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2018年12月 9日 (日)

■1209■

レンタルで『ゴッドファーザー』。こういう名画は若いころに観て、浅い理解で分かった気になってしまう。この歳になってから観たほうが、よっぽど価値が分かる。20年ぶりぐらいに観て、ファースト・カットに魂をつかまれた。
Gf1娘を陵辱された無念を切々と語るサルヴァトーレ・コルシットのバストショットから、カメラがゆっくりトラックバックしていく。画面左側に、マーロン・ブランドの顔と手がインするが、ピントはサルヴァトーレ・コルシットに合ったままだ。ひとりの男にフォーカスしながら、フレーム外の情報を少しずつ織り交ぜていく。マーロン・ブランドが画面外の人物と会話しているのも、情報を拡散して、現場感を高める。

父親が撃たれたことを報じる新聞を、アル・パチーノが呆然と見つめている。通行人がたまたま、彼の背中に当たって、新聞がクシャッとなる。そのクシャクシャになった新聞はもちろん、千々に乱れる息子の心情を表現している。無声映画的と言ってもいいほど古典的な演出だが、手堅い。古びない。
いま、『ワイルドスピード』シリーズのアクション・シーンを抜粋した動画を見ていたけど、これだって構図やカットワークの段取りは教本どおりにやっている。アクションが過激になることと映画の進歩とは、いささかの関連もないのだ。


俺は、また旅に出ようとしている。どういう約束事なのか忘れてしまったが、列車のボックス席には、旅の道連れになる見知らぬ女性が笑顔で座っている。俺は「よろしく」と言おうかどうしようか迷い、とりあえずビールを買うために、席を立った。
この列車には食堂車ばかりか、ビリヤードが遊べる車両もあり、そこのカウンターでビールを売っているかも知れない。だが、ビールを買って席に戻ったら、あの女性に軽蔑されないか気になって、買いそびれてしまう。
席は確か、51番だと思ったので、とりあえず席に戻ろうとする。だが、すっかり迷子になってしまった。電光掲示板が見えるので、まだ停車中の列車の外に出てしまったようだ。そもそも、俺が乗っていたのは列車だったのだろうか? 飛行機ではなかったのか?
だとしたら、早く飛行機の中に戻らなくてはならない。荷物は席に置いてきたので、飛行機が飛び立ってしまったら、もう終わりだ。
人々が歩く方向へ向かって小走りになるが、靴のサイズが合わないため早く走れず、俺は焦りはじめる。

今朝見た夢はもう1本、仲間同士で殺しあうようなドラマチックな夢も見た。
だけど、どちらも旅が関連している。
今でも、ジンバブエで出会った男たちの顔を思い出す。彼らは絶対にボッたくることをせず、多めにお金を払うと「……えっ、こんなに?」と驚く。それが僕の好意だと分かると、しみじみと「ありがたい、もらっておきます」という目をする。あんな綺麗な目があるだろうか。
心の美しさだけは、お金では買えない。努力して手に入るものでもない。


そういえば、『アフリカの輪郭 下: 黒人アフリカ深部の日本人記者によるデッサン』という本を読んだ。90年代末、冷戦構造が終了したアフリカ各国を襲った悪夢のような事態を、特派員記者の目から直接取材している。
ジンバブエでどうして経済が停滞し、人々が無気力で状況に従順なのか、ぼんやりと分かったような気がする。黒人主権国家として独立したことは、国民の心情的には良かった。だけど、国を回していくのは心情だけではダメだ。知識や技術や情報が要る。

“「政府のように強大な権力」というのも実は幻想…というところもあって、本来は私たちが主権者で、政府に権限を預けて働かせているというのが本来の関係なんだけど。この認識がもっと行き渡れば世の中変わっていくんじゃ…と思っています。”

市役所やNHKが「こちらに権利があって、従うのはお前らだ」と言わんばかりの傲慢な態度をとってくる。三鷹市役所の納税課には、滞納した場合に車のタイヤにかけるロックが、脅迫するかのように置いてある。税金は、市民を脅して納めさせるものなのだろうか?
「あなたのライターという仕事は、納税できないようなら辞めていただく」と、三鷹市役所の偉い人は言った。「職業選択の義務は一応はあるが……あなたの歳なら、介護師か警備員か清掃員、この三つです。介護は特殊な仕事だし、警備員は体力を使うから、清掃はどうですか?」 これは3~4年前、僕が目の前で言われたこと。僕は、納税するための家畜なのか?

(C)1972 Paramount Pictures

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