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アニメ業界ウォッチング第31回:アニメの原画に触れられる“ササユリカフェ”オーナー、舘野仁美さんの語る動画人生(■)舘野さんのお名前を知ったのは、ドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた』でした。
ササユリカフェで吉田健一さんの個展へ行った後だったと思いますが、経営者が舘野さんだと知って、それから単行本『エンピツ戦記』を読んで、とにかく、ずっと気になる存在でした。
動画チェックの方にインタビューする機会は少ないので、スタジオジブリ時代についても、語っていただきました。
モデルグラフィックス 5月号 発売中●組まず語り症候群 第53夜
来月発売になるバンダイの「ハコルーム くまのがっこう」のテストショットをお借りして、ランナーとパッケージだけの先行レビューのような内容になりました。
「ハコルーム」は担当編集の推しが強く、僕も「プラモデルではないけど、プラモデルと同じ商品形態をもった製品」には興味をもっていました。媒体は違いますが、「ハコルーム」担当者にもインタビューさせていただきました。来月、掲載されます。
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レンタルで、ヒッチコック監督の『サイコ』。
「なんで今ごろ?」と思われるかも知れないが、いま読んでいる映画演出の本に、何度となく出てくるタイトルなので、さすがに頭からちゃんと観なくては……と、焦った。僕が生まれるより7年前の映画なので、特殊メイクはあっさりしている。しかし、「古い」と感じるところはそれぐらいで、モノクロ撮影で血を流す方法が数種類ほど存在していたとか、車を沼に沈めるために撮影用プールの中に装置を組んだとか、階段から落ちるシーンで俳優と背景を別々に撮って合成したとか、メイキングを見ると、むしろ少し未来の話を聞いているように錯覚してしまう。
1960年は劇映画の誕生から半世紀以上が経過しており、飽和するぐらいに劇映画の撮影技術が発達していたということ。
たとえば、僕らは4DXだとかMX4Dだとか聞くと、それこそが最高の映画体験だと思いこんでしまうが、それはやっぱり傲慢なんだよ。サイレント時代に『イントレランス』のような、現在では撮影不可能なスペクタクル大作があったことを、忘れてはいけない。
悪いけど、「4DXで観ないと、本当に観たことにならない」と自慢されると、原始人と話しているような感覚になってしまう。映画館の設備が貧弱でも観客を引き込む、記憶に残すのが映画の「質」だと思う。その「質」は、刷新されることはあっても、古くなって無価値になるようなものではない。
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ちょうどよい機会なので、映画評論について、僕がもっとも納得させられた文章(■)を、以下に転載しておく。
「国、社会、人、経済、政治、全ての要素の鱗片が必ず映画の背後にはある。
それは人間の手によって映画が作られている限り、絶対に変わりが無い。
それを解き明かすのが映画評論であり、解き明かした結果を発表し後世への文化的財産とするのが映画評論家の役目なのである。」
「個々の映画の持つ意味を明かさずして、如何様にして映画を評論することが出来ようか。
それは評論では無く、感想だ。
面白い/つまらない、という言葉は評論としては無意味であって、主観的な感想である。
経済評論家を名乗る人間が、株のチャートを見て、嬉しい/困った、と呟いているのと一緒である。」
「映画評価家とは映画に点数をつける人、映画を褒めたり貶したりする人、と思っている人が多いうえに、映画評論業界内にも分かってない人がいる。
大学の教授は講義をする人ではなくて、研究をする人なのである。
それと同じで、映画評論家は映画を評価する人では無く、映画を解析する人なのである。」
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