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モデルグラフィックス 2018年 02 月号 25日発売●組まず語り症候群第62夜
今回はトランペッター社の「1/35 ソビエト軍 2K11A 対空ミサイルシステム クルーグ」で、ひさびさに自主映画『亜空間漂流ガルダス』に触れています!
●ランナーを見比べないと分からない“些細な変更点”を探せ! 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』版キットの本当の楽しみ方とは?
バンダイ製『スター・ウォーズ』キットの、公にされていない些細な仕様変更を編集者に話していたら「それを記事にまとめてほしい」と言われて、ヘッドライントピックスに書きました。完成品では決して味わえない、組み立てキットならではの面白みです。
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試写会で、湯浅政明監督の『DEVILMAN crybaby』の第1話~第3話まで。
もしこれをイベント上映しようものなら、ぶっちぎりでR18+です。人間がデーモン化していくシーンは、見たことを後悔するほどのグロテスクさです。セックスシーンもいっぱい出てきますが、例えが古いけど『くりぃむレモン』から続く、セル画のフェティシズムによる予定調和のエロさは皆無で、やはり目をそむけたくなるような描写をされています。海外のエロサイトって、たとえ合法でも生々しすぎてオエッてなるじゃないですか。ああいう描き方をしている。
見たくなかった、今まで見まいとしていた、見なかったことにしていた、だけど醜悪で残酷な現実は確実にそこにある。勇気をもってそこに立たないと、倫理を語ることは出来ない。
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デビルマンのアクションシーンは、腕がぐにょっと伸びたりして、カートゥーンのような極端なアレンジがされているんだけど、それがカッコいい。たくましく変貌した不動明が食欲むきだしで食事するシーンも、どちらかというとコミカルなディフォルメがされているんだけど、かえってそれが怖い。「2Dアニメでかっこいい絵とはこういう描き方」「エロい絵とはこういうもの」という固定観念を揺さぶってくる。
線が多くて、丁寧に影がつけてあって、ロトスコープのような写実的な芝居をするものだけをリアルだと思っていたら、それはアニメーションに対する思い違いなんですね。
『TAMALA2010 a punk cat in space』なんかもそうだったんだけど……、絵のもっている抽象性、見方によって可愛くも気持ち悪くも見える性質を、やや露悪的に使っているとも言える。
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見世物小屋を舞台にした『フリークス』って映画があるでしょ? ちょっと感銘をうけたというか、嫌な意味でハッとさせられた話があって。
大学時代だから30年ほど前のことだけど、僕の友達が、『フリークス』のビデオを家で見ていたそうです。人形のように美しい、妖艶といってもいいぐらいの20代の女友達と一緒に。すると、その子が小人症とか半身が欠損した出演者たちが出るたび、それぞれに酷いあだ名をつけて「かわいい!」と言ってゲラゲラ笑っていたそうです。
その女性の人権意識を疑うとかいう以前に、人間ってそういうもんだと思ったんです。僕の中にも、障害者をあざ笑うような醜い部分は絶対にある。あまりに救いがたい現実を前にすると、人は嘲笑することによって、その場を逃れようとするのかも知れない。
『DEVILMAN crybaby』には、ちょっとその感覚がある。
牧村美樹というヒロインは美しいんだけど、美しいがゆえにもっとも汚い部分と繋がりやすい。ただ、脚本がぎりぎりストップをかけている。「こいつは悪いヤツだから殺しても大丈夫」「不動明に理性は残っているから、そこまではやらない」と、暴れ狂う絵を矯正している。
脚本が、絵に対するガイドラインとして機能している。だけど、そのガイドラインを超えちゃってないかな?と危惧してしまうほど、獰猛な表現欲にあふれた作品です。
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「マジNHK時間考えろよ。
家までの帰り道、妹からSOSのLINEがきたので交番行って事情説明してミニパトの後ろ乗って静かに帰宅…到着したら、さっきまで居座ってたのに帰ったところだった。
玄関のドアを何度も何度も強く叩き、大声を上げ、玄関先に居座る…」(■)
上記のツイートを拝見した矢先、“NHK職員を懲戒免職処分 37歳男性職員が受信料58万円着服「言語道断 厳しく対処」”(■)。記事の最後に「NHKは刑事告訴を検討している」。NHKが被害者なの? 受信料をだましとられた人がNHKを告訴するなら分かるんだけど、なぜNHKが元職員を告訴する? この責任転嫁が、本当に浮世離れしてるよなあ……。
(C)Go Nagai-Devilman Crybaby Project
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