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2017年12月 7日 (木)

■1207■

〈物語〉Febri  発売中
Dp9c1pnumaa_wb3●Febri Art Style
本誌と同じように、美術監督へのインタビュー+美術ボードで記事を構成しています。
今回は、〈物語〉シリーズのほとんどの美術を担当された飯島寿治さんへの取材で、『偽物語』の放送直前以来、5年ぶりのインタビューとなりました。美術ボードは本誌より多く、計6ページ掲載しています。


昨日は、来月公開のCGアニメ映画『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』の試写会へ。
Photoこの映画、ネットでPVを見てから国内公開を心待ちにしていた。2017年公開予定と聞いたきり新たな情報が出てこないまま、今年4月のオーストラリア行きの機内で原語バージョンを観ることができた。
単純明快なプロットに、どこか屈折した、生きることに飽いたようなニヒルな中年ヒーロー。崖だらけの地形を縦横に生かした、乗り物酔いしかねないほど自由闊達、融通無碍なアクションにつぐアクション、アクション、アクション! 3D映画は嫌いだが、これは3Dで見てみたい。試写室の小さなスクリーンでは、ぜんぜん物足りない。
タイトルから『西遊記』のアニメ化だと勘違いする人が多そうだが、孫悟空と猪八戒のキャラクターだけを拝借した、オリジナル・ストーリーである。天竺まで行く旅ではない。

誤解されるのを覚悟で言うなら、『ルパン三世』が『ドラゴンボール』の世界で大暴れするような感じ。殴られるたび、何十メートルも飛んでいって地面にめり込むとか、かめはめ波みたいなビームを撃って、よけると岩が砕け散るとか、どこかで見たような演出センスが気持ちいい。あと30分ほどアクションを足して、2時間の映画にしても良かったのに。
口を開けば不満ばかり出てくる疲弊気味の孫悟空を、咲野俊介さんが魅力たっぷりに演じている。来月13日公開、お忘れなく。


帰宅してから、『LOGAN/ローガン』。
Logan_2017_highonfilmsスチールの雰囲気から、勝手に『都会のアリス』のヒーロー版だろうと推測していたのだが、とんでもない。奇声を発しながら大人の男に飛びかかり、両手の爪でめった刺しにする少女の暴力はショッキングだが、そうしないと生き残って来られなかった不遇な立場の表明ともなっている(本作は、映倫審査でR15指定)。
舞台は、テキサス州のメキシコ国境からノースダコタ州のカナダ国境まで。人身売買され、ミュータントに改造されたヒスパニック系の少年少女たちが国境を越えていく。驚いたことに、まだ12歳のヒロインは、スペイン語で話す。改造されたのはアメリカ国民ではなく、メキシコ出身の子たちばかりなのだ。この凄惨なまでにリアルな設定。


メジャー会社のアクション映画は日本語吹き替えで見るようにしている。ヒロインのスペイン語はさすがに原語のままかと思ったら、なんと12歳の子役が吹き替えしていた()。
640_1『Xメン』シリーズの第一作が公開された17年前は、友人で映画監督だった須賀大観が、推薦の言葉を新聞広告に載せたりしていた。ヒーロー物にここまでのリアリティを持たせられるのかと感心したものだったが、現実感を出そうとしすぎると、こうまで過酷になってしまうのか。

ヒーローたちは「映画の登場人物」ではなく、その後の運命や若いころの体験を根掘り葉掘り暴かれる「キャラクター」として消費されるようになってしまった。『スター・ウォーズ』に新シリーズが予定され、テレビシリーズまで企画されるのは「キャラクター」の保有数が多いからだろう。物語上の要請ではない。
ヒーローだけじゃない、『ダンケルク』に登場した飛行機だって、「キャラクター」扱いされて、映画本編とは切り離されて評価された。


NHK受信料の合憲判決が、ネットを騒がせている。
僕が夜中にテレビをつけっぱなしにして寝るのは、YouTubeで雨や波の音を聴くため。地震速報や天気予報は、スマホから得られる。
テレビの役割、情報の質は激変した。利権を得つづけたい人たちが、鈍感なふりをしているだけ。

(C)2015 October Animation Studio, HG Entertainment
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

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