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2017年6月10日 (土)

■0610■

Febri Vol.42 12日発売
Db3hjnkuwaecq6u●Febri Art Style
今回は『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』の背景美術にスポットを当てました。
もちろん作品が面白いから取り上げさせていただいたのですけど、前作でムック本を担当したとき、美術監督の中村豪希さんのインタビューが、演出面にまで踏み込んでいて、とても面白かったので。
元・小林プロの美監さんたちは、主張がしっかりしています。次は何を手がけるのか、いつもマークしています。


NHK クローズアップ現代 2兆円↑アニメ産業 加速する“ブラック労働”(
入江泰浩さんが最後に仰った、「NHKさんを含むテレビ局にお願いしたいことなのですが、コンテンツとして今後もアニメーションをつくることが決まっているのであれば、制作費を倍にして、さらにアニメーターが安心して創ることができる、そういう環境をつくっていただきたいと強く思います」、これに尽きるのかも知れない。
だって、『3月のライオン』は製作委員会方式で、NHKも名を連ねているものね。当事者ですよ。番組としては「コンピューターの導入による現場作業の効率化」に話をそらしていたけど、入江さんが話を軌道修正してくれた。

入江さんには、アニメに加えられる表現規制について、月刊「創」でお話をうかがったことがある。だから、アニメと社会のかかわりに関心の高い方だとは思っていた。
Twitterを検索すると、現役アニメーターの方たちが現場環境について、さまざまに発言なさっている。この問題をアニメ業界に取材して生活費を得ている僕らがスルーするのは、恥ずかしいことだと思う。

「スルーしてるんじゃなくて、難しいデリケートな問題だから、うかつな発言を控えているのだ」と仰るだろうけど、こういうのは性格の問題だろう。社会と対峙するには勇気が必要だけど、勇気にもいろいろな種類がある。


たとえば、都議選に出馬予定の女性に「日本のアニメでは下品なロリコンポルノが一般的に流通している」などと言われてしまうのは、アニメ業界にもその周辺にも、表現規制に反対する人が、ほとんどいないから。敏感に察知して行動に移している人は、兼光ダニエル真さんぐらいじゃない?
漫画業界には、論客が多い。だから、おいそれと漫画文化を叩けないムードが形成されている。発言するって大事なんですよ。

アニメ業界の次にボコられがちなのが、フィギュア業界だと僕は思うんです。やっぱり、「児童ポルノ」呼ばわりされたとき、業界内に立ち上がる人がいなかったから。僕の署名には、模型雑誌の編集者が名を連ねてくれたけど、メーカーは黙ったままでしたよね。それで、叩きやすいムードが生まれてしまった。
『コップのカドでグリ美ちゃん』が販売されたとき、僕はゲームセンターやコンビニの店頭からは撤去してもらうよう、電話やメールでお願いした。「売るな」「作るな」ではなく、むしろ今後も自由にフィギュアを売ったり作ったりするためには、「ここは我慢するから、ここは見逃してくれ」と調整していくしかない。反対意見を「論破する」なんて硬直した態度では、いまの社会に聞いてもらえないと思う。


児童ポルノ規正法で容疑者が書類送検されたとき、愛宕警察署が押収したフィギュアを並べたときも、「どんなに少なくてもいい」と開き直って、署名を集めた。
「フィギュア・ファンにはうるさい連中がいて、うかつに叩けないぞ」というムードをつくることが第一。そのためには、業界に近い誰かが動いた証拠を残すしかない。

話をアニメ業界に戻すと、入江さんが番組中で「制作会社もアニメーターも、交渉することに慣れていない」とおっしゃっていたでしょ? 確かに、「業界独特の学生気分のような雰囲気が好きで」という監督さんもいるし、「とにかく現場が楽しかった」という話は、本当によく出てきます。その仲間同士で楽しくやっている一種の“緩さ”につけこまれているのかも知れないけど、僕は、現場の面白さ、良さを伝えていきたいと思っている。別に、問題提起したいわけじゃないんですよ。
「やっぱりアニメは面白いよな」「プラモデルは面白いよな」と思う人が増えなければ、僕の仕事だって存在価値を失うわけだし、それよりも何よりも、世の中を柔らかくしたい。
この前も書いたように、僕は体育の時間に恥をかかされて、いまだに対人恐怖が治っていない。そういう人を増やしたくないわけ。アニメやフィギュアが息抜き、あるいは生きがい……という人たちにとって、生きやすい世の中になってほしいってだけなんです。

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