■ケアンズ旅行記-6■
■4/4-2 リーフ・フリート・ターミナル
キュランダからのバスは、ケアンズ・セントラルに着いた。
何はともあれ、予約してあったホテルまで歩く。友人がくれたケアンズのガイドブックの地図が役立ち、まったく迷うことなく40分ほどでホテルに到着。とりあえず荷物をあずけて、14時にチェック・インできると言われる。それまで、2時間もの間、時間をつぶさねばならない。
ちょうどいい、フェリー会社のあるリーフ・フリート・ターミナルまで歩いてみよう。その前に、ケアンズ・セントラル内のATMで現金が引き出せるか、試してよう。
ケアンズ・セントラルは、市内でもっとも大きなショッピング・モールだそうだ。日本人客も多いので、ここのATMなら信用できる。
ところが、ATMに挿入したカードが戻ってこない。案内所でカードが機械に飲み込まれたと申し出るが、「カード会社に電話して」と繰り返される。もう、何も驚かない。今回の旅は、こういう運命なのだ。
ケアンズ・セントラルから、港にあるリーフ・フリート・ターミナルまでは、20分ほどらしい。地図のおかげで、迷わず歩けた。
予約してあるフェリー会社の窓口で、もう一枚のカードを差し出し、使えるかどうか試してほしいと頼む。……使えない。このカードには対応していないのだと言う。フェリーが出るのは明朝だ。さて、どうする。5千円札をドルに両替すれば、少しは前に進める。
翌朝、フェリーをあきらめて空港へ向かうにしても、バスぐらいには乗られるだろう。
■4/4-3 JTBケアンズ支店
リーフ・フリート・ターミナルからホテルへ向かう途中、「JTBケアンズ支店」が目に入った。ここならJPYをAUDに両替してくれる。窓口にいるのは、日本人の女性ばかりだ。
さて、5千円を両替してほしいと申し出てみるが、両替は一万円単位なのだという。やれやれ、ダメか……と肩を落として帰ろうとすると、「まあ、お座りになってください」と呼び止められる。その一言が、起死回生のファンファーレだった。
まず、JTBのお姉さんはカードAの会社に電話してくれた。日本まで、国際電話である。なかなかカスタマーセンターに繋がらないので、「もういいですよ。電話までかけさせて、申し訳ない」と力なく笑うと、「大丈夫、きっともうすぐ繋がりますよ」と、前向きなことを言われる。
カードAは、支払いには使えないが、ATMで現金を引き出すのには使えると電話で言われ、ちょっと勇気が出た。JTBのお姉さんは、「この近くにカジノがあります。そこのATMなら引き出せると思いますよ。困った方は、たいていそこへ行きますから」と、またしても前向きな提案をしてくれる。
その時である。ケアンズ・セントラルのATMに飲み込まれたはずのカードBが、財布の中に入っているのに気がついた。自分で入れておいて、なくしたと思い込んでいたのだ。
お姉さんは即座に「見つかったんなら、そのカード会社にも電話してみましょう!」と、さらに建設的な方向へ話を持っていく。「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」というフレーズを想起せずにいられない。
カードBは現金の引き出しはできないが、支払いに使えるはずだと電話で言われた。つまり、カードAで現金を引き出し、カードBを支払いに回せば、無敵なはずなのだ。雲間から陽が差してきた。
「もしお困りでしたら、また来てください!」と、JTBのお姉さんは笑顔でダメ押しの一言をプレゼントしてくれた。客ですらない通りすがりのハゲ男を、どこまで励ましてくれるのだろう?
結論を言うと、カジノのATMで、十分すぎるほどの現金を引き出すことができた。
これが、JTBケアンズ支店のお姉さんが「せっかくご来店くださったのだから、どうぞ」と、お土産にくれたコアラのマスコットである。
帰国してから、全力でJTBオーストラリアへお礼のメールを送ったことは、言うまでもない。あのお姉さんの給料が、ちょっとでも上がってくれることを、心から祈る。
ここまで読んだアナタは、僕のことを、計画性のないボンクラだと思ったろうな。
だけど、今回の旅のテーマは「サービス」なんだ。ジェットスターが空虚に使った言葉、「サービス」。キュランダの宿のオヤジさん、JTBケアンズ支店のお姉さんがしてくれたことこそ、「サービス」じゃないのか? 彼らからは「無償の好意」を感じた。損得じゃないんだ。
明日は、ケアンズからもっとも近い島のひとつ、フィッツロイ島へ行く。ところが、トラブルはまだ尽きない。
(つづく)

ところが、ATMに挿入したカードが戻ってこない。案内所でカードが機械に飲み込まれたと申し出るが、「カード会社に電話して」と繰り返される。もう、何も驚かない。今回の旅は、こういう運命なのだ。
ケアンズ・セントラルから、港にあるリーフ・フリート・ターミナルまでは、20分ほどらしい。地図のおかげで、迷わず歩けた。
予約してあるフェリー会社の窓口で、もう一枚のカードを差し出し、使えるかどうか試してほしいと頼む。……使えない。このカードには対応していないのだと言う。フェリーが出るのは明朝だ。さて、どうする。5千円札をドルに両替すれば、少しは前に進める。
翌朝、フェリーをあきらめて空港へ向かうにしても、バスぐらいには乗られるだろう。
■4/4-3 JTBケアンズ支店
リーフ・フリート・ターミナルからホテルへ向かう途中、「JTBケアンズ支店」が目に入った。ここならJPYをAUDに両替してくれる。窓口にいるのは、日本人の女性ばかりだ。
さて、5千円を両替してほしいと申し出てみるが、両替は一万円単位なのだという。やれやれ、ダメか……と肩を落として帰ろうとすると、「まあ、お座りになってください」と呼び止められる。その一言が、起死回生のファンファーレだった。
まず、JTBのお姉さんはカードAの会社に電話してくれた。日本まで、国際電話である。なかなかカスタマーセンターに繋がらないので、「もういいですよ。電話までかけさせて、申し訳ない」と力なく笑うと、「大丈夫、きっともうすぐ繋がりますよ」と、前向きなことを言われる。
カードAは、支払いには使えないが、ATMで現金を引き出すのには使えると電話で言われ、ちょっと勇気が出た。JTBのお姉さんは、「この近くにカジノがあります。そこのATMなら引き出せると思いますよ。困った方は、たいていそこへ行きますから」と、またしても前向きな提案をしてくれる。
その時である。ケアンズ・セントラルのATMに飲み込まれたはずのカードBが、財布の中に入っているのに気がついた。自分で入れておいて、なくしたと思い込んでいたのだ。
お姉さんは即座に「見つかったんなら、そのカード会社にも電話してみましょう!」と、さらに建設的な方向へ話を持っていく。「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」というフレーズを想起せずにいられない。
カードBは現金の引き出しはできないが、支払いに使えるはずだと電話で言われた。つまり、カードAで現金を引き出し、カードBを支払いに回せば、無敵なはずなのだ。雲間から陽が差してきた。
「もしお困りでしたら、また来てください!」と、JTBのお姉さんは笑顔でダメ押しの一言をプレゼントしてくれた。客ですらない通りすがりのハゲ男を、どこまで励ましてくれるのだろう?
結論を言うと、カジノのATMで、十分すぎるほどの現金を引き出すことができた。

これが、JTBケアンズ支店のお姉さんが「せっかくご来店くださったのだから、どうぞ」と、お土産にくれたコアラのマスコットである。
帰国してから、全力でJTBオーストラリアへお礼のメールを送ったことは、言うまでもない。あのお姉さんの給料が、ちょっとでも上がってくれることを、心から祈る。
ここまで読んだアナタは、僕のことを、計画性のないボンクラだと思ったろうな。
だけど、今回の旅のテーマは「サービス」なんだ。ジェットスターが空虚に使った言葉、「サービス」。キュランダの宿のオヤジさん、JTBケアンズ支店のお姉さんがしてくれたことこそ、「サービス」じゃないのか? 彼らからは「無償の好意」を感じた。損得じゃないんだ。
明日は、ケアンズからもっとも近い島のひとつ、フィッツロイ島へ行く。ところが、トラブルはまだ尽きない。
(つづく)
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