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2017年9月28日 (木)

■0928■

水曜夜は、『RWBY  VOLUME 4<日本語吹替版>』のマスコミ試写。
1499130938_1_7_267c31726089125dea0bウェブで配信された全エピソードを繋ぐと3時間を超えてしまうため、今回は145分に編集されたものが劇場で上映される。僕はYouTubeで配信されるたびに少しずつ見ていたのだが、日本語版が製作されると聞いたので、それまで待つことにした。
『RWBY』の新しいエピソードを見る前は、いつも心配になる。特に、上図のようなスチールを見てしまうと「こんな絵で大丈夫なのか?」と、不安になってしまう。今回はソフトが新しくなり、3DCGモデルが刷新されているそうなので、あのカクカクの愛らしいローポリ感は、少し薄まった。しかし、やはりアングルによっては造形が不自然だしイマイチだし、そうでなくては『RWBY』ではないと思える。
これは、不思議な感覚だ。CGモデルの出来があまり良くないほうが、「劇」や「ドラマ」の優秀さ、日本語吹き替えの声優たちの演技力がパリッと際立つ。不思議なバランス感覚が成立している。

なんというか、この今ひとつ理想どおりには出来ていないかも知れないCGキャラたちが、なんとかしてドラマを伝えようと懸命に、必死に演技しているように感じる。いつもいつも、それを愛らしいと感じる。
だから僕は、普段は重視しない「ストーリー」の構成力、「物語」が前進しようとする力強さ、機能美に魅せられる。「お話」の力強さに、打ちのめされるのである。


『RWBY  VOLUME 3』は、前半はそれまでの明るい学園モノだったが、後半は学園モノが学園モノであるための舞台そのものを破壊する、ダイナミックな展開を見せた。試写を見て仰天したのは、もう一年近くも前のことだ()。
4人の主役キャラクターたちは散り散りになってしまい、主人公のルビーはサブキャラクターのジョーンたちと別のチームを組んで、旅に出る。
一方、親元で停滞しているのは、ルビーの姉で精神的にも肉体的にも深刻なダメージを負ったヤン、父親や有能な姉、家系にコンプレックスを抱いているワイス、人種差別にさらされ続けているブレイクだ。ルビーは旅をしながら危機をのりこえるが、他の三人にはそれぞれ克服すべき課題がある。

つまり、ひとつの動とみっつの静が、コントラストをつくっている。『RWBY』を見ているとき、僕はいつもそのような抽象的な構図を思い描くし、それに魅了される。
ルビーが新たな4人のチームをつくる。対する敵も、前作から生き残ったシンダーを含めて4人のチームであることが判明する。前作で存在が明らかとなった四季の女神も、4人である(彼女たちのエピソードも、まだ継続している)。また、この世界を構成する王国も、四つある。それは偶然なのだろうか、何かの象徴なのだろうか。
そして、四季の女神のうちの一人が倒れ、ひとつの王国が陥落したところで前作は終わっていた。つまり、『VOLUME 4』はバランスを欠いた、不均衡な世界が舞台となる。絶えず、不穏な雰囲気が漂っている。ルビーの旅は困難に満ち、かつてのメンバーだった三人も、深く苦悩する。


だが、それでも物語は希望を予感させる。停滞していたヤン、ワイス、ブレイクは、それぞれに動き出す理由を見つける。まるで、バラバラに回転していた歯車が、いつの間にか噛み合い、同時に回りだすように。

徹底的にダウンした後は、ちょっとずつアップしていく過程がいちばん面白い。その面白くなってきたところで、『VOLUME 4』は幕となる。次の舞台は緑の多い、「春」を予感させる王国だ。前作のラストが冬で、今作のラストが春。このような抽象的な対比や構成が、『RWBY』は非常に上手い。CGキャラのルックスを、概念や観念で補っている。情熱ではなく、知能で戦っている。
(そうやすやすと再登場させないほうが効果的なキャラクターは少しも顔を見せず、ちょっとだけ名前を出す。その名前を聞いた相手の意外なリアクションで、相手がどういう人間か分かる……といった、高度な作劇をやっている。)


絵とドラマのギャップが、『RWBY』の武器なんだと思う。
僕は『RWBY VOLUME 1』の最終エピソード、ワイスとブレイクが思想的・人種的に対立し、「お友達さん」を求めるペニーという少女が介在して2人が仲直りするエピソードが大好きなのだが、あれは前半の学園モノの軽いノリがあったから、対比として叙情的に感じられたのだと思う。

『VOLUME 4』は、ずっしりと重たい。会話も複雑だ。だが、絵はペラペラに薄く感じられるときがある。ペラペラなルックスだからこそ、声優たちの演技が真価を発揮する。がっちりと重厚に感じられる。アクションの爽快さが増す。嫌味ではなく、本当にそう思う。
なんという深遠な物語なのだろうと、呆然と立ち尽くすのである。

(C)2017 Rooster Teeth Productions, LLC.

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