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2017年8月25日 (金)

■0825■

モデルグラフィックス 2017年 10 月号 発売中
Dhzuuluwaahcyd
●組まず語り症候群
第58回です。前号で美少女パンツ系に走ってしまったので、今回は地味に、熱気球のプラモデルです。

●バンダイ 1/72 ミレニアム・ファルコン 開発チーム インタビュー
前号につづき、後編になります。
地味なページではありますが、企画、実物への現地取材、造形、設計、成型……と、ひととおりプラモデル開発の流れを押さえています。別冊が出るときには、増ページしたいですね。


さて、週末である。夕方にTSUTAYAへ行くと、ドスドスとやけに大きな足音が聞こえてきた。「もしや」と振り向くと、予想は当たった。DQNと言って古ければ、リア充というのだろうかウェイ系というのだろうか、とにかく自信満々、生まれてこのかた悩んだことなど一度もないといった雰囲気のカップルであった。男女というよりオスメスのつがいと呼びたくなるような、近寄りがたい生命力にあふれている。
なるべく距離をとったつもりなのに、何しろ生まれつき声がでかい人たちなので、会話が丸聞こえだ。「かなわんな」と思いながら、アニメのDVDを二枚手にとって、レジへ急いだ。

そのとき、僕の嗅覚が、さっきのカップルよりさらに危険な匂いを感知した。
僕より年上だろうか年下だろうか、きれいに剃りあげたスキンヘッド。僕のように、年齢にまかせてだらしなくハゲたわけではない。お洒落なハゲだ。しかも、肌が小麦色によく焼けている。
小柄だが、かなり鍛えているらしく、四肢が引き締まっている。さらに、着ているシャツもお洒落なのだが、服などオマケのようなものだ。とにかく動物レベルで「強そう」なおじさんである。
僕が「お呼びするまで、こちらにお並びください」と書かれたラインで、ボーッと待っていると、このおじさんがスルッと僕を追い越して、先にレジで会計をはじめた。こういうとき、「ちょっと待って、僕のほうが先ですよ」と言えない人間なのである、僕は。目すら合わせられない。
(この手の男性は、必ず尻ポケットからニョキッと黒い財布が突き出ている。生物的に、スリを近づけさせないからである。)

こういうことを書くと卑屈だとか臆病だとか、いい歳なんだから自分に自信を持てだとか、的外れなアドバイスをくらいかねない。態度や年齢や心構え以前に、生き物として相手のほうが「強い」のである。この感覚が分からないと、他人に優しくはできない。
話は、まだ続く。


アニメのDVDを二枚借りて、帰途についた。
僕の家は駅の反対側にあるので、地下をくぐるトンネルを歩いて渡らねばならない。坂道にさしかかった頃、うしろから「さあ、行くぞ!」と、大きな声が聞こえてきた。自転車の前後に子供を乗せたお父さんが、「ビューン!」と叫びながら爆走し、僕と僕の前を歩いていたお兄さんを追い抜かしていくのであった。
トンネル内では自転車を降りて歩くよう注意書きがあるのだが、そういう問題ではない。そのお父さんのほうが、「生き物として強い」のである。猛獣が突進してきたら、人間のほうが避ける。それと同じレベルの話だ。

猛獣が走り去ってから、僕の前を歩いていたお兄さんは、僕の後ろに自転車に乗った女性(60代ぐらい)がいるのに気づき、立ち止まって道をゆずろうとした。僕も、彼にしたがって、道をあけた。
すると、自転車の女性はきれいな声で、「私は歩きますので、お先にどうぞ」とおっしゃった。お兄さんは納得した様子で歩きはじめ、僕も女性にお辞儀をして、歩きだした。ようやく、人間の世界に帰ってこられた。今日のTSUTAYAは、野生の草原だった。
あのお兄さんは歳をとっても女性や親子づれに道をゆずるだろうし、あの女性は若い頃から礼儀ただしかったのだろう。相手を、自分と同じ人間として意識して尊重するからこそ、そこに社会が生まれる。


僕が大学を卒業する年に始まった『宮本から君へ』は、途中からラグビー部所属で外務省に就職が決まっている“生物的強者”をいかにして倒すか?が、物語の貫徹目標になっていく。
(主人公・宮本の彼女はライバルの男にレイプされてしまうのだが、彼女の「若い子がもったいつけると、カッコ悪いよ」という言葉の説得力は忘れられない。年齢を聞かれて「いくつに見えますか?」ともったいつける男ほど、醜悪なものはない。)
宮本がライバルに勝つ過程には、いくつか不満もある。だが、生き方や態度では決して回避できない屈辱を、この作品は正しく描いている。

『シン・ゴジラ』は、大学の部活のようなノリでオタクの集団が国難を乗り越える……いや、自分たちの能力だけを駆使して、自分たちを虐げてきた強者たちをも、丸ごと「勝たせてやる」ところに愉悦があるのだと思う。
だから、実社会で強者として勝っている観客たちには、さぞかし腹正しい映画に見えたのではないだろうか。

人間は平等ではない。宮崎県日向市PR動画、あんなものを見て喜んでいるのは、男女問わず強者だけではないか。男ならサーフィンぐらい出来るべき、飲み会で女の子に肩を叩かれてこそ一人前……すべて圧力、醜悪な圧力の塊だ。
勝たなくてもいい、そもそも戦わなくていい、いたるところ逃げ道だらけの社会なら、誰もが自己実現できるだろうに。嫉妬も生まれまいに。

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