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2017年6月 8日 (木)

■0608 「すべてのプラモデルは接着剤によって平等に組み立てられる権利を持つ」■

Goods Press 7月号 発売中
Goodspress1707_509x720●いま再びの模型魂
戦車プラモの全8ページ、静岡ホビーショーの『スター・ウォーズ』コーナー、担当させていただきました。
戦車プラモの記事では『ガールズ&パンツァー』シリーズについてプラッツの二神泰徳さん、フィギュアについてイエローサブマリン秋葉原本店★ミントの詫摩詠規さんにインタビューさせていただきました。

Goods Pressさんのプラモデル特集を手伝うのは昨年のミリタリーモデル特集につづいて二度目なので、今回も特集全体の構成を見せていただき、マックスファクトリーの高久裕輝さんにアドバイスをいただきました。高久さんも、タミヤのF-14のレビューを書いています。


とは言え、誌名どおり「グッズ」としてのプラモデルに迫っているかというと、半分はカタログ、もう半分は塗装やディテールアップなどのハウトゥです。
だけど、プラモデルは、ディテールアップしなくてもプラモデルです。塗装しなくてもプラモデルです。作らなくても、棚に並んでいるだけでもプラモデルです。当たり前すぎて、専門誌ですら「商品」「グッズ」としてのプラモデルに肉薄できないでいるのです。

「プラモデルが上手い」という場合、たいてい「プラモデルに色を塗るのが上手い」「プラモデルを加工するのが上手い」ことを指します。
僕だって、「これは命を削って作ってるなあ……」「もはやプラモというより“作品”だよなあ……」と、呆然と見とれることはしょっちゅうです。
その一方で、塗装も加工もしない、箱の中の材料を接着剤で貼り合わせただけの、誰の目の前にも確実に、平等に現れる「プラモデルの原初の姿」は、忘れられがちです。

「色も塗ってないようなプラモデルなんて、未完成」なのでしょうか? とんでもない、メーカーはありったけの工夫を盛り込んで、「商品として完成させて」キットを世の中に送り出しているはずです。
いやもちろん、ありったけの工夫どころか、盛大に手を抜いたキットもありますよ? 説明図を見ても、形にならないキットもありますよ? そんなキットには価値がない? だけど、“幻の名盤解放同盟”のスローガンに倣って言えば、「すべてのプラモデルは接着剤によって平等に組み立てられる権利を持つ」のです。 


今日、秋葉原での取材の帰り、ヨドバシカメラの模型売り場で40分ほど悩んで、レヴェルの自動車のキットを買いました。「LEVEL 4」なら、前に作った「LEVEL 3」よりは凝ってるだろうと思って。
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別に、車に詳しいわけじゃないんです。車のプラモデルを、出来るだけ多く組みたい。バイクでもいいし、艦船もあまり組んだことないし、もう何でもいいんです。知らないメーカーでも、知ってるメーカーでも。すべてのプラモデルは、平等だから。
模型売り場で、「予算3,000円以下で」「戦車はこのまえ作ったから、飛行機で」と条件を決めて、あれこれ悩んで選ぶのが楽しい。
メーカーが、僕のような通りすがりの手ぶらの客に、何を体験させてくれるのか。そこに興味がある。

「ちょっと手を加えるだけで、脱ビギナー!」などの記事は、プラモデルを「塗ったり」「加工したり」することを前提にしている、「いずれは上達すべき」という縦軸の価値観から出てくるのだと思います。
縦軸が悪いわけではなく、横軸やナナメ軸の価値観もあるような気がするぞって話です。

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