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ホビージャパンエクストラの発売から一週間近くが経過して、近所の書店に見かけないの
でガッカリしていたのだが、巻末の「模型酒場」に『フレームアームズ・ガール』の声優さんが登場している効果で、そっち方面のアニメファン、模型ファンに売れているようだ。
僕がノリノリでプラモの写真を撮ってもらっているとき、担当編集の伊藤さんは「(撮影のための)居酒屋を予約してます」と苦笑しながらスマホをいじっていた。
でも、後半を撮影特集にして密度をあげたのも彼だし、表紙の『Dr.スランプ アラレちゃん』のプラキットの写真が集英社からNGをくらったとき、モデルの美環さんを起用したのも彼で、やっぱりプロの編集者の直感に救われていると思う。
美環さんのTwitterのフォロワーは2万6千人だ。単純に、美環さんを表紙にしただけで、彼らがターゲットに入ってくる。そういう計算が編集部にあったから、「無塗装・素組みのプラモデルのグラビア」を50ページもやらせてもらえたのだと思う。
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『Dr.スランプ アラレちゃん』の表紙は厳密にいうと、編集部が東映アニメーションから「難しいと思います」と返答され(僕は必要ないと思っていたのだが、これまた伊藤さんが機転をきかせて東映アニメーション作品についてだけは許諾が必要か確認していた)、僕は納得がいかずに集英社の版権管理部門に電話した。
結果はご覧のとおりだが、BANDAI SPIRITS ホビー事業部が自社製品についてどう対処していたのかは聞いていない。僕の勇み足で企画担当者をぬかよろごひさせてしまったので、お詫びのメールをしたら、きちっと返事があった。本が出てから、ホビー事業部さんから僕個人に連絡はない。
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版権元との交渉事あれこれは、地元の商業ビル「三鷹コラル」での展示でも経験している。9月にも、ちょっと意外なアニメーションのパネル展示がある。
制作会社さんは、キャラデや美術監督のご遺族から「まさか」と思うような貴重な画稿を借りてきて、丁寧にスキャンしてくださった。(C)は一社だけなので版権上の煩雑さはなく、あとは僕が演出を担当した監督のところにインタビューに行って、デザイン会社にどのくらいの大きさのパネルを何枚つくれるか相談して……と、実務がつづく。
インタビューの中身も大事だし、自分で原稿を起こして関係者のチェックに出さねばならないが、実は監督のインタビューがとれた時点で仕事の9割は終わっている。書くのは最後の最後なので、もう僕の仕事は「ライター」ではない。
三鷹コラルの書店さんに企画意図を説明して、物販をやりやすい状況をつくるなんて仕事もあるし、もっと言うと、パネル展全体の見積もり書も僕が書いている。テキストを書くより前に、「場所を成り立たせる」ための雑事があって、それがいちいち面白い。
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逆に、旧来型のインタビューだけやって、原稿だけやりとりする仕事の方が、滞りやすい。原稿チェックでひっかかると、そこで終わりだ。
「Jウイング」誌の『ひそねとまそたん』の記事は、編集長と企画の方向性だけ話し合って決めて、僕の原稿がOKでもNGでもなく、デザインしながら要素を足したり引いたりしている。あまりに好き勝手に進めているせいか、版権元からのリテイクはほとんどない。大胆なことをやればやるほど、リテイクは減っていく。
そして実は、『ひそまそ』でなくとも、アニメでなくとも、そのページは成り立つ。誰に何を提案するかがキモであって、一文字ぐらいどう直されようが気にする必要はない。
ライター仕事だけ請け負っていると、ちょっとしたリテイクが致命的なダメージになる。ライターだけやって、依頼が来るのを待っているだけの人はストレスがたまるし、大変だろうと思う。
ストレスを減らそうと努めた結果、今のように企画ごと提案するスタイルにたどり着けた。アイデアは無限にあるし、場所がなければつくればいい(三鷹コラルがそれに近いが、路上で見せる手だってある)。見せるための場所をつくること自体、仕事になる。それに気がつけて、本当に良かった。
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