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2017年7月 1日 (土)

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初画集発売直前! アニメーションクリエイター、湖川友謙から教わる“発見”の面白さ
T640_731110はじめてお会いしましたが、非常に話が弾みました。
これまでの経歴のお話も文字に起こしてあったのですが、やはり富野由悠季監督との出会いを冒頭に持ってきたほうが迫力が出るように思い、前半はバッサリと切りました。おかげで、記事の評判は上々です。
画集の宣伝の意味で一迅社さんから持ちかけられたインタビュー仕事でしたが、悩んだすえに請けて、良かったです。

 


『社会は如何にしてプラモの金型に彫りこまれた美少女のパンツを見つめてきたか』(
7/20(木)に、阿佐ヶ谷ロフトAにて、トークイベントを開催します。ゲストは、桑田聡(月刊モデルグラフィックス編集部)、永山薫(漫画評論家)、山田太郎(前参議院議員)……と、異色の取り合わせとなっています。
前半では、僕よりぜんぜん若い桑田さんと、最新の美少女プラモ事情について語りあい、後半では山田前議員を招いて、ここ数年のフィギュアに加えられた弾圧の歴史を振りかえりたいと思います。永山さんには、前半と後半をつなぐような立場からコメントしていただければ……。

やっぱり、模型メーカー主導で商品のプロモーションを意図したイベントでは、表現規制にまでは踏み込めないし、また踏み込むべきではないでしょう。
僕のイベントだから表現規制についても触れるけど、基本的には楽しいイベントにしたいと思っています。その「楽しいこと」「エンタメ」こそが、規制や自粛とつねに直面しているはずであって。


レンタルで、ヒッチコックの『見知らぬ乗客』、黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』。後者は難解なドラマだったが、いずれも冒頭シーンのカット割がいい。
Ph_1『見知らぬ乗客』は、ポーターに荷物を運ばせた二人の紳士の足元が、カットバックする。ひとりは画面右から左へ、もうひとりは左から右へと歩く。その足元が交互に映ると、僕たちの脳は「二人は衝突する」と認識する。別々の場所で撮られたカットなのに。
果たして、二人の足元がひとつのカットに収まったとき、彼らの靴はぶつかり合う。そこまでのカットの積み重ねが、これから展開されるドラマ全体を象徴している。畳みかけるような演出で息もつかせねサスペンスを味わわせてくれる映画だけど、まず最初の数分で心をつかまれる。

『悪い奴ほどよく眠る』は逆に、冒頭の結婚式のシーンのみ良かった。
10010413_h_pc_l_2まず、花嫁が会場にあらわれると、画面を占領していた客たちがサーッと左右に分かれる。ここからして、黒澤明特有の「個と群」の美しさを描いたカットです。
カメラは、花嫁が歩くのをフォローするようにPANで追う。ところが、彼女が報道陣の前を通るとき、カメラはそこで止まり、花嫁はフレーム外へ歩いていく。
フレーム内に残された報道陣が、ちょっと歩き方の不自然な花嫁の足元を見て、ギョッとする。その表情を撮ったところで、カットは花嫁の足元をアップで映す。彼女は左右で高さの違う草履をはいていた―ー足が不自由なのだ。カットの最後で疑問を示して、次のカットで答えを出す。理解のテンポ感とでも言おうか、読み取る、了解することによって生じるリズム感が黒澤映画の醍醐味だと思う。
もうひとつ言うと、花嫁は不自由な足で先に歩くけど、報道陣はカメラワークによって「取り残される」。ここですでに「この女性は、映画の中で特異な地位を占めるんだよ」と宣言できている。カメラワークによって。カッコいいですね。

 

だけど、あとの二時間半は会話劇に終始して、しかも難解でした。
それでも、カット割や構図がセリフ以上に饒舌になることがあるので、黒澤映画は見逃せないのです。

(C)  Warner Bros. Entertainment Inc.

 

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