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アニメ業界ウォッチング第34回:カップヌードルがCMで「魔女の宅急便」をアニメ化した理由(■)
一部で、「あの人気アニメを剽窃・改悪している」との批判もありましたが、一本のアニメーションとしてのクオリティを評価すべきと思い、日清食品さんに取材を申し込みました。
制作現場を取材しようとすると、日清さんの管轄ではなくなってしまうようで、何度か交渉した後、宣伝の方から包括的な話を聞くことになりました。
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丸一日以上が経過してしまいましたが、阿佐ヶ谷ロフトAでのトークイベント『社会は如何にしてプラモの金型に彫りこまれた美少女のパンツを見つめてきたか』に来てくださった皆さん、どうもありがとうございました。心配していましたが、ほぼ店内が埋まるぐらい、満席に近いほどの入りでした。
第一部は、司会の有田シュンさん、永山薫さん、桑田聡さん、さらに飛び入りでマックスファクトリーの高久裕輝さんが登壇してくださいました。ワンダーフェスティバルで発売されるプラキット“minimum factory 霞 C2ver.”のランナー、原型ともなったPVC商品をお題に、プラモデルとしてオッパイが成形される愉悦について語りました。
第二部は、有田さんと永山さんに加えて、田中圭一さん、山田太郎さんが登壇。テーマは一気に表現規制へ。民間企業や警察によるフィギュアへの規制から、漫画での表現自粛、声かけ写真展への批判まで話題が広がりました。
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イベントが終わった直後、僕の著書『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』を買ってくださった皆さんが、サインを求める小さな列をつくり(下手な字しか書けなくてかみません)、ちょっとした意見交換もできました。
お客さんと話していて印象的だったのは、「表現規制の話を聞きたくて来たけど、前半のプラモデルの話が予想外に面白かった」、逆に「フィギュアの話を目当てに来たけど、後半の表現規制の話題に興味をもった」、両サイドが、ほんのちょっとかも知れないけど、重なってくれたこと。
面白いこと、趣味のこと、エンタメって、つねに実社会から批判される可能性があって、プラモデルやフィギュアとて例外ではない。なのに、ホビー業界・模型業界の中で表現規制に関心があって行動する人が、皆無に等しい。主体的に社会に関わっていかないと、仲間内だけで閉塞した幼稚な趣味だと見なされ、市民権を得られないのではないか。
……こうして文字にしてしまうと、ミもフタもない単純な話ですけどね。ネットの中で思いついた言葉を散発させるだけでは、あまりに脆弱だと思うのですよ。
っていうのは、SNSによって自分たちの部屋が、すべて丸見えになる世界を僕らは生きていて、もう後戻りできないからです。
匿名のSNSで建設的な議論や対策を望むのは、それこそ子供じみた楽観論、無責任な甘えであって、直接対話を前提とした「場」をつくる段階に来ているのですよ。オープンかつフェアな「場」で、理性的なスタンスを保てる人が必要なんです。
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今回のトーク企画は、『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』を企画した栗田歴さんの「廣田さんの次の著書につながるような、社会と表現とのかかわりに言及する横断的なイベントにしたい」要望から、ゲストが決定されていきました。
(写真右が、栗田さん)つい最近、長女が生まれたことが、彼自身の携わるアイドル系・グラビア系の“セクシャルな”仕事を見つめなおす契機になったそうです。山田太郎さんや田中圭一さん、田中さんを紹介してくださった永山薫さんが登壇してくれることになったのは、栗田さんがイベントの方向性を決定づけたからです。
そして、写真左が、元モデルグラフィックス副編集長の高久裕輝さん。正直にいうと、高久さんこそが表現規制を絡めたイベントを嫌がって敬遠すると思っていただけに、時間をやりくりして猛烈な勢いで駆けつけてくれて、嬉しかったです。
その高久さんは、表現規制に対して活動してきた山田太郎さんを最も高く評価していました。
2人とも、僕に容赦のないダメ出しをしてきた敏腕編集者だけに、上の写真は夢のような組み合わせです。「ディレクターは2人いらない」が僕の持論で、年齢も近くて仕事に誠実で野心旺盛な2人はソリが合わないのではないかと思いましたが、僕のついていけない尖った話を仲良く交わしていたので、安心しました。
表現とか文化の強度、社会への訴求力や信頼性って、少なくともクソリプの洪水の中からは生まれてこないですよ。
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