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2019年2月13日 (水)

■0213■

リュック・ダルデンヌ、 ジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟の監督作を観よう!と決意して、まずは『ロゼッタ』。テレビが壊れたので、ノートPCで視聴。
1_fotor15いやはや、『ある子供』と同じ手持ちカメラでオールロケなんだけど、これはこれで痛恨の出来であった。凄い。
ロゼッタという少女が、キャンプ場でアル中気味の母親と極貧生活をしている。彼女は街頭のスタンドでワッフルを売っている青年に優しくされる。ところが、ロゼッタは青年のお節介がうっとおしい。そんなことより、自分の仕事を探したいわけだ。

まあ、例によって何てことないプロットだ。
ロゼッタはキャンプ場近くの池で、魚を密猟している。しかし、バイクの音に怯えて、魚を放してしまう。バイクに乗っていたのは、あの優しい青年だった。青年は「俺が魚を捕ってやるよ」と手を伸ばすが、池に落ちてしまう。
Rosetta1ロゼッタは、その場を逃げ出す。ロゼッタの顔のアップに、青年の悲鳴が重なる。
ようするにこの映画、手持ちなのでワンカットの情報が少ない。すべてを見渡せるわけではないので、それが怖い。セリフも少ない。
ロゼッタは青年を助け上げたものの、青年が去るとき、バイクの音がとてもイヤな感じに聞こえ、後々、それが効いてくる。


さて、青年には秘密があって、ワッフルを自分の焼き台で焼いて、その売り上げは自分のポケットに入れている。ロゼッタは仕事がほしいあまり、店のオーナーに、青年の詐欺をチクってしまう。
店のオーナーとロゼッタが、青年の働く店内へ乗り込む。裏切られたと知った青年は、ロゼッタを睨んでいる。オーナーは激怒して青年を店から追い出し、彼から剥ぎとったエプロンを、ロゼッタに渡して、「お前がつけろ」。
このワンカットで、取り返しのつかないことが起きた、と分からせる。感情なんかより先に、状況と段取りだけが投げ出されている。ワンカットの威力。

それから、青年はロゼッタにつきまとう。無言で、バイクで行く手をふさいだりする。
で、カメラはロゼッタのアップでしょ? バイクの音は画面外から聞こえてくる。「ああ、またアイツが来た」と、観ているこっちも嫌な予感がする。この、端的な音の演出。


バイク音は、ラストシーンでも使われる。重たいガスボンベを運んでいるロゼッタ。背後から、バイク音。ロゼッタはボンベを地面に投げ出して、泣きはじめる。青年が、助け起こす。そこでバツン、と映画は終わる。
6a0168ea36d6b2970c017ee5b72460970d6このカット、予告でも使われている。ネタバレ何のその、という時代である。ガスボンベは、青年の仕事を奪ったロゼッタの罪悪感の象徴だったのかも知れないが、そんな文芸的解釈よりも、僕は絵に対して音がどれだけ威圧効果をもたらすか、そこが面白かった。感動した、と言ってもいい。

いま流行っている映画を観にいくのは、やっぱりSNSで感想を言うためじゃない? そういう映画鑑賞には「相手」がいる。でも、自分だけの興味で、自分ぐらいしか観ないであろう映画をレンタルで観るのは「相手」がいない。自分と向き合うようなところがある。
僕は基本的に、映画と一対一でいたい。順位も点数もつけたくない。

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