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「ボトムズ」「ダンバイン」「SDガンダム」……バンダイの“ガシャプラ”シリーズが受け継ぐプラモデル本来の楽しさとは?【ホビー業界インサイド第43回】(■)
先日、阿佐ヶ谷ロフトのイベントでガシャプラのテストショットをお見せできたのは、こうした取材活動の結果なのでした。
はじめからご縁があったわけでも、コネがあったわけでもなく、こちらからインタビューさせて欲しいとお願いして、「まあコイツなら信用してもいいかな」と思っていただけたのでしょう。
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昨夜は、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『マイマイ新子と千年の魔法』のアンコール上映。
10年前と同じく、夜のチケットを買うために、朝から並ぶ。午前10時前にラピュタに着くと、『マイマイ新子』に資料協力として参加して、以降は普通のファンでいらっしゃるⅠさんが声をかけてくださった。
上映後に再会したⅠさんが「ちょっと飲んでいきましょうよ」と言うので、夜の阿佐ヶ谷の街に引き返したら、「あれ~、どうしたの?」とスタジオへ帰る途中の片渕須直監督に出くわしたりして、そういえば舞台挨拶で司会の山本和宏さんが「あるライターの方が署名を始めまして……」と口にした途端、監督が僕の方を見て「ははは!」と笑ったので、つくづく緩い、ストレスのない夜だった。
山本さんには『この世界の片隅に』のイベントでもちょくちょくお会いしているので、「今日は、山本さんにとっての十年でもありますよ」と、上映前のロビーで肩を叩いた。
「新子も貴伊子も、歳をとらないんですねえ(だから今見ても新鮮なんだ)」と言ったのは、誰だっただろう? とにかく、にぎやかな夜だった。
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先日も書いたように、僕は映画館でアニメを観るとき、緊張して猛烈に発汗してしまう。『新子』のときは、なぜか発汗した記憶がない。
特に昨夜は、落ち着いた心境で見られた。
多々良権周防介が初めて登場するカットで、ついさっきまで新子の空想だったはずなのに、すでにもう一本のストーリーが新たに並走していることに気がついて「えっ、これはカッコいい演出だ!」と驚くのは、試写室で見て以来、何十回見ても変わらない。
「千年前」と言いながら、常に「現在」とカットバックさせて、どちらが未来とも過去とも決めつけず、ラストカットはなんと「現代」のふたりから、「過去」のふたりに草笛が受け継がれるところで終わる。「過去」を過ぎ去ったもの、終わったものとして描いていない。
いわば、とこしえの未来だけが躍動しつづけている。死を乗り越えるのではなく、死を巨大な生命の中へと包含してしまう。
貴伊子が諾子の姿となって千年前の世界へ行くのは、かなり突拍子もないアイデアだ。
しかし、ひとつの巨大な「生命」が貴伊子の姿で現れたり、諾子の姿となって現れたりしているにすぎないのではないか? だから、絶望する必要がないのではないだろうか?
新子が夜道で金魚を見つけた直後、なぜか貴伊子が「私、見つけたよ」と言う。ようするに、僕たちみんなが「生命」という媒質によって繋がっていて、互いに同じものであって、それはもちろん死によって分断できる性質のものではない、と。
晴美さんは死んでしまったけど、原爆から生き残った子が北條家の一員となって終わる『この世界の片隅に』のラストは、ひづるという個体が死んでも、赤い金魚が見つかる『マイマイ新子』にそっくり。それはきっと、2人の作家の信じている世界観が似ているということなのだろう。
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じゃあ、どうして同じセルアニメ、同じく女子同士の友情を描いた『リズと青い鳥』はしんどいのか?という、先日の話に戻る。
やっぱり、「目を小さくして頭身を高くしましたよ、これなら見られるでしょ?」と言わんばかりのキャラクターデザインが“結界”なんだと思う。その結界の内部に入れれば気持ちいいんだろうけど、僕は弾かれてしまった。単に、好悪の問題なのかも知れない。
「もともとは目の大きなアニメ特有のキャラなんだけど、あえて目を小さくする」試みは、いうなれば、社会にコンセンサスを求めている。そのキャラクターデザインの想定する「社会」は、本当は萌えキャラなんて容認してくれない頑固な大人たちの世界なんだよね? だからコンセンサスを求める必要があるんだよね?
好感度なんて気にしないで、ひたすら表現欲に徹した映画なら、こちらも我を忘れて見入ることが出来る。『若おかみは小学生!』だって目はでっかいんだけど、表現として受け取れたからね。
(C)高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会
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コメント
こんにちは
かなり以前に「ガンヘッド」の記事にコメントさせていただいた者です。(まだデータベースは完成してません…すみません)
「プラモデガタリ」は盛況だったようで、おめでとうございます。WebやTwitterで概要を拝見しましたが、思わず旧キットを購入したくなりました。近場ならぜひお邪魔したかった所ですが、何せ当方北の果て在住なもので…。
DVDか配信か、何らかの形でソフトウェア化していただけないものかなあなどと夢想しております。とは言えご負担になるのも本意ではないので、そんな事を思う者もいる程度にご記憶いただければ幸甚です。
投稿: Inα | 2019年1月16日 (水) 14時14分
■Inα様
そろそろ、ご連絡したいと思っていたところです。なぜなら、「プラモデガタリ」の4月開催分が『ガンヘッド』生誕30周年記念だからです。
原田眞人監督に出演オファーしたところなのですが、ガンヘッドの英語台詞は一部でもいいので解き明かしたいと考えておりました。
>DVDか配信か、何らかの形でソフトウェア化していただけないものかなあなどと夢想しております。
もともと、「オーラバトラーの旧キット検証」は模型誌に持ち込んだものの、なかなか実現していない企画なのです。今後、模型誌に掲載される可能性はあります。イベントは録音だけはしてあるので、それをUPするだけなら難しくはないのですがスライドが出ないと、何でお客さんが笑っているのか分からない……かもですねえ。
投稿: 廣田恵介 | 2019年1月16日 (水) 18時23分
返信が遅れましてすみません。
4月開催分がガンヘッドなのですね。
当方は現在色々立て込んでおりますので確約はしかねますが、少し作業を急いでみたいと思います。進展がありましたらご連絡差し上げたく思います。
投稿: Inα | 2019年1月28日 (月) 14時28分
■Inα様
お返事ありがとうございます。
もちろん、本業優先でお願いいたします。
投稿: 廣田恵介 | 2019年1月28日 (月) 17時56分