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2017年6月27日 (火)

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ホビー業界インサイド第24回:シタデルカラーは、本当に魔法の塗料なのか? 高久裕輝(マックスファクトリー)が塗って語る、シタデルカラーの模型的活用法
T640_730468シタデルカラーという塗料はマックスファクトリーが扱っているわけではなく、シタデルカラーが売れたことで高久さんには一円も入らないのですが、「シタデルカラーの面白さ」を発見して言語化したのは間違いなく、高久さんです。
プラモデルって、「面白い」以外に得られるものは何ひとつない趣味なので、ダイレクトに「面白い」と感じられることだけが信頼だと思います。

アニメ業界ウォッチング第34回:地上波放映間近! 翻訳者・瀬尾友子の語る「RWBY」の魅力!
T640_730876来月から地上波放送される『RWBY』、日本語版の生き生きしたセリフの数々を生み出した瀬尾友子さんに、ファン心理丸出しでインタビューしてきました。
ローマン・トーチウィック、グリンダ・グッドウィッチ、ブレイク・ベラドンナ……キャラクターのフルネームがかっこいいですね、という話にようやく共感していただける人に出会えました。


アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞したおかげで公開館の増えた、『夜明け告げるルーのうた』、ようやく観に行ってきた。しかし、TOHOシネマズ 新宿88席のスクリーンは空いていた。
004_size7なぜここまで遅れたかというと、『夜は短し歩けよ乙女』が、あまりに性に合わなかったため。
湯浅政明監督の完全オリジナルの『ルーのうた』、こちらの方が断然いいです。グランプリも納得できます。アヌシーでは『この世界の片隅に』が審査員賞だったけど、それも分かる。

なぜなら、『ルーのうた』は、表現がリアリズムではないから。魔法やファンタジーがいっぱい出てくるって意味ではなくて、芝居がリアリズムではない。普通の人間が、普通でない動きをしている。
クライマックスで、主人公の少年とガールフレンドが、丸い大きなバルブを、力をあわせて回す。その構図が、きれいな点対称なんです。お前ら、バレエ踊ってるんじゃなくて、必死にバルブ回そうってとき、そんなきれいな構図におさまるのかよ? さらに少年の父親とガールフレンドの祖父も加わるんだけど、彼らもピタリと点対称の位置を占める。
だけど、クライマックスでみんなが力を合わせるシーンに、点対称のきれいに収まった構図をもってくる、絵としての収まりのよさを優先する――このほうがアニメだ、実写映画をリファレンスしていない、原初的なアニメ表現じゃないか?って気がする。


日本のアニメ映画は、リアリズムが支配的すぎると気づかされた。
宮崎駿さんの仕事は、空を飛ぶシーンがあるからリアリズムではないのでしょうか? とんでもない、ちゃんと体重をもった人間の女の子の動きになっているはずです。

特に劇場アニメの場合、枚数をかけていかに既視感のある動きを描けるかがテーマ、ここ20年ぐらいのテーマだったと思う。『君の名は。』『この世界の片隅に』は、荒っぽく言えば、リアリズム路線の頂点なんだと思う。リアルな動きとポピュラリティのあるキャッチーなキャラクターの融合が、沸点に達した感がある。
「アニメなのに実写みたいだ」「実写をこえた表現」という感想に、ちょっと僕は首をかしげていた。ああ、多くの人は「アニメ映画」を「未完成な実写映画」「絵であるがゆえに実写をこえられない表現」と認識してるんだな……と。その認識もやむをえない状況が、20年ほど続いてきたんじゃないだろうか。


『ルーのうた』の背景はベテランの大野広司さんで、さびれた港町を質感豊かに描いている。写実的といっていい。
キャラクター原案は、『午前3時の無法地帯』のねむようこさんだから、地味ではあるけど、ルーもガールフレンドの女の子も、かなり可愛い。
吉田玲子さんの脚本は、もちろん難解なところはなくて、田舎の中学生たちの背中を押すような手堅いドラマになっている。
だけど、動きがドラッギーなんだ。ミュージカル・シーンなんて『ダンボ』の“Pink Elephants on Parade”みたい。快楽至上主義。だから、ウェルメイドな物語の枠組みからは離反しているんだけど、僕はそれでいいと思う。そのほうが自由だから。

だけど、僕が「これはいいものを観ているぞ」と本気でゾクゾクしたのは、主役3人が登校する序盤の地味なシーン。
006_size7閑散とした、港町の坂道を3人が登るのを、背後からロングで撮っている。そこへ、ローカル線の電車がけたたましい音をたてて横切る。3人の姿は、しばらく見えなくなる。
電車が通りすぎると、3人の姿は、もううんと小さくなっている。このタイミングで主人公たちの姿を画面から消してしまうと、彼らの存在が世界の一部にすぎない、電車一本に負けてしまうぐらい小さい存在なのだ……と解釈できるだろう、いくらでも文学的に。
だけど、何よりも、会話している主人公たちを押しつぶすように、灰色の電車が画面をさえぎる、しかもまだ彼らに馴染んでいない序盤でそれをやる大胆さに、気持ちがざわついた。ひょっとすると、あとの90分はオマケなんだよ。もう、電車のシーンで分かったから。「このアニメではすべて分かったうえで、確信犯的に好きなことをやりますよ」って宣言が聞こえてきた。

「アニメ映画」ではなく、物語の枠組みの上を間借りした「アニメ表現」をやる、ということ。実写映画には、準拠していない。その姿勢が、何より良かった。


あと、昨夜はヒッチコックの『見知らぬ乗客』をレンタルで。
黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』も借りてきたので、感想はそれと合わせて。

(C)2017ルー製作委員会

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