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モデルグラフィックス 2018年 05月号 発売中
●組まず語り症候群 第95回
今回は、暖炉のある豪華な応接間を半立体でキット化した、カワイの『憩い』を取り上げています。
●『ゾイド』新シリーズからランナーが消えた? これを機会に、組み立て玩具の持つ“プラモデル性”を考えてみよう!
ヘッドライントピックスの記事を書きました。新シリーズ『ゾイドワイルド』はランナーではなく、袋からバラバラのパーツを取り出すよう仕様変更されたので、それについて何か一言、というお題です。
【ホビー業界インサイド第33回】プラモデルなのに、塗装の必要なし! バンダイ「スター・ウォーズ」シリーズ、「1/12ハン・ソロ ストームトルーパーVer.」の“本当にすごいポイント”とは?(■)目や眉、頬の赤味などが印刷された『スター・ウォーズ』新キットについて、企画担当の方にお話をうかがいました。
複雑な立体面への印刷技術自体は以前からあるものですが、今回は同じクオリティのパーツを大量生産するため、3軸制御の治具を開発したことがポイントになっています。
かつてのプラモデルは塗装必須でしたから、「自分で苦労して作り上げる」「世界にひとつだけの作品を手にする」ことが目標だったかも知れません。だけど、ここ20年ほどのバンダイは「誰もが同じ品質の完成品を手に出来る」ことを至上価値に邁進してきました。
優劣の問われない民主的な模型趣味の実現です。バンダイは、プラモデルを買う人みんなを平等にしたわけで、その実績はもっと評価されるべきだと思います。
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吉祥寺オデヲンで誕生月割引が使えるので、『ブラックパンサー』を観にいってきた。マーベル映画は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でゲップが出てしまい、『アントマン』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』まで観て、以降の作品は無視していた。結局は『アベンジャーズ』続編に繋がるわけだから、一本の映画として完結させる気がないのは見え見えだ。
おそらく、僕がしつこく追いつづけている『スター・ウォーズ』も、興味のない人から見れば同じように感じられるのだろう。
『ブラックパンサー』は架空のアフリカの国での王位継承をめぐる戦いで、いつもの「正義とは?」「戦う理由とは?」といった賢しらぶったテーマが出てこない分、そこそこ楽しむことができた。
この手の映画は、(もしかすると『スター・ウォーズ』もそうなのかも知れないが)被写体だけが大事なのだと思う。監督が現場にいなくても、大勢のスタッフによってカット割や構図がおのずと決まっていく、そういうタイプの映画だろう。膨大なポスト・プロダクション作業が待ち構えているので、監督のインスピレーションで屋内のシーンを屋外に変更したりはできない。
なので、被写体について話をしたい。
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『ブラックパンサー』の舞台となるアフリカの国家・ワカンダは、万能の鉱石によって無限エネルギーの恩恵にあずかる超文明国で、高層ビルの間をリニア・モーターカーが走り回っている。テレ・プレゼンスによる無人自動車や無人飛行機も実用化されている。これは、西欧文明の思い描く理想郷だ。本作は「アフリカ文化が類型化されて描かれている」と批判されているようだが、それ以前の問題だと思う。他の国からは貧しい農業国として軽視されているのに、どうしてマシンエイジにアメリカやフランスで夢見られたような工業化社会が、アフリカの未開地域に勃興しているのだろう?
グローバリズムをむき出しにしたかのような絵づらに、僕はハリウッドの、ディズニーの傲慢を感じざるを得なかった。大げさに言うと、こんな大都市を本気で理想郷として描いているなら、未来は暗い。誰もが気軽に観るヒーロー映画だからこそ、暗澹たる気持ちにさせられた。
(C)Marvel Studios 2017
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