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J Wings 2018年7月号 本日発売
『ひそねとまそたん』樋口真嗣総監督インタビュー
カラー見開きで樋口さんのインタビューをメインに、作品紹介、キャラクター紹介などを構成しました。
「なぜ、ミリタリー専門誌にアニメの記事が?」「どうせ、プレスリリースをメーカーが送って、編集部が穴埋めに使ったんだろ?」 いえ、ぜんぜん違います。
『ひそまそ』というアニメには自衛隊の戦闘機が出てくるので、だったら国内の戦闘機を専門的に扱った雑誌でアピールすれば? っていうか、どうしてそれをやらないの? と言い出したのは、航空機メーカーに勤める私の旧友なのです。
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その友人には具体的なメリットはひとつもないのに、イカロス出版さんに連絡をとってくれて、「Jウィング」「MC☆アクシズ」、両誌の編集長、営業担当の方も出席して、とりあえず『ひそまそ』で何か出来ないか?というブレストを行いました。
その場で、Jウィングさんが「掲載するとしたら、テレビアニメとは縁のないウチがやるべきでは」と判断し、とりあえずモノクロ半ページ。そのスペースで何が出来るか、誰ならインタビューがとれそうか、僕もすべてのカードを出しました。それと、締め切りまで10日しかありません。当然、自分のスケジュールも織り込んでアイデアを出します。
その夜、Jウィング編集長さんが、ダメモトで社長に直談判。モノクロ半ページが、カラー2ページになりました。
即座にワーナー・ブラザースさんの広報に連絡をとりますが、何しろゴールデンウィークのまっただ中。最初は「あまりにも日数がないので、期待しないでほしい」との返答でした。この時点で、最初に想定していたインタビューイは、NGとなりました。
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そこで誰も「もう無理だ、やめよう」と言い出さなかったのが不思議で、僕はワーナーさんに「せっかく門外漢の雑誌がカラー2ページも空けてくれるのに、もったいないですよ」と話した記憶があります。
するとワーナーさんもさるもので、ほぼ夜中近くに携帯が鳴り、「明日なら、樋口総監督が動けるそうです」と言うじゃないですか。こちらは今すぐにでも出かけられる体勢でしたから、即座にJウィングさんにも連絡して、とりあえず取材場所は市ヶ谷駅前の喫茶店に決めて、監督、ワーナーさん、私、編集長の4人が集まることになりました。
樋口監督には、『ギャラクティカ』のトークイベントなどは取材しましたが、顔を合わせるのはフィギュア王のインタビューで、『日本沈没』の撮影現場にお邪魔して以来です。
だけど、Facebookで「どこも『ひそまそ』を取り上げないなら、僕が絶対にどこかでページとりますよ」と監督に約束したんです。いま思い出した。その約束は守れました。
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インタビューは一時間ぐらいで無事に終わって、僕はモデルグラフィックス誌でも『ひそまそ』を取り上げたいので、そのまま航空自衛隊にぶっつけで取材に行こうと思い、防衛省に向けて歩き出しました。Jウィングの編集長さんは、空自の広報室の電話番号を暗記していたので、その場で電話して、とりあえずその日の取材はNGとなりました。
「しまった、樋口監督にサインをもらうのを忘れた……!」と、編集長が言います。読者プレゼント用のサインです。あわててワーナーの担当さんに電話しましたが、つながりません。もうバラして電車に乗っちゃったんだなあ、とガックリしていたら、「あれあれ、あの歩いてくる人って樋口監督ですよねえ?」と編集長が指差すんです。さっきの喫茶店とはぜんぜん別方向なのに (何しろ僕たちは防衛省に向かって歩いていましたから)、樋口監督も「あれ? どうして俺がこっちに来るって知ってたの?」と驚いています。どうも、その近辺に自衛隊グッズのお店があって、監督はそこに寄りたかったようです。
「いえ、実はサインをお願いしたいのですが」「いいよ」ということになり、近くの神社でサインをいただきました。「この神社って、品川くんから逃げてきた人たちを撮るのに使った所だよ」「えっ?」「品川神社が使えなかったから、ここで撮ったの。それで、さっきのお店を見つけたわけ」という、『シン・ゴジラ』つながりのオチでした。
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帰宅して、その日の夕方ぐらいに原稿をアップしました。ラフも切って、画像と一緒に編集部に渡しました。その時点で、校了日まで4日ぐらいだったので、そういうときは通常の3倍で書きます。もちろん、クオリティを落とさず。内容は自信あります。絶対に面白い。
今回の仕事は、「想定外だけどパーフェクト」。最初に話を持ってきた友人はもちろん、関係者全員の即断即決で出来た仕事です。いま、三鷹コラルで開催されている『この世界の片隅に』資料展もそうですが、「アニメなんだからアニメに興味ありそうな人たちの方だけ向いてればいい」では閉塞するだけです。横や斜めに広げないと、面白くなりません。
アニメにまったく興味のなかったJウィングさんは、次号も『ひそまそ』やりたいと言うので、今日の午後、打ち合わせです。
チャップリンの『モダン・タイムス』を観たので、台湾のドラマー、羅小白さんのパフォーマンスと絡めて書きたかったのですが、それはまた機会があれば。
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