■ジンバブエ旅行記-1■
GOODS PRESS(グッズプレス) 2018年 12 月号 発売中80年代アニメのプラモデル特集記事を、全5ページ書きました。ウェーブの『装甲騎兵ボトムズ』開発チーム、大河原邦男先生へのインタビューを含みます。
スーパーミニプラ、ガシャプラ、マクロスモデラーズ、他にもグッドスマイルカンパニーから『六神合体ゴッドマーズ』のプラモデルも発売されました。こんなに豊富なネタがあるのに、「80年代ロボ」の「プラモデル」という括りで見られたことは、なぜか一度もありませんでした。
あちこちに企画を持っていくうち、「大河原メカ」という一本のラインがグッズプレス編集部から出されて、5ページの記事にまとまりました。
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11/1(木)~11/10(日)まで、アフリカのジンバブエまで旅行してきた。ハイパーインフレとコレラの国、最新ニュースはクーデターである。
最初に、いかにも観光地っぽいビクトリア・フォールズ近辺の写真を載せておこう。ここまではガイドブックにも載っているし、飛行機でビクトリアの滝まで来て、Uターンして帰る人も多いと思う。
象の背中に乗って草原をグルリと歩いてまわったり、ワニの赤ん坊に触れるのも、ビクトリア・フォールズの町でツアー会社やタクシーに相談すれば、誰でも出来る。
過去の僕の旅は、すべてガイドブックのページをたどって歩くようなものだった。
今回のジンバブエは、ちょうど一年前にクーデターが起きた国だ。外務省からレベル1に指定されているほど、犯罪が多いそうだ。
ハイパーインフレ後に米ドルが使えるようになったが、調べれば調べるほど交通の便が悪い。僕は北京とヨハネスブルグを経由して2日がかりで行ったが、ジンバブエ国内の移動は飛行機と長距離バスを、旅行の直前になってネットで予約した。夜遅くホテルに着いて、翌朝暗いうちに出発して、移動だけで終わる日が大半になってしまった。
また、首都ハラレでコレラが流行、9月に緊急事態宣言が出されたばかりだ。水道水が飲めないのはもちろん、歯磨きの水すら自分でミネラルウォーターを確保せねばならないのも面倒だった。
■11/2-1 ビール
なんとなく、大きな滝と石造遺跡があるなら行ってもいいかな……ぐらいに思っていた。英語も通じるし、ドルが使えるし、昼間からビールを飲んでも怒られないし。
ヨハネスブルグ(南アフリカ)からジンバブエへは、小さな飛行機で入国した。二時間ほどのフライトで、夕暮れの雲上の風景は素晴らしいものだった。
機内ではハンバーガーがひとつ出て、飲み物が選べたのでビールを頼んだ。すると、一見すると強面のCAさんが、食後にもビールをくれた(他の人にはコーヒーか紅茶か聞いていたのに、「あなたはビールでいいわよね」と)。
飛行機を降りる時、ドアが開くまではムスッとした顔だったのに、降りてもOKになった途端、グッと親指を立てた。そのCAさんの表情と仕草のギャップが、実はジンバブエの第一印象であり、ジンバブエの女性たちは最後の最後まで、それぞれ個性的な言動で、僕を強烈に魅了しつづけた。
■11/2-2 ハラレ空港
いきなり大きく話が飛躍してしまったが、11/1~2は北京からヨハネスブルグへの移動だけでつぶれてしまう。
最終目的地のビクトリア・フォールズには二泊する予定で、その前後は首都ハラレ、第二の都市ブラワヨに一泊ずつする。ハラレの街はタクシーで通過しただけだが、到着したのが夜だったため、空港の雰囲気からしてヤバいのが分かった。
これは確かに、治安が悪そう。必死にタクシーを探した。
写真がブレているのは、まず天井の電灯が半分ほど切れかけていて、やけに暗いせい。それと、とにかくその場を脱出したかったので、あわてていたためだ。
■11/2-3 『ブルーベルベット』
ところが、空港専属のタクシーが市街へ走り出すと、外は暗闇である。とにかく街灯がない。時折、暗闇の中に人影が浮かび上がる。犯罪や交通事故が多発するのも、道理である。タクシーの運転手と、その相棒は陽気に雑談しているが、車外では雷が光っている。
これは、とんでもない国に来てしまった。この衝撃的な印象は、旅の後半にかけて、少しずつ、劇的に変化していく。
さて、予約してあったホテルの一階には大きなネオンサインがあって、クラブのような音楽が階上まで響いていた。古いホテルの周囲は真っ暗で、とても食事に出られる雰囲気ではない。
仕方なく、ホテルの一階にある陰気なレストランで、夕食をとった。バイキング形式で、食べた分だけ、レセプションで料金を払う。
客は僕のほかには、老夫婦が一組だけ。ガランとしている。
レストランの隣にバーが併設されているのだが、とても近づく気にはなれない。『ブルーベルベット』かヴィスコンティの映画のような陰気なムードなのだ。シラフのまま、はやばやと寝てしまった。旅先で酒をのまずに寝たのは、おそらく初めてだろう。
そういえば、レセプションは女性たちが仕切っていて、無愛想というわけではないが、あまり熱心に仕事しているように見えず、レストランのボーイたちの陰鬱な表情だけをよく覚えている。
■11/3-1 ハラレ→ブラワヨ
朝5時にタクシーに来てもらうよう、前夜にお願いしてあった。空港~ホテル間は30ドルだったと思う。カードは使えないので、タクシーは現金払いだ。しかし、現金をまとめて持ち歩くのは怖いので、前夜に三つに分割しておいた。いつ盗まれてもいいように……。
ハラレ市街をタクシーで通過する。なんとなく、ヤバい雰囲気が分かってもらえるかと思う。
空港は、割とカッコいい建物であった。しかし、僕が使うのは国内便なので、もうひとつの地味な建物へ移動する。
手荷物検査があるのだが、係の女性に「私のこと、おぼえてます?」と声をかけられた。その瞬間から、旅のムードは一変する。
(つづく)
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