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EX大衆 7月号 発売中●富野由悠季インタビュー! サンライズ栄光の全史
編集部の立てた企画で、「サンライズのロボットアニメを全7ページで特集してほしい、冒頭はカラー」との依頼。
担当編集と熟考しつつ、僕からはサンライズのライツ事業部に「なにか要望があるなら、先に言ってください」と連絡。結果、冒頭は『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』のモビルスーツ紹介と金世俊監督のミニインタビューとなりました。
さらに担当編集が交渉して、富野由悠季監督インタビューが実現しました。サンライズからは『無敵超人ザンボット3』を中心に……と、各所の希望を調整した結果、なかなか厚みのある特集となり、読者からの評判もいいようです。
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さて、Twitterは漫画家に警察が「申し入れ」を行ったという話題でもちきりです。
漫画家・クジラックス先生、警察の「申し入れ」報道についてあらためて説明 「前例ができたと思ってほしくない」(■)
作家がどう思おうが、前例ができてしまったことは間違いありません。
自分の取材した範囲でいうと、映画倫理委員会(映倫)は、警察が映画館に乗り込んできたり、映画監督をいきなり検挙するような事態が起きないよう、防波堤の役割を果たしています(もっとも、権力の介入をおそれるあまり、表現を萎縮させている面も大いにあります)。
漫画家の場合、そのような防波堤がないため、予告なしに警官が自宅を訪問する事態になったのだと思います。
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どうにも気になるのは、クジラックスという方が「たいしたことではない」となだめるような態度をとっていることです。
人がオタクになったり、漫画やアニメを愛好するようになる理由には、いろいろなバックボーンがあると思います。しかし概して、遵法意識の強い保守的な人が多いように見受けられます。嵐が通りすぎるまで知らんぷりをする、事なかれ主義ですよね。
漫画に比べて、アニメやフィギュアの世界で表現規制に興味をもつ人が少ない(というより皆無に等しい)のも、事なかれ主義のあらわれだと、僕は思っています。
「やられっぱなしで、くやしくないわけ?」と思うんです。
僕は漫画よりもアニメに思い入れた中高校生でしたが、当時は体育の時間が涙がでるほど屈辱的で、人付き合いが苦手なので友だちもできづらく、本当に日々が苦しかった。「廣田って、アニメの話をするとき以外、暗いよな」と聞こえるように言われても、ただ黙っているしかなかった。
そういうマイナスの経験があったから、力の強い人間たちに一方的に蹂躙されるのは二度とごめんなのです。自由を、自尊心を死守したいわけです。
だけど、僕と同じような人生観のオタクって少ないみたい。嵐がすぎるまでおとなしく待つ人のほうが多いようで、廣田は過激で好戦的だと見なされているんでしょうね。
うろ覚えだけど、大学時代に読んだ『第二の性』に、こんな意味のことが書いてあった。「自らの怒りを大地に刻みつけられないことは、おそるべき失意である」。
どんどん声に出していかないと、失意のまま人生が終ってしまう。負けっぱなしの人生はイヤだよな、巻き返したいよな……と、今はこんな程度のことしか言えません。
この事件は社会の問題でもあるけど、個人の生き方が問われているようにも感じるのです。
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