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2019年4月14日 (日)

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宇宙世紀的な設定やスペックに頼らない、明快な“ロボット活劇”としての「∀ガンダム」【懐かしアニメ回顧録第53回】

模型雑誌を見ていても「ガンダムの特集」となると、いきなりモビルスーツの形式番号や生産拠点、開発経緯の話になってしまうんですね。『∀ガンダム』は、宇宙世紀のタコツボから縁を切った作品であり、では代わりに何を見せ場にするの?と言ったら、このコラムで解説したような「作画枚数に頼らず、リピートや止め絵をカメラワークを主体に見せる」効率的な戦闘シーンだったのかも知れません。
放送当時、僕はまさしく「コレン、ガンダムと叫ぶ」から『∀』にハマったのですが、その理由は、敵・味方のロボ戦をオーソドックスに見せてくれたからじゃないのか?と思うのです。

ようするに「バカにも分かるように、明快にロボットの戦いを見せられる」、それだけが宇宙世紀モノで当時展開していた『第08MS小隊』、前年にOVAを再編集した映画まで公開された人気作『ガンダムW』にはない、『∀』だけの武器だったのです。でも、棍棒みたいな原始的な武器だったと思います。
その後、キャラクター・ビジネスとしてガンダムを返り咲かせたのは『ガンダムSEED』であり、『ガンダムUC』であったことは言うまでもありません。


上記のコラム記事からは、意図的に「ディアナ・カウンター」という名詞を省きました。ムーンレィスの中に、さらにディアナ・カウンターがある。分かりづらい。地球連邦軍の中にティターンズがあって、エゥーゴもあって、同じロボットを使っている。「ベスパのイエロージャケット」が敵組織の名前かと思ったら、ザンスカール帝国でしょ? この組織の入れ子構造、富野由悠季監督の悪い癖です。その悪い癖を「トミノらしい味わい」と感じてしまう僕たちも、本気で頭を冷やすべき頃合いではないでしょうか。

シド・ミードさんに(まったく新しいアニメ企画ではなく)ガンダムをデザインさせてしまったことにも、疑問があります。
プラモデル化するにはセールスポイントに乏しいし、手描き作画にも向いていない。最後に蝶の羽を生やすのであれば、安田朗さんの柔らかいキャラクターに肌合いのマッチした、シンプルなロボットにすべきだったと、今でも思っています。
小林亜星、西城秀樹、谷村新司……この主題歌チームも、どの世代に訴求力があったのか、僕にはサッパリです。どうも、ビックリさせる方向がバラバラで、商業作品としてのルックスが整わないまま、作品の文学性ばかり評価されてきたのが『∀』の不運ではないだろうか?
そこで今回は、ロボット(モビルスーツという造語もこの作品では上手く機能していない)の戦闘シーンだけに視点を絞って、コラムを書いてみたのです。


現時点の感想を言うと、『∀ガンダム』は誉められすぎで、僕も持ち上げすぎてきたと思っています。
Twitterでは「いいっすよね!」「僕も大好きです!」「懐かしいです!」「泣きました!」で、それ以上に話が進まない。「好きなものを批評する」ことに、僕らは慣れていない。ガンダム・ビジネスにはさほど貢献していない『∀』を「大好き」と言う自分に、酔ってしまっていないか、ちょっと点検してみた方が良さそうです。なぜパーフェクト・グレードで∀が出ないのか? ミードさんのデザインしたターンXやバンディットだけ、まったくの別ブランド、最高級の特別仕様でプラモデルを出せないのか? あちこちに突破口はあったのに突破できなかったのは、何故なのか? 

――こういうこと書くと、「バンダイや富野さんやガンダムの悪口を書いている廣田には、もう仕事を回すな」って言われかねない。そういう幼稚な力関係によって、また輪が閉じてしまうんですよ。課題を抱えた作品が「文句なしの傑作」なんて薄っぺらいレッテルを貼られて、僕らは考えるチャンスを奪われていく。「大好きです」「懐かしいです」と連呼するだけのバカになっていく。富野監督がそんな状況を望んでるんですかね? 僕らにはもっと考える力があり、その力は富野さんが与えてくれたんじゃなかったんですか?


ある仕事で、どうしても『仮面ライダージオウ』を見なくてはならなくなって、その尖ったセンスに腰を抜かしたんです。

「今の小学生って、こんな『マトリックス』を極彩色に染めたようなカッとんだ映像を毎週見てるの?」って。デザインだけではなく、CGや音響(声優の使い方も素晴らしい)も含めた変身シーンが、もうデジタル歌舞伎って感じ。『アベンジャーズ』が、クラシック映画に見えてしまう。
『ジオウ』の変身パターンを一気に見て、「これって『Gのレコンギスタ』のG-セルフ七変化でやれないのかな?」って、ちょっと空しいことを考えてしまって。今からでも、富野さんに進言したら?とさえ思いました。アニメのロボットが特撮ヒーローに勝つには、どうしたらいいんだろう?

あと、東映ヒーローって俳優たちの写真やインタビューを集めたムックまで出てるじゃないですか。お父さん・お母さんは、俳優たちにメロメロなわけで、全方位コンテンツですよね。これがキャラクター・ビジネスの最前線か! そうすると、声優をアイドル化して舞台にあげちゃった方が、ビジネスとしては正しいよね……と、得心がいく。「好き」と「正しい」は別なんですよ。少なくとも僕は、自分の「好き」を疑ってもいい歳です。そして、「好き」の逆は「嫌い」ではありません。もっと上の次元があるんですよ。

(C)2018 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

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