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2019年4月26日 (金)

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24日は、個人で毎月主催しているトークイベント【模型言論プラモデガタリ】第4回。公開から30年を迎える実写ロボット映画『ガンヘッド』、当時は記録的な不入り(と事実を書いただけで「あのライターには書かせるな」と仕事を取り上げられてしまうほど)だったのに、会場の阿佐ヶ谷ロフトAは立ち見が出るほどの大入りでした。
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(※写真は、取材に来ていたモデルグラフィックス編集部からお借りしました)
まず、河森正治さんの活動40周年を記念する河森正治EXPOの開催が来月に迫り、サテライトさん側からすれば、宣伝としての側面が期待できたこと。これは本当に偶然で、先方からしても願ってもない話だったはずです。河森EXPOがなければ、たぶん河森さんは登壇してくれなかった気がします。

河森さんからは、誰も書き手のいなかった『地球少女アルジュナ』DVDのブックレットで、「廣田というライターなら絶対に書いてくれるはず!」と指名されて以来の付き合いです。貧乏だった30代のはじめ頃、『アルジュナ』をテレビで見て感激して、ファンレターを書いたのがキッカケです。
それから「フィギュア王」で『創聖のアクエリオン』の連載を企画して、温泉まで旅して、CDドラマの脚本を書かされて……と、河森さんとのお付き合いも独特のものでした。だから今回、「廣田さんは進化した」と誉めてもらえて、感激もひとしおでした。


サテライトさんとあと、サンライズさん。サンライズさんが「廣田の個人主催のイベント」として見逃してくれていることも、非常に大きいです。

そして、現在はサンライズに籍を置いていない山田哲久プロデューサー(元・企画室長)に開催を伝えたところ、来場者プレゼント用のパンフレットとプレスシートを提供してもらえました。それは、20代のころから、山田さんとの付き合いがあったからこそですね。
20代だった僕に山田さんを紹介してくれたのが、後にサンライズの社長となる内田健二さん。内田さんの誘いで、僕はサンライズに籍を置くことになりますが、山田さんからはゲームの企画から声優から何から、ありとあらゆる仕事を振られました。怒鳴りあいのケンカもしたし、「お前、そんなに怒るなよお……」と、泣き笑いされこともあります。

山田さんが『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』の執筆依頼をしてきた時、僕は「他の細かい仕事がなくなるのではないか」とビビって断ってしまった。それ以来ですから、4年ぶりに連絡をとりました。


山田さんとのひさしぶりの会話は僕の秘密として胸にしまっておきますが、彼は「GO」という人間なんです。いまのアニメ業界は、「NO」とストップをかける人たちで溢れかえっています。

山田さんは映画は大好きだけど、アニメに執着はしない人です。そういう人がアニメ会社のプロデューサーとして、日本映画として企画したことが『ガンヘッド』のアイデンティティであり、また失敗の原因でもあったと思います。公表された山田さんの発言の中で、『ガンヘッド』を「挑戦的で危険な企画」と呼んでいたと思うけど、僕が『ガンヘッド』に強烈に引き寄せられるのはそこなんです。『ガンヘッド』をストップさせる理由なら、誰にでも思いつきます。どんな作品であれ、誰が監督であれ、企画を実現させてしまった事実は何よりも硬くて強い。
だから、「脚本がよくない」とか「演出が映像が」「CGでやれば」ってグチグチ言っている人たちは、まるで本質をついてない。作品が興行的に失敗したのは、僕がイベントで「キネマ旬報」を引用したとおり、明らかです。だけど、僕には、その敗れざますら愛らしい。失敗したことも含めて、敬意を表します。撮影はされたもののお蔵入りになる商業映画なんて、山ほどあります。「上映された、チケットを売った」という事実は、想像を絶する煩雑な手続きの結果なんです。

映画を試写室で見て面白かった、つまんなかった、ネタバレになる……とか無責任で気楽なことを書いている評論家たちは「企画が実現して、上映されたこと」なんて評価しないと思います。だから、いまの映画評論はダメなんです。だから、僕がイベントをやらないといけないんですよ。人を動かして、みんなの主体性で、会場を熱気に満たさないと。誰かが何かやるのを待ってちゃダメなんですよ。


もうひとつ言うと、今は自分の「好き」を疑わない人たちばかり。『機動戦士ガンダム』40周年で、はっきり分かった気がする。満たされすぎだね。
いい歳をして合体ロボットを考えたり、オモチャにして売ったりするのは、ぶっちゃけどうなんだ?と大人が真剣に悩んだ結果が『ガンダム』であって、最終話のタイトルが「脱出」なのに、いまや誰も「脱出」する気はないんだな……と、呆然としてます。別に、大人に向けてオモチャをつくったわけじゃないよ。
宇宙世紀の設定が、モビルスーツの全高が……といった枝葉だけが40年も愛好されて、『ガンダム』という破壊と逃避の“アクション”が受け継がれていない。富野由悠季さんが「お前ら、こんなレベルで満足してんの?」と苛立っていた理由が、いまの僕になら分かる気がする。富野さんは「真剣に焦った大人」であって、神でも御大でもねーよ。だけど、映画評論家ですら「『ガンダム』偉大だー」「タランティーノが、ギレルモがー」って愛好家レベルでしょ? 何かひとつ打ち壊せよ、突破しろよって思います。

富野さんが60歳になっても70歳になっても勉強をやめなかったのって、こういうことだったんだと気がついた。他の大人たちは、60歳にもなったら勉強をやめてしまうわけ。
いま、「好き」って感情だけで一生をやりすごしてしまえる時代だから、どうかすると30代でもう満ち足りている人がいる。本当に解かなくてはならない問題は、己の嗜好なんかとは別のところにあるんだよ。

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