■ケアンズ旅行記-9■
■4/7-2 RED ROOSTER
タクシーに乗るには、ケアンズ・セントラル前か、リーフ・フリート・ターミナル近くのカジノ前に行けば、たいてい止まっているという。確かに、カジノ前に一台、止まっていた。
しかし、タクシーにしておいて良かった。市内を30分ぐらい走った、とんでもない場所に最後のホテルは建っていた。奥に見える山が、おそらくキュランダであろう。
ホテルとケアンズ・セントラルの間に、小さな循環バスが通っている。バス代は片道5ドルである。とりあえず、ホテルの周辺に食事できる場所はないか、探す。
信号を渡った向こうに、RED ROOSTERという看板があった。ファストフード店のようだ。店内では、子供をたくさん連れたお母さんがにぎやかに食事していた。
チキン・ハンバーガーとスパークリング・ウォーターで、9.28ドル。
ここのおばちゃん店員が、アボリジニ……ではないと思うが、色が黒くて、しっかりした骨格をしていた。とても親しげで、感じのいい人だ。
店はここだけか……と思っていると、大きなショッピング・モールがあった。
店内には、美容室まである。地元民のための店で、ホテルの客らしき人は見かけない。
フードコートや寿司屋、スーパーもあるので、夕食はここで調達できそうだ。とりあえず、ビールを買って、部屋に戻る。
■4/7-2
昼ビールをやりながら本を読んでいるうちに、うとうとと眠ってしまった。
誰かがドアをノックして、合鍵であけて入ってきたので、びっくりした。色の黒いお姉さん従業員が、「誰もいないと思ってたんです、すみません」と、親しげな笑顔で謝る。コーヒー用のクリームを部屋に置きたいのだという。まったく怒る気になれない。やはり、人間の笑顔は最強である。
それから、再びRED ROOSTERへ行く。さっきのおばちゃんが「Hello again.」と笑ってくれる。いちばん大きな、チキン・メガボックスをテイク・アウトで。
このとき感心したのは、ドリンクを選んでレジの近くに置いておいたら、おばちゃんが「温まってしまったから」と、冷蔵庫から新しいドリンクを取り出したこと。こういう小さな気づかいに触れているうち、僕の人間観が良い方向へ向かっていくような気がする。
残ったビールで、チキン・メガボックスと格闘していると、またしても壮絶な雨。うっかりケアンズの中心街に出かけなくて、よかった。
■4/8
なるべく早く空港へ向かいたいので、朝5時に起床。バスタブに、たっぷりのお湯を入れる。
(ホテル前の朝焼け)
朝食は6時半から。7時の循環バスに乗りたいので、ちょっと早めにカフェへ行ってみる。朝食代は宿泊費に含まれているのに、フィッロイ島のホテルを上回るぐらい豪華。温かいメニューがいっぱい。コーヒーも、美味しかった。
ホテルの前でバスを待っていると、中国人観光客が写真を撮りあっていた。それはいいんだけど、「痰を吐かないでください」「煙草を吸わないでください」と中国語で注意書きが出ているのに、中国人のオッサンたちは思い切り痰を吐き、煙草の吸殻をそこらへんに捨てていた。
サービスの行き届いたホテルなのに、残念だ。
循環バスには、僕ともうひとり、日本人女性が乗った。運転手も日本人で、女性客と話していた。彼女は昨日はグリーン島へ行き、今日は市街で買い物してから、空港へ向かうのだという。運転手の男性が、とても優雅で丁寧な話し方をするので、すっかり感心してしまった。
ケアンズ・セントラルで下車し、タクシーに乗り換えて空港へ向かう。
朝の10時だけど、一本だけビールを頼む。俺の旅行なんだ、最後ぐらい好きにさせてくれ。ビールとローストビーフ・ロール。
今回は初めて、行きたい場所ではなく、「近い」「安い」という理由で旅行に出た。
仕事に追いまくられ、旅程もホテルもバタバタで決めた。事前の確認不足と勘違いのため、余計な不安に陥った。だけど、人に救われた。
楽観と悲観の使い分けを、学んだような気がする。どんな目に遭おうと、僕は海外にいるときの自分が好きだ。今度は行きたい場所をしっかり目指して、できれば秋ぐらいに出かけたいと思っている。最後までお読みいただき、ありがとう。
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