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2018年1月19日 (金)

■0119■

今週から、いろいろ仕事が入りはじめたので、水曜日に『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』の二回目に行ってきた。シアタス調布の平日昼間の回なので、さすがに客は10人ぐらい。しかし、小学生の男子3人組が来ていて、ちゃんと画面に反応して笑い声をあげていた。
僕は前から二番目の席で見たので、ようやく視界を覆いつくすぐらいの大画面で観られた。まだまだ、見落としている細かな演出がいっぱいあった。壮大で透明感のある背景には、観るたびに心が洗われる。雨粒が葉に落ちて揺れる、その一瞬を見逃すまい、と思う。

白龍という、真っ白な巨大な龍が登場する。
640 言葉をしゃべらないので、何を考えているのかは分からない。斉天大聖(孫悟空)は「どうして白龍を怒らせたんだ? 食われるところだったんだぞ」と、主人公の少年に怒鳴る。白龍の息にはタコの足やヒトデが混じっているので、海から内地の河まで渡ってきたのだろう。
白龍は悠然と空を舞いながら、その場を去る。斉天大聖は、「白龍は自由だ。それに、美しい」と、ひとりごとのように言う。その一言に、善悪や敵味方を超えた雄大なスケールを感じる。この作品には、あちこちにポカッと穴が開いている。だが、そこには勝手気ままな風が吹いていて、どうとでも受けとれるようになっている。

公開前は一週間限定上映と聞いていたが、新宿ピカデリー以外は、あと一週間は上映するらしい。映画館によっては平日夜のレイトショーもあるので、是非どうぞ()。


レンタルで、フェリーニの『甘い生活』。
Mv5bmji2nji0nje3mf5bml5banbnxkftztcフェリーニといえば、実は『道』『8 1/2』『アマルコルド』『そして船は行く』『ジンジャーとフレッド』、そんなところしか見ていない。大学生のころ、やはりブームとなって、過去作も上映されていた。
『無防備都市』の脚本にフェリーニが参加していて、「えっ?」と思ったのだが、それから15年後の作品は豪華絢爛、美男美女が昼夜をとわず遊び回る賑やかな大作となった。

アメリカから大女優がローマに到着し、記者たちから「ヌーヴェル・ヴァーグをどう思うか」「ネオレアリズモは生きていると思うか?」と質問される。通訳は「イエスと答えておけ」とアドバイスする。言うまでもなく、ネオレアリズモが用済みになったことを皮肉っているのだ。


黒澤明の、人物関係を際立たせる凛とした構図、ヒッチコックの観客の裏読みを誘導する機能的なカメラワーク、カットワーク。それら計算されつくされた巨匠たちの作品と対峙するようにして、ネオレアリズモやヌーヴェル・ヴァーグが台頭してきたのだと思う。
フェリーニは、ネオレアリズモを出発点にしたはずだ。
しかし、『甘い生活』はつかみどころがない。構図にもカメラワークにも必然性がない。だからといって、考えのない素人のような撮り方をしているわけではない。
会話シーンには、古典的なリヴァース・ショットも使われている。二人の人物が電話で話すシーンはクロス・カッティングだ。しかし、それら凡庸な演出を凡庸と感じさせない、解釈不能な情報量が、とりとめなく画面からあふれ出している。

こういう映画と対面したとき、新しい物差しが必要になるんだ。


「おまわりさんだと,男子中学生に淫行しても,逮捕されないし,顔写真も出ないし,実名報道もされない

https://this.kiji.is/326628875621663841 …

他方,一般人だと,昨日,電車内で男子高校生に痴漢したとして,逮捕され,本人の否認にもかからわず,実名顔写真報道。ネットで顔写真が超速拡散中→なお,検察は勾留せず」(

こういう話題に対して、「まあ仕方がないのでは」とあきらめていると、あなたの自由は全速力で遠ざかり、心の奴隷化が始まる。このツイートに対して「皆殺しでいいぞ」「消えてなくなれ」と威勢のいいことを言っている人がいるが、実社会で抵抗できるほど勇気のある人は、驚くほど少ない。
どんな創作的な才能があったって、どんなに好奇心が強くて行動力があったって、勇気がなければ人生は腐る。「賢い臆病者」なんてものはいなくて、臆病者はみんな、人生の敗残者。

(C)2015 October Animation Studio, HG Entertainment
(C)Cineteca di Bologna / Reporters Associati

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