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2017年11月23日 (木)

■1123■

月刊モデルグラフィックス18年1月号 25日発売
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●組まず語り症候群・第61回
今回は、日東科学の「キジムナー」です。当時は店頭で見かけなかった80年代のキットで、確かスーパーフェスティバルで買いました。
パッケージから説明書にいたるまで、びっしりと遊びを盛り込みすぎて、最高にウザいキットになっています。そのウザさをキャプションに細かく書きましたので、ぜひ読んでください。


月刊ホビージャパン18年1月号
 25日発売
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●造形と成形の幸せな調和
バンダイのフィギュアライズ・バストを最新作である初音ミクから初期のキットまで振り返っています。この記事のために、家に組み立て済みのものがあるフィギュアライズ・バストを、すべて新たに買いなおしました。
歴史的に無視できないだろうと思って、初めてシステムインジェクションで色分けを行なった1/144 ドラグナー1型も買いました。
また、フィギュアライズ・バストの企画を担当してらっしゃる三宅のぞみさん()にインタビューし、過去に手がけたキットも入手して紹介しました。「企画者」という視点から、プラモデル商品を照らし出してみたかったのです。


レンタルで、仏映画『南へ行けば』と1969年の米映画『真夜中のカーボーイ』。
Mv5bmjg1ngiwotytnmqync00ngnklwjimdg『真夜中のカーボーイ』は学生時代に見たはずなのだが、すっかり忘れているので見ることにした。
社会の底辺から夢を見る男たちを描いた、あまりに哀切な映画だった。フレッド・ニールの『うわさの男』が、冒頭とラスト近くに流れる。小学生のころ、テレビCMで使われていた曲だ。この曲を聞くと、日曜日の気分になる。

ダスティン・ホフマンの演じる“ネズ公”とあだ名された男が、相棒のジョー(ジョン・ヴォイト)を金持ち女のところに送り込み、フロリダで豪遊する夢を見る。お金持ちの婦人たちを周りに集めて博打をしたり、料理をつくったりする夢だ。それらのシーンは、路上に立っている“ネズ公”のアップとカットバックする。
この映画では、未来に起きることがしばしば「現在」に割りこんでくる。あるいは、回想シーンに「現在」の人物がまぎれ込んでいたりする。
ゲイの老人にホテルに連れ込まれたジョーが、病気の“ネズ公”をフロリダに連れていくため、金を奪おうとするシーンもそうだ。老人を殴るジョー、ネズ公をアパートから引っ張り出してバスに乗せるジョー。ふたつのシーンがカットバックする。後者はジョーの空想のように見えるが、そのまま実際にバスに乗り込むシーンと直結する。
「ネズ公をフロリダに連れていきたい」空想が、「現在」へと追いつくわけだ。それはジョーの焦りでもあり、強烈すぎる願望でもある。


ネズ公は、バスの中で息絶える。死んだ彼を振り返ってジロジロと見るバスの乗客たちは、女性ばかり。どうも見覚えのある人たちだと思ったら、ネズ公の空想シーンに出てきたお金持ちの婦人たちに似ている。
唐突に、老婦人がネズ公を無視して化粧しているアップが入る。彼女たちは、ネズ公の夢想とも現実とも関係のない世界に生きている……果たして、そうなのか? 映画はそもそも、無関係に撮影されたフィルムとフィルムを繋いで、因果関係を生じさせる表現だ。
過去と現在と未来、空想と現実をシャッフルすることで、点在している出来事が力強く一本に寄り合わされていく。

僕たちが映画から「感動的なストーリー」を読解するのは、バラバラに撮られた絵を頭の中で繋ぎ合わせるからだ。バラバラの絵から物語を理解するのは、ようするに慣れである。
慣れているからこそ、疑ってみたり、構造を分析することも必要じゃないかと思うんだが、「とにかく良かった」「理由もなく泣けた」が、映画に対する最大の賛辞になってしまった。
冷徹な理性に感嘆したり、人間の残酷さや無理解や不寛容を発見することにだって意味はあるだろうに、激しく心を揺さぶられて「号泣する」ことだけが至上価値になってしまった。

(C)1969 - MGM

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