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2018年5月 9日 (水)

■0509■

レンタルで、『タクシードライバー』。
Mv5bmtkxndc0nzq1ml5bml5banbnxkftztg「これは20代のとき、確実に観たぞ。最後に包帯の中に隠した銃を撃って、発砲の余熱で包帯が燃えるんだよな」と思っていたら、どうやらぜんぜん別の映画だったらしい。
なので、ジョディ・フォスターの登場シーン含めて、ほぼまったく記憶になかった。銃を仕込んだギブスを組み立てるシーンぐらいしか覚えていなかった。

で、この映画に対するリスペクトをいくつかの漫画で読んできて、「なるほど、魅力的なセリフやシチュエーションがいっぱいだし、確かにハマるわけだな」と理解はできた。だけど、マーティン・スコセッシは映画の機能には興味がないと思った。被写体が何をするか、何をしゃべるか、そこしか興味がない。


スーパーマーケットが強盗に襲われる。そのシーンは主人公をカメラに収めていて、強盗と店主のやりとりは画面外から聞こえている。主人公は、ゆっくりとレジのほうへ歩き出す。と同時に、カメラもドリー移動をはじめる。
しかし、主人公の姿は、商品の並んだ棚の後ろに隠れてしまう。それでも構わず、カメラはドリー移動をつづけて、ついにフレーム内に強盗が大きくインする。ほぼ同時に棚の後ろから、主人公があらわれると、彼は右手を腰に回している。サッと銃を抜いた主人公は、見事な手さばきで強盗を撃ち殺す。
この長い移動ショットでは、主人公が銃に手をやる仕草を商品棚で隠している。銃に手をやるアップなんか入れるより、単純なドリー移動のほうが主人公の機械的で冷徹な動作が強調されるじゃん。「映画の機能」って、そういうことです。その「機能」にはスコセッシ、あまり興味はなさそうだ。


明日から静岡ホビーショーで、本日中に模型誌の原稿を終わらせて、ゆっくり初日に行くつもりだった。だけど、奇跡的に取材がとれてしまったので、11日(金)に行くことになった。
それまでに解決しないといけない問題も、いくつか抱えている。

昨日は、中国を拠点にしているフィギュア会社の方に取材してきた。どこの誰も「あの人に聞けよ」なんて教えてくれないから、こういうのは自分で情報を集めて、直感で行くしかない。
そうしたら大当たりで、もう大変な話になっちゃった。かぶりつくように「えっ、それで生活はみんなどうしてるんですか?」「じゃあ、中国におけるフィギュアの社会的価値って?」と、矢継ぎ早に質問を浴びせて、ひとつ残らず予想を上回る答えが返ってきた。
本当はぜんぶ投げ出して、今すぐ原稿化したいぐらい。もう、正気でいられない。単なるプラモ小僧ではなく、ガレージキットの初期に業界に片足をつっこませてもらっていて、本当に良かった。


その中国のフィギュア市場の話って、Twitterでよく見かける「これからの日本のプラモ、どうなる?」問題ともリンクしていて。ついつい、その取材相手にも「今の日本って、安くて小さくて短時間で組めるプラモが増えてますよね」と、話をふってしまった。
僕は幸いにも、スーパーミニプラとガシャプラの開発者、さらに言うと35ガチャーネンを企画した宮脇修一さん()にもインタビューできましたからね。ある程度は根拠のある話を持っているわけです。
で、それら単品であれば千円以下で買えるプラモデルが、万単位の数、売れている。スーパーミニプラの発案者である田中宏明さん()も、明らかに「買いやすさ」を意識している。

安ければ二千円で買えるけど、がっつり組みごたえのあるプラモデル(特にスケールモデル)って7千円とか、下手すると一万円をこえる。しかも、誰でも完成見本のようには作れるわけではない。
そういう70年代的な、僕の体験したタミヤMM的模型の行方って、どうなるの? それと、中身までギッチリ再現されたガンプラって、もう役割を終えてないか? たくさんのパーツを組み上げることで構造を理解したり、塗装したり改造したりディオラマにできる拡張性が、どんどん隅っこに追いやられてないか。だとしたら、それは良いことなのか悪いことなのか。
中国のフィギュア・バブル、日本の少子高齢化を体現したかのような食玩キット、カプセル・キット。それらが40数年間つづいてきた「プラモデル趣味のスタンダード」を脅かしているように、僕には見える。

どちらが敵でもない。僕は安価な食玩プラモも買ってサクッと組み立てているし、数千円する面倒なパーツ構成のスケールキットも作っている。
だけど、プロのライターとしては、この不安をともなった隠然たる変化に直面して、最前線で記録する意義を感じている。それはですね、中学時代に1/35ミリタリーフィギュアをアニメキャラに改造し、自分で粘土やパテを捜し歩いて吟味して、高校生でレジンやホワイトメタルやソフトビニールなどに触らせてもらって、まがりなりにもガレージキットの完成見本を頼まれて挫折してライターになった男の義務ですよ(笑)。俺以外に誰がいる?と思ってますよ。

(C) 1976 - Columbia/TriStar

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