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2018年10月18日 (木)

■再び広島・呉へ-2■

からのつづき)
呉港に着くと、今回は大和ミュージアムには寄らず、灰ヶ峰の頂上へはタクシーで行くのがベストかどうか、観光プラザで確認する。やはり、素人が徒歩で登るのは無理のようだ。タクシーで片道3000~4000円ぐらいだという。
Kimg2352本当はお名前を書きたいが、たまたま駅前に停まっていた個人タクシーの運転手さんが、とても良い方だった。お父さんが海軍に勤めていて、出征して小倉の病院で亡くなったそうなので、70代後半だろうか。
灰ヶ峰の頂上へ行って、また戻ってきてほしいと言うと、いくつかルートがあるという。「長ノ木」という言葉が聞こえたので、「じゃあ、長ノ木を通るルートで」とお願いした。すずさんの嫁いだ北條家は、長ノ木の尾根にある設定だ。しかし、辰川バス停から先は民家ばかりなので、観光目的で立ち入らないよう、片渕須直監督も公言している。タクシーで通過するのが、ギリギリではないだろうか。

写真を撮る余裕はなかったが、坂道にかけて、古い立派な家がひしめいていた。段々畑も、ちょっとだけ見えた。ある程度まではバスが登ってきているが、それは県道で、頂上への道は呉市の道路なのだそうだ。


駅前から40分ぐらいだろうか、うねうねした細い道を縫うように走って、タクシーは灰ヶ峰の頂上についた。
Kimg2356運転手さんは小さな駐車場にタクシーを停めて、展望台で景色を見ながら、長いこと説明してくれた。『この世界の片隅に』のあらすじも解説してくれたので、僕は知らないふりをして聞いた。ともあれ、ここに劇中にも出てきた高射砲が据えられていたわけだ。

運転手さんからは、実にいろいろな話を聞いた。戦時中までは、軍関係者の家族ら、とても多くの人が住んでいて、広島市に負けないぐらい栄えていたという。今は7月の豪雨の影響もあって、観光客が激減して困っているそうだ。
この方を信用できると思ったのは、僕が勝手に展望台に散らばっている飲み物の空き缶やペットボトルを拾い集めていると、黙って助手席に運び、「私が捨てておきます」と笑ってくれたところ。呉駅ではなくて、辰川のバス停で降りたいというと、まだ目的地ではないのに、メーターを倒してくれた。
Kimg2370 (辰川のバス停には、別のタクシーが客待ちをしていたので、ここまでバスで来てタクシーで頂上まで上がれば、かなり安いのではないだろうか。僕の場合、呉駅~灰ヶ峰~辰川バス停までで計7650円だった。)
しかし、くれぐれも辰川バス停より先へは立ち入らないほうが良いと思う。僕は呉駅へ歩いて降りるつもりだったが、ちょっとした出来心で、9月にも行った三ツ蔵(澤原邸)まで歩いた。


辰川バス停から、電気屋と酒屋のある一本道を降りていくと、交番がある。さらに駅方面へ歩くと「万惣」というスーパーがあり、三ツ蔵はすぐそこだ。先月、近くのバス停から歩いたときは迷ったものだが、今回はすんなり行けた。
Kimg2383円太郎が海軍病院に入院したと聞いた径子お姉さんは、北條家から三ツ蔵前を通過して、線路の向こう側にある病院へ急ぐ。そのカットはオーバーラップして夜になり、径子はトボトボと歩いて帰ってくる。
つまり、あのカットには時間が圧縮されているだけでなく、距離も圧縮されている。どれぐらいの距離がワンカットに込められているのか、現地を知らないと推し量ることはできない。なので、ピンポイントに巡るのではなく、実際に径子お姉さんの通ったはずのルートを、歩いてみようというわけだ。

途中、トイレを借りに市役所に寄ったものの、30分ほどで海軍病院(現・国立病院機構 呉医療センター)に着いてしまった。しかし、辰川バス停より先に北條家があったとすると、トータルで、片道一時間ぐらい歩いたのではないだろうか。当時は路面電車が走っていたそうだから、それなら30分ぐらいだろうか。
Kimg2405駅南側のホテルに荷物を置いてから、午後は映画のラスト近くに出てくる中通や、原作ですずさんとリンさんが花見で出会う二河公園へ歩いてみた。すると、何なとなく町のスケール感が足裏から伝わってくるような気がした。

僕は『この世界の片隅に』の登場人物の心の中には、依然として踏み込むことができない。だけど、監督が世界をどう捉えたかったのか、その片鱗ぐらいは垣間見えたような気がした。
歴史と個人が交差する短い時間を、場所と場所を往来することで表現しようという卓越したアイデアに、ようやく気がつくことができたように思う。

僕は旅先では、二杯ぐらいで酔ってしまうのでハシゴ酒はできないのだが、呉には個性的でおっとりした雰囲気の居酒屋が多いような気がした。夕方になると、ぽつぽつと観光客が飲みに出てきて、ちょっと寂しい呉の町が、少しだけ賑やかになる。

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