ツインテールとショートヘア、大きな胸とぺったんこの胸、素足とメカ足など、膨大なオプション・パーツが含まれていて……というよりオプション・パーツそのものがキットなので、僕は必ずどれかを選ばなくては組み立てられない。やっぱりショートヘアが好きだとか、ケモノ耳の魅力に目覚めたりする。ポージングさせるにも、何かしらの嗜好や性格が反映される。恥ずかしいけど、これはハマる。以前に「轟雷」を買って素組みしたときは、こんな照れは感じなかった。この照れは、おそらく自己表現と直結している。

いま売り切れ中の「ホビージャパンエクストラ」で、FAガールを使って自己表現している作家たちにキラキラした憧れは感じるけど、自分が同じ作品をつくりたいわけではない。自己表現なんだから、「自分は自分だ」と再認識するわけです。
キットの素組みとハイレベルな、アウェイな工作・塗装技術を投入した個人作品が、もしかすると等価かも知れない。少なくとも「部分塗装してビキナー脱出」などのガンプラ的価値観を超越しているのではないか?
これだけの選択肢(オプション・パーツ)から僕たちが好みを選べるのは、ポニーテール好きだとか水色髪に萌えるだとか、メイド服だメガネだ……といった90年代に蓄積されたデータベースがあったればこそ、です。(残念ながら、FAガールでまだメガネは出てないようですが)「メカ少女」という二次創作から出発していることが、あらゆる嗜好や欲望を許容している。僕は、そのルーズさに未来を感じるんです。


18年前に提示された「データベース消費」に気がつくと、バンダイスピリッツさんがカスタマイズ前提の「30 MINUTES MISSIONS」を発売する意図も分かります。ハイスペックな主役機があり、それを中心に量産機があって……という80年代に流行ったサイドストーリー物に見切りをつけた、と読むことができます。だから、あらかじめすべて量産機であり、すべてがヴァージョン違いなのでしょう。
71m6eyoy80l_sl1500_
しかしながら、ワンポイントだけ塗ったり工作したり、ガンプラ的価値観も共存させていく。塗るのが間違いでもないし、素組みが正解でもない。ただ、ロボットにメカ少女的な嗜好は反映させづらいので、もしかするとノーベルガンダムやフェイ・イェンのような少女型ロボが出てからが面白いのではないか?
いずれにせよ、主役ロボットに対して量産機があるからリアルだ、などと化石のようなことはいつまでも言っていられない(笑)。

団塊ジュニア世代だけをターゲットにすれば、80年代回顧ビジネスはまだまだいけるでしょう。僕の世代のライターは、重宝すると思います。だけど、「儲かるからやる」ではなくて、「面白いからやる」方向へ行きたい。そのためには、自分の欲望に素直でなければ。

|

« ■0514■ | トップページ | ■0526■ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ■0514■ | トップページ | ■0526■ »